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第143回『ブギの女王・笠置シヅ子』(著:砂古口早苗)

眼と耳で楽しむ読書術

あっという間に2023年も終わりつつあります。

コロナの猛威が一段落したとは言え、まだまだ日本の停滞感は否めず、これから来年に向けて、気持ちも新たに読書に励みたいところです。

そこで、ぜひおすすめしたい一冊が、

ブギの女王・笠置シヅ子』(著:砂古口早苗)

です。

現在、放映中のNHK朝の連続ドラマ「ブギウギ」の原案本。

テレビ効果もあって今、主人公のモデルとなった笠置シヅ子氏の関連本が、続々と出版。

「気になるが、どれを選んでいいのかわからない」といったお声をたびたび耳にします。

ぼくは連ドラも見ていますし、関連本も一通り目を通した結果、イチオシするのが本書であります。

というのも、本書はドラマに連動して書かれたものではなく、以前、朝日新聞の香川版にて連載されたものであること。

また、連ドラ以前は、笠置シヅ子氏は、ほぼ忘れられた存在といっても過言ではなかった中、その人生や活動に着目し、今こそ伝えたいという著者の意欲が、にじみ出ている点も大きなポイントです。

ぼくも音楽をやってきた身でありながら、笠置シヅ子氏のことは名前は聞いたことがある、という程度で、白紙の状態で読みましたが、実に面白い!

とりわけ、戦中戦後史、現代日本史を知る上でも、この上なく有益な一冊と言えます。

笠置氏の歌が、「日本の戦後復興に多大なる貢献をした」と、どの本にも書かれていますが、その証として、昭和23年度(1948)の高額納税者ランキング、いわゆる長者番付において2位に、
女性では第1位になったことも見逃せません。(※ 1位は、『宮本武蔵』などでお馴染みの作家・吉川英治氏)

どれほどの活躍だったのかが、数字だけでも伺えます。今、元気の必要な時代に、笠置シヅ子氏が再びクローズアップされたのも偶然ではないかと思います。

波乱万丈の人生、そして、一人の人間を通じて知る日本、読みどころ満載の一冊、この機会に、ぜひ読んでみてください。

尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
ブギウギ伝説~笠置シヅ子の世界~』です。


先日、世界的なジャズピアニストの山中千尋さんが、ご自身のラジオ番組で、笠置シヅ子氏の曲を特集していたのを聴きました。

ミュージシャン目線での紹介で、笠置シヅ子氏のジャズ的な魅力、ブギーの魅力が一層伝わり、CDでじっくり聴きたくなったんですよね。

今まで全く聴く機会もありませんでしたし、関心もなかったですが、実にもったいないことをした、と思うばかりです。素晴らしい曲が多い!

テレビ効果もあって今、笠置シヅ子CDが多数リリースされていますが、このアルバムには、さまざまなバージョンの曲が収録されていて、非常に聴き応えがあります。

本書と合わせてお楽しみいただければ幸いです。

では、また次回。

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