新刊が出たら、すぐに読みたい著者がいます。
新作が封切りされたら、すぐに見たい映画監督がいます。
そして、新刊が出ても、新作が封切りされてもすぐに見たい、日本で唯一の人がいます。
それが、是枝裕和監督。
名実ともに、日本を代表するワールドクラスの映画監督。
『万引き家族』はカンヌ国際映画祭(以下、カンヌ)で最高賞である「パルム・ドール」を受賞し、興行収入45.5億円という大ヒットを記録。
『ベイビー・ブローカー』、最新作の『怪物』は、いずれもカンヌで二冠達成。『そして父になる』は、カンヌで審査員賞受賞。
大女優カトリーヌ・ドヌーヴを迎え、全編パリで撮影された『真実』など、実績を挙げればキリなし。
まさに現代映画界の巨匠と呼ぶべき存在です。
そんな是枝監督には、著書が多数あります。
代表作と言っていいのが、『映画を撮りながら考えたこと』、
エッセイ集『歩くような速さで』、
英国映画界の巨匠ケン・ローチとの対談『家族と社会が壊れるとき』、
『真実』を中心に、『ベイビー・ブローカー』、
『怪物』の制作秘話を明かす『映画の生まれる場所で』など、傑作揃い。
そもそも、著作の多い映画監督は珍しく、
いろいろな意味で稀有な存在、と言えます。
(第147回・全国経営者セミナーにも登壇!)
多くの著書がある中で、ぜひおすすめしたい一冊が、
『公園対談 クリエイティブな仕事はどこにある?』(著:是枝裕和、樋口景一)
です。
現在、電通で執行役員を務めるクリエーティブ・ディレクターの樋口景一氏との対談本です。
数ある著作の中で、本書を推奨する理由は3つ。
1つは、本書が是枝監督唯一のビジネス書と言っていい内容であること。
1つは、是枝監督のことを全く知らなくても楽しめること。
最後に、学びと知的好奇心に満ちた良書であること。
本書のコンセプトとしては、「若き社会人のための書籍」となっていますが、
むしろ、経営者や管理職、リーダーの立場の人たちが読むべき一冊に思えます。
・人が成長するときに必要なもの
・仕事の壁を乗り越える
・才能を開花させるもの
・仕事人としてどんな未来を選ぶか
・1つの会社で働き続けるメリット
・「自分」は人の間にしかない
など、読みどころ満載!
映画界の世界的名匠と、敏腕クリエイティブ・ディレクター、
日本をリードする二人は、仕事の現場で何を見て、何を考えているのか?
最近では、書店に並ぶこともめったにない、この隠れた名著、
ぜひ読んでみてください。
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
『サウンドトラック「怪物」』(音楽:坂本龍一)です。
是枝監督の最新作『怪物』のサントラCDですが、
昨年亡くなられた”教授”こと、坂本龍一氏によるもの。
独特の浮遊感があり、非常に聴き応えがあります。
既に映画を見た方には、名場面がよみがえることもあるでしょう。
もちろん、まだ映画を見ていなかったとしても、全く問題ありません。
繰り返し何度でも聴きたくなるCDです。
アナログレコード盤も出ていますので、レコードで味わうのも一興。
本書と合わせてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。