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社長業

第60回 ライバルは常に自分自身である

繁栄への着眼点 牟田太陽

※本コラムは2024年6月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

 「自責」と「他責」という言葉がある。自分の責任として捉えられるか、他人の責任として捉えてしまうかということである。
 ジョンソン・エンド・ジョンソンの元社長だった故新将命先生もよく「自責」と「他責」という言葉を使っていた。故新将命先生は私の経営理念の師でもある。

 言葉は知っているが、できているかというと意外とできている人は少ないのではないか。
 YouTubeや、Podcastなどを見たり聴いたりしていると、無料コンテンツであるにもかかわらず、いまもってレビューに、「当たり前のことしか言ってない」などとコメントする人がいる。これこそが、「他責」の考え方そのものだ。無料コンテンツにさえ答えを求めているのだ。こういったモノは最大公約数に向けて短い時間で発信するものである。自分の中に取り入れ、答えは自分で導き出さなくてはいけない。

 会社の業績でもそうだ。コロナ禍の業績不振は仕方ない。しかし、常日頃から会社の業績不振を政治のせいにしたり、人手不足のせいにしたり、ライバルのせいにしたり、社員のせいにしたりする社長もいる。それは間違いで社長自身によるところが大きい。その中でもキチンと利益を出している会社は必ず存在するからだ。自分自身に負けてはいけない。

 「責任を背負う」とか、「責任をとる」という言葉は否定的に聞こえる。誰でも嫌なものだ。私だって嫌だ。社長なら、「自ら責任を担う」「自らの責任を果たす」と肯定的に捉えてほしい。肯定的に捉えて、「どう解決するか」と考えると大概のことは解決できるものだ。ライバルは常に自分自身なのである。

 先日、NHKの連続テレビ小説の「ブギウギ」が終了した。とても良いドラマだったし、歌のシーンは「圧巻」の一言だった。だが、主人公であるスズ子と考え方が合わないシーンが多く、どうも感情移入できなかった(あくまで個人的な感想です)
 仕事場に幼子を連れてきて仕事場を度々ストップさせたり、それなのにベビーシッターを雇うことを頑なに拒んだり。
 一番気になったシーンがある。かけっこで一番だった主人公の娘が、「転校生に負けるのが嫌だから学校に行きたくない」と言い出した。何と返答するかと思えば、「そういう時は逃げてええんや」などと言ったときには思わずテレビに突っ込んだ。

 土曜日の総集編でウチの子供たちも見ていた。終わった瞬間に私は子供たちに言った。「勝ったら一つ、負けたら三つ、逃げたらゼロだ」勝った時は自分が勝ったのだから得るものは少ない。負けた時は、「なぜ負けたのか」「相手は何が優れていたのか」「どうしたら勝てるのか」学ぶことは多い。逃げたら学ぶものはゼロなのだ。一度も負けたことのない人などいない。重要なのはそこから何を学ぶのかだ。

 いま一度言うが、社長が自分自身に負けてはいけない。自分自身に克てない人が、人を動かすことなどできるわけがないからだ。

※本コラムは2024年6月の繁栄への着眼点を掲載したものです。


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