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人事・労務

第32話 若い実力社員を登用する時の取扱い

「賃金の誤解」

 会社が順調に伸びているとき、経験的には未知数だが、より若く元気な社員に重要ポストを任せたい。社長として一度は実現してみたい、そんな場面を想定してみて下さい。
 もちろん、他に候補者がいなければ、あまり問題にならないかも知れません。しかし、同年配の社員が何人かいるときには、慎重な人事取扱いが求められます。
 
 設例として、川中君・田中君・山中さん、3人の候補社員がいるとします。しかし職種および等級適性、加えてスリムな精鋭組織の在りようから決断すれば、昇格要件を充たしていないが、若い川中君を課長に登用せざるを得ない。
 このような抜擢人事の場合、職務給的な考え方をとれば、若すぎるとはいっても、川中君は課長に昇進したのだから、基本給を上位等級の金額まで引上げることになります。
 しかし、無理な昇格人事を押し通せば社内のバランスが崩れ、「社員のモチベーションの総和を最大に維持し続ける」とする賃金人事の最重要な役割を見失うことになりかねません。
 
 そんな時の最善の方策が、公式の人事発令に用いられる課長心得の制度です。心得とは、職務扱いは課長であっても、人事管理上しばらく下位等級扱いするという意味です。
 課長心得の川中君は等級としては残業手当を受給する係長と同じですが、職責としては課長に登用されたのですから、労働基準法第41条に従って、管理職手当を受給し、残業手当は受給しないことになります。
 さらに年2回賞与時の勤務成績は「職責との関連」で評価されるものですから、課長心得は課長と同列、上位等級の仲間の一人として仕事品質の高さが評価され、成績評語が決まります。
 この場合、下位等級でありながら上位等級の仕事を任され、評価されたのですから、一段高い評語(上位等級で評語Aのときは下位等級の評語Sに、評語Bのときは評語A)に読み替えます。つまり賞与配分においても、実力昇給においても報われたと実感できるように配慮しなければなりません。
 
 このような人事扱いは、人材の育成、適正配置、精鋭組織の実現にとって大変重要なことです。

 

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