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第72回 玉造温泉(島根県) 日本一の混浴大露天風呂

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■奈良時代からの「美人の湯」

 温泉に来たからには、大きな露天風呂に入りたい――という人は多いだろう。開放感のある湯船はリラックス効果も高い。
 宍道湖の南に位置する玉造温泉は、山陰地方屈指の規模を誇る。温泉街を貫くように流れる玉湯川沿いに、大型の高級和風旅館が軒を連ねている。

 玉造温泉は、奈良時代の開湯といわれる古湯だ。もともとは、大国主命とともに国づくりをした少彦名命が発見したと伝えられている。この二神は、各地の温泉神社にまつられる、いわば「温泉の神」である。
 『出雲国風土記』(733年)には、「ひとたび濯(すす)げば形容(かたち)端正(きらきら)しく、再び浴(ゆあみ)すれば万(よろず)の病(やまい)ことごとに除(のぞ)こる」という記述がある。つまり、一度洗えば、肌がしっとりと若返り、二度入ればどんな病気やケガも治ってしまう、というわけだ。まさに、「美人の湯」であり、「神の湯」である。
 さらに平安時代には、「玉造」の名声は京の都まで届き、清少納言は『枕草子』のなかで、有馬温泉(兵庫県)、榊原温泉(三重県)とともに、「三名泉」と評している。

■120坪の混浴露天風呂

 そんな日本を代表する温泉地で、ひときわすばらしい源泉を堪能できるのが、「湯之助の宿 長楽園」である。総部屋数60室の大型旅館である。
 「長楽園の歴史は、玉造温泉の歴史」といっても過言ではないほど、宿の歴史は古い。奈良時代初期、長楽園の家祖にあたる長谷川俊方によって玉造温泉は開かれたとされ、江戸時代には、松江藩より「長谷川湯之助」の官職を任された。温泉宿の名にもなっている「湯之助」とは、温泉の管理者のことで、元湯や公衆浴場の管理、湯賃の取り立てなど、玉造温泉の一切を取り仕切ったという。
 「長楽園」の名で旅館業を始めたのは、1868年(明治元年)のこと。現在では、中国地方屈指の人気旅館としての地位を確立している。
 そんな長楽園の自慢が、宿泊者のみが入浴できる大露天風呂「龍宮の湯」。120坪の混浴露天風呂は、日本最大規模の大きさを誇り、200~300人は余裕で入れそうだ。龍をかたどった湯口から、大量の湯が惜しみなく注がれる湯船は、湯量の豊富さを感じられる。
 無色透明の源泉は、美肌効果が高いとされる硫酸塩・塩化物泉。約70℃の湯は、加温も加水もされておらず、100%かけ流しである(泉温を安定させるために一部、循環利用)。見た目の個性はあまりないが、万人受けしそうなしっとりとやさしい湯である。

■混浴でも入浴しやすい

 開放感満点の露天風呂であるにもかかわらず、女性の入浴客が多いのが「龍宮の湯」の特徴。私が入浴していた1時間ほどの間に、10組ほどの夫婦やカップルと遭遇した。湯浴み着の着用がOKであることや、湯船が広いため他の入浴客の目が気にならないことなどが理由だろう。なにより、このダイナミックな湯船を前にしたら、恥ずかしさよりも、「入浴してみたい」という願望が勝るのかもしれない。
 それでも混浴に抵抗がある人は、男女別の内湯と露天風呂を利用することになる。さすがに「龍宮の湯」ほどの開放感はないが、それでも露天風呂は数十人が浸かれるサイズで、ゆっくりとリラックスできる。
 湯上がりには、旅館の敷地内や温泉街を散策するのがオススメ。「龍宮の湯」を囲むように広がる1万坪の庭園は、数百種の樹木や草々に彩られている。アメリカの日本庭園専門紙「ジャパニーズ・ガーデン・ジャーナル」日本庭園ランキングに毎年上位入賞している見事な庭園である。
 混浴のできる温泉は年々少なくなっている。たまには夫婦で仲良く混浴などいかがだろうか。

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