お蔭さまで日本経営合理化協会主催の私のセミナーは、毎回、多くの聴講者にお越しいただき、有難いことだと思っております。
感謝しております。
セミナーが終わっても、ポッポッとご相談にお見えになる方がいらっしゃいます。多忙にさせていただいております。
その方々の相談事で特に多いのが、借入金過多に陥り資金繰りが苦しいとの実情。それに対する具体的な対策を聞いてこられます。
5~7年前には決して売上比、総資本比で、銀行借入が多額ではなかったのです。この数年で売上げが下がったことにより、借入金過多になってしまっている企業があるのです。
経営者なら日頃から、急な売り上げ激減は体験もし、幸いにして体験せずとも身近で見もし、聞きもしているのではありませんか?
売り上げ激減 売上前年比ダウン
その企業の営業力が弱いから売り上げが低下したのでしょうか?
決してそうではありません
売り物の存在性がなくなったことによる場合があります。
商品の寿命がなくなった。
顧客が海外へ行ってしまった。
消費者の生活が変わって不用になった。
天災にあってしまった。
強力なライバルが出現した。
売上が落ちても銀行借入金残高は急には減りません。そうすると借入金対売上比率は、どんどん大きくなります。
貸してくれなくなると怖いので、あほな経営者はよけいに借入金を増やして預金として置いておく愚なる行動をとり、「キャッシュフローをよくしておいた!」とバカなことを言われたりします。
売上低下が予想されるのであれば、流動資産(売掛金、在庫)を削り、不用な固定資産を早めに売却して、現金を生み出し、特別損を出し、納税を抑え、銀行返済をして借入金総額を減じることです。売上が下がり、利益が低下するのですから。
ところが取引銀行の支店幹部は、貸付残が減ると困るので、必ず返済を拒み、甘い言葉で運転資金を貸し付けてくるのです。
長期+短期の有利子負債総額はいくらまでなら大丈夫ですか?
売上比何%が正しいですか? とよく質問されます。
売上比ではありません。自己資本金(総資産)総額以内にすべきです。瞬間的に借入が増大する大いなる投資をする場合でも2倍以内でないと危険です。
妻や子供たちにまで個人保証をとり、個人の財産を担保にし、保証会社の保証を付けて金利は上がっていくのです。
売上が減じれば厳しくわが身も削ればいいのですが、現実の世界は、わが身に甘く、冷徹な施策を打つということが出来ないみたいですね。
「銀行から目いっぱい借りて、銀行員に喜ばれるようにして銀行と良い関係を築くのが経営者の仕事である」などととんでもない経営コンサルタントと称する人が本やセミナーでおっしゃるから罪は深いですね。
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