世間ではAI、IoTの記事があふれています。しかし、中小企業ではまだまだ、それ以前のデジタル技術の活用が遅れているのです。
遅れている業務のひとつが、営業マンの仕事です。そのなかでも特に改めていただきたいのが、売上代金の回収業務です。
「うちにはまだ、集金日があります。」という声を、なんと今も聞きます。
「え?まさか、営業マンが得意先を回って現金回収するんですか?」
「そうです。」
と、平然と答えるのです。
「どうして振込み処理にしないんですか?」
と尋ねると、概ね同じ答えが返ってきます。
「集金に伺った際に、先方とコミュニケーションがとれて、新たな仕事に繋がります。」
じゃあ、現金集金などしない、世間の多くの会社は、顧客とコミュニケーションが取れていないのか、と言えば、そんなことはありません。
アナログ体質の中小企業が、古い習慣を体よく変えていないだけです。
まず、現金回収だと不正・横領が起きやすいです。長く取り組んでいれば、必ずその苦い経験のひとつやふたつ、あるはずです。
それに、支払う先方も、現金を用意しなければいけないので、面倒です。
さらに受け取った現金は、速やかに経理担当へ渡さないといけません。そのため、経理担当も残業してまで現金回収を待ち、金庫に一時保管しないといけなくなります。で結局、その現金は銀行へ持ち込まれ、口座へ入金処理されるのです。
多くの人が関わることとなり、大いなる手間なのです。
振込やその場の決済なら、そのような手間がかかりません。データ処理だけです。
『働き方改革!』と言うならば、このようなムダな行動を、やめてほしいのです。現金で集金をしても、何ら付加価値をもたらさないのです。
営業がお客様のもとで集金を行うような事業であれば、せめて現金ではなく、カード決済がその場でできるようにするべきです。
最近は百貨店も、各売場にある端末でカード決済するように変わりました。少し前までは、衣料・雑貨売り場などの場合、各売場でクレジットカードを預かり、店員がレジまで走って処理をしていました。
それがこの一年程の間に、カード決済端末を売場のいたるところで見かけるようになったのです。
「どうして?」とお聞きすると、こう言われました。
「お客様のクレジットカードをお預かりして、遠いレジまで移動するのは、問題があるんですよ。」
確かにそうです。不正や悪用の温床になりえます。
飲食店、美容院、車内販売や機内販売、葬祭業、運送業等々、特にサービス業では、クレジットカード端末による、その場での決済が標準的になってきました。
卸売業などでも、納品先の営業所に伺って集金するなら、せめてクレジットカードでできるようにすればよいのです。現金での回収など、やめるべきです。
もちろん、請求書発行ですぐに支払ってもらうなら、それにこしたことはありません。
「クレジットカードは手数料がかかるじゃないですか。」とおっしゃる経営者がおられます。が、現金回収しているほうが、手間がかかってよっぽど高コストです。不正や横領も起こりやすいです。
それがなぜおわかりにならないのか、不思議でしかたがないのです。
携帯型のクレジットカード決済端末も、いろいろあります。
最近はスマホを活用するものが多く、よく見かけるのは、スクエア、コイニー、楽天ペイ、エアペイ、あたりです。
各営業マンが出先で決済をいただくなら、スマホ活用タイプが低コストです。
それぞれのホームページから連絡を入れ、問い合わせてみればよいのです。
あるいは、NTTやKDDIなど、法人契約している通信会社があるなら、
要望をお伝えし、提案を促せばよいのです。各社、決済機能の端末サービスを扱っています。
現金回収は、もはや昭和の遺物です。
令和の時代に、そのような回収方法をしていては、ライバルに勝てるわけがないのです。