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人間学・古典

第三十三話 「足らざるを知る者は」

中国哲学に学ぶ 不況は会社守成の好機

“足らざるを知る者は学を好み、下問を恥ずる者は自ら満す”(一程粋言)

(自分に何か足りないと自覚できる人は学ぶことを好むし、人に問うのを恥じる人は自己満足に陥る)

この言葉の意味を私も体験している。
十四才で見習い行員として銀行に入り、夜学を卒業した18才で父と死別、祖父以来の多額の借金を引き継いだ。
それらの苦労で円形脱毛症にかかり、半年休職したら昇給ストップ。
そのため、全行最低の給料に転落“学なし、地位なし、金もなし、頭髪もなければ、青春もなし”の五無才。

しかし、これを嘆いているほどの余裕はない。幼い弟妹三人の教育がある。
少なくとも自分より上級の学歴を持たせたい。

このように“足らざるを知る者”とこではない。心ならず足らざるを知らされてしまったわけである。

当時、五無才のまず一つをなくそうと考えた“学なし”からとして、すべて借本だったが
中国の先賢の書を読み続けてきたという次第。

実務的な書物ではなく、心の勉強とでもいおうか。実務的な読書は、現役を去れば不要になるが、
心の勉強は死ぬまで役立つ。

読書とは健康長寿の妙薬。いま私の年はまだ九十八才。
“足らざるを知る者は”いま私の足らないことは九十八才ではまだなのである。


※一部旧字を現代漢字に変更させていただいております。

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