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社員教育・営業

第29講 カスタマーハランスメント対策の実務策⑯

クレーム対応の新知識と新常識

あなたの『傾聴』は間違っていませんか?

『傾聴する』ことは、相手の話を「はい」「はい」と相槌をうちながら、じっと、ずっと、聞くことではありません!

 よく「お客様の話は、傾聴しましょう」と指導を受けることがあると思います。
 さて、『傾聴する』とはどういうことだと思っていますか?私の研修受講者の中には、「お客様の話は傾聴をしなければならないので、お客様の話が終わるまで、じっと、ずっと、話しを聞きました。だから、自分は、一所懸命、傾聴をしたと思います」と言う人がいます。
 また、「お客様の話を傾聴するために、お客様のお話には「はい」「はい」と返事をするのは当然、途中のお客様から投げかけられる質問にもすべて、答えられないことがないように一所懸命、返答をしました」と言う人もいます。どちらも『傾聴する』ことになっていません。
 『傾聴する』とは、相手の話をシャットダウンすることなく、じっと、ずっと聞くことでもなく、相手の言葉にいちいち「はい」「はい」と単調な相づちを打つことでもなく、相手からの質問にすべて返答することでもありません。

『傾聴をする』ということには、2つの行為があります。

 1つは、まず、相手の話のある部分に興味を持つこと。ほんの一部の例を言うと、「このお客様は何でその商品をそんなに探しているんだろうか」とか「このお客様は、なんで、この商品を長年、購入しているんだろうか」また、「なんで、そんな当たり前のことを聞いてくるんだろうか」とか「常識的なこちらの対応のどの部分に、不満があるのだろうか」と担当者の中に芽生えた「なんで?」というポイントがあることが『傾聴』の必須条件です。担当者のあなたに、そんな「なんで?」というものが、芽生えないのであればそれはそれでかまわないのですが、それならそれなりに、芽生えたふりをする必要があります。なにしろ、クレーム対応の仕事の中には、『傾聴する』という行動が必須なのですから。

 しかし、「なんで?」という気持ちが担当者の中に芽生えただけでは、『傾聴する』ことにはなりません。『傾聴』の条件となる行為の2つ目は、その「なんで?」を掘り下げるために、『相手に質問をする』ことです。「このお客様は何でその商品をそんなにさがしているんだろうか」と思ったのであれば「私共の製品にご興味をお持ちいただいたのはどのような点でしょうか?」、「このお客様は、なんで、この商品を長年、購入しているんだろう」と思ったのであれば「ずいぶんご愛顧いただいているのはどのような点でしょうか?」とか、「なんで、そんな当たり前のことを聞いてくるんだろう」と思ったのであれば「このお電話をいただく前に、何かでお調べになったり、どなたかに相談されましたでしょうか?」と聞いてみたり、「こちらの常識的な対応のどの部分に、不満があるのだろう」「この人の、本音は、なにかしら」と疑問に思った場合は、「まずは、どのようなお考えかお聞かせいただけますでしょうか?」など、自分に芽生えた「なんで?」を掘り下げるために質問をすることまでが、『傾聴』です。

 つまり、『傾聴する』ということは、相手の話や態度に違和感を持ち、その違和感の原因を掘り下げるために相手に質問をすることの2つの行為のことなのです。

 なので、「相手の話を、じっと、ずっと聞く」ことや「相手の話に「はい」「はい」と相槌を打って聞く」ことは、『傾聴』ではないのです。

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