バランスシートの大きさの話といわれてもピンとこないかもしれません。総資産の大きさと言い換えることも出来ます。
本号では、中小企業の今後の方向性をバランスシートの大きさの観点から考えていきます。
◆大企業は今後も統合・合併が続く
大企業は、今後、加速しながら、統合・合併を行うことになるでしょう。理由は簡単です。効率的な経営を推し進める為です。
合併は、実は、バランスシートの合算の話なのです。A社とB社が合併した場合、メディアは、「年商で業界○位になる」と記事になりますが、合併とは、A社とB社のバランスシートの合算の話です。
合併すればどうして効率経営が図られるかといいますと、一度、規模を大きくした方が、削りやすいからです。資産を現金化するか費用化することにより、総資産を形式的にも実質的にもスリムにすることができ、経営資産をより、効率的に活用できるからです。
余分な資産保有は、巨額な維持費がかかります。早期に現金化を図れば維持費は不要です。また、活用価値のない資産は、売却できなければ、早期に費用化を図ることでスリム化を図ることが出来ます。
ここで試算表の流れを見ておきます。
試算表の右側(貸方)には、負債、資本(財産)そして収益が、左側(借方)には、資産と費用が記載されます。
右側は資金調達状況を表し、左側が、調達した資金をどのように使ったかという資金運用状況を表します。
支出は必ず、資産か費用になります。そして資産は最後には費用化されます。典型例が減価償却費や貸倒れです。また、価値のない資産なども費用化することになり、資産のスリム化を図ることが出来ます。
◆連結バランスシートも大企業の合併などと同じ効果がある
中小企業のバランスシートは、それほど規模が大きくはありません。先ほどの大企業のように、合併等により、お互いのバランスシートを合算して巨大化すれば、スリム化を図ることが比較的容易になる話をしました。これを中小企業に応用すればいいのです。
会社単体ではそれほどバランスシートの規模は大きくありませんが、社長のバランスシートを合算することにより、少しは大きくなります。
これにより、会社単体のバランスシートより、スリム化を考えることが出来ればいいのです。
この意味でも、連結バランスシートを作成する意義はあるのです。
連結バランスシートに有価証券や投資があれば、即刻、現金化すべきです。使用しない資産などに価値はなく、資産として計上する意味がありません。このような資産を前提に経営をすること自体、意思決定を間違ったものにしがちです。
税法で経営は出来ないことは当然です。税法で損金に落ちないから資産のままにしておきますと、経営が甘くなります。本来は、会社のバランスシートにおいて、たとえ、税務上、損金に落ちなくても、会社で価値がないと判断した資産は、積極的に資産から費用化処理を帳簿でも行うべきなのです。もちろん。税務申告において、別表四で加算修正は必要です。
わざわざ、加算修正することが煩雑だから、税務申告に経営財務資料をあわせますと、この経営財務資料は会社の実態を表していないことになります。
どうしても、別表四で修正をすることが出来ない場合には、連結バランスシートで、積極的に費用化を図って、本当の財務内容を算定しておくべきです。
◆中小企業における今後のバランスシートの大きさ
中小企業は身軽でなければいけません。しかし、現実は、大企業よりも、動きが鈍いことがあります。
もともと中小企業のバランスシートはそれほど巨額ではありませんが、今後は更に小さくしていくことが大事です。大企業がバランスシートを大きくしていくことと真逆の発想です。
そのための一つの手法として、会社の分社化があります。分社化も合併と同じように、バランスシートを2つに分割することになります。
例えば、A社があり、このA社から、ある事業を新設会社B社に移管し、当概事業にかかわる資産と負債のみをA社からB社に譲渡することで、A社は、新しいA´社になり、バランスシートもスリム化が図れます。
もちろん、分社化をしなくても、会社のバランスシートだけを見て、更にスリム化を図ることはできます。
地方に行けば、不動産を所有している会社や社長はたくさんいます。本当に収益を生むのでしょうか。現金化さえできないのではないでしょうか。
地縁血縁の因果で手放せない事情もあるかもしれませんが、それにより、維持費がかかり、資金的に苦しい会社や社長も多いのではないでしょうか。
もちろん守るべきは守り抜くことは大事なことですが、すべてではないでしょう。捨てるものは捨ててみる覚悟も今後、必要な気がします。
何度もお話していますが、中小企業は誰も守ってはくれません。社長自らが守りぬかなければならないのです。
そのためには、バランスシートのことをしっかりと熟知していなければならないのです。
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