(前編の続き)
(6)物価上昇が激しいメキシコ、アメリカは幸せになりにくい」
好調だった、ホームデポが下降気味だ。
その理由は、提案は良いが、価格上昇が激しいから
消費者が疎遠になってしまった。
経済も成績も上昇するのが良いとされるアメリカ
しかしその対極には「安定型」がある。
ここで、「上昇型」と「安定型」を比較したい。
「上昇型」
価値が上がる
給料が上がる
興奮しやすい
使いやすい
が、疲れる
振り落とされた人は、脱落
「安定型」
貯蓄しやすい
企業経営は、安定した賃金上昇を
大前提とした、経営戦略が必要だ
安定といっても
小さく成長するのは可能だし、大切だ。
上昇、上昇で走ってきたアメリカやメキシコは
上を見るとすごく良いのだろうが
皆が走っている中で
しんどくなって置いてきぼりになった人たちは
弾き飛ばされる。
アメリカやメキシコでは
数多くのホームレスを見たし
アメリカポートランドでは
明らかにコロナ前より
ホームレスのテントが増えていた。
(ポートランドのダウンタウンを走行中車内から 筆者撮影)
(7)価格が安いものに人気が集まりそうだ。
物価上昇が激しい
振り切られた人も大勢いる(ホームレス、犯罪増加)
サンフランシスコは犯罪増加(ホテルをパトカーが囲む)
こうなると、2極化していく
良いのは
富裕層ビジネス
と
低価格ビジネス
ウォルマートを始め大きな企業が参入している
ここのマーケットが大きい。
そして
中間層向けががダメになりそうだ
(8)「店舗は難しい、残るところは体験型だけになりそうだ。」
ネット通販との融合が進み
ますます、実店舗は確認や体験のためのショールーム化し
買うならネットのほうが安く届けてくれて便利になりそうだ。
買い物は2種類に分けて考えるとわかりやすい。
Buying(バイイング)とShopping(ショッピング)
前者は
買わねばならないもの
楽しむものではなく生活必需品のようなもの。
ネットが主流
後者は
見る、体験が楽しい
ウィンドウショッピング代表されるように
店舗が主流
この2つを融合しながら
どう展開していくかを検討していくと良いようだ。
(9)改めてアメリカのすごさは
「コミュニケーション」「セレブレーション」「マニュアル」にあること
■ アメリカは、移民の国として発展してきたため、言語や人種がさまざまです。
そのため、次のことが発展したように思います。
それは、経営にとってとても大切なことだと思います。
■ コミュニケーション
わかりやすさ
伝わりにくい環境があったため、
逆にわかりやすさが発展したように思います。
ノードストロームの従業員ハンドブック。
スチューレオナードのポリシー。
お店も何屋かわかり易い。
伝わりにくい環境
識字率 日本 99.8%
米国 79%~50%(正確なデータは把握されていない)
■ セレブレーション
エンターテイメント性
これも、伝わりにくい環境が背景にあったため、
自分の感情を表現する方法としてエンターテイメント性が発達したと考えています。
バースデー、クリスマス、感謝祭、などなどのイベント
お店での表現力、ウエッグマンを始めとする、アメリカの陳列技術には驚きとともに勉強になります。
■ マニュアル
マニュアルは、従業員を育てる上で最低限必要なもの。それを、マニュアル通りなど、マニュアルが悪いように思われているのは、マニュアルを最低限のレベルと教えられなかった、日本の経営者のミスだ。
生産性を上げるために
考え直さないといけない。
・わかりやすさ
・誰もができる
・人を讃える
これを進化させていくのが日本の生産性を上げるひとつになりそうだ。
(アメリカポートランドにあった駐車場、自分でネットで支払う仕組みになっている
人を介さない、それと、会社側に負担がない個の両立が生産性を上げているアメリカの理由だろう。
日本は、必ずと言って良いほど、精算機がある。精算機の導入維持管理費は高い。)
(10)「環境、サステナビリティ、健康がますます注目される。」
世界最大のテクノロジー見本市CES。2024年1月で感じたのが
「環境、サステナビリティ、健康」の出店の多さと、関心の高さです。
■自転車
スタートアップに何社かあったのが
自転車。
それの中で面白かったのが
自転車のタイヤのスポークがないタイプ。
それは、今結構あるのだが
そのタイヤの中心に広告を映し出す。
そして、それをそこの会社はネットワーク化しようとしている。
つまり、自社の自転車を購入してくれると
広告収入も入りますよってモデル。
さらには、走れば走るほど収入も上がる。
健康と収入が比例するのも面白い。
これは、ギグワーカーと呼ばれる
インターネット上のプラットフォームサービスを介して単発の仕事を請け負う労働者が広がったように
これからは、製品を出すにもつなげる能力が必要。
キーワードは、「広告、稼がす」ということのようだ。
■技術の深化、日本が強い!
今回面白かった、興味深かったのに
スタートアップで日本企業の評判が良かったこと。
0から1にするのは、アメリカが強いのかもしれないが
1から100にするのは、日本が強い。
ひとつは、LEDの液晶がテープになっていて
例えば、エスカレーターの手を変えるベルトが全部液晶になるとかできる
液晶テープの会社があった。用途は様々だがいろいろできそうだ。
メガネをかけると、自動で焦点を合わしてくれる。
近視でも、遠視でも、老眼でも瞬時に合わせてくれる。
老眼と近視用の2つを持たなくても良いし
目の度数が変わっても変える必要がないメガネ。
人の声がハッキリ聞こえるスピーカー。
この原理を知ったときに驚いた。
あんがい、改善は少しの工夫から生まれるようだ。
日本のスタートアップ企業は熱い。
■ サステナビリティ、環境の意識がますます高まっている。
ホンダは、「0(ゼロ)シリーズ」というゼロエミッション車の電気自動車を発表していた。2026年発売予定らしい。
LGやSamsungのブースでも
エネルギーの循環システムを展示していた。
3Mでは、通販の伸びで梱包材も使用が増え
それを廃棄材から作って梱包材にするものが出ていた。
すごく良いアイデアだった。
■ 健康分野は進化している。
3,4年前から発展してきた分野だが
そのころは、スキャニング、センサー、ウォッチ型などで
より良くなるためのものが多かった。
それが、ここに来て
事前、予防の分野が進化し
さらに、良いではなく
よりパフォーマンスアップにつながるものが出てきている。
(11)「カナダ一のNO1チェーン店」
カナダで、人気なファーストフード店Tim Hortons(テムホートンズ)に行かれてみては?
全カナダ3579店
スタバは、カナダに、1445店で
スタバを圧倒してます。
日本のマクドナルドが、
2,950店なので
カナダ人口3825万人と、日本の約3分の1しか、いない国で店舗数としては、非常に多いことがわかります
ちなみに、カナダでのマクドナルド店舗数は、1,370店です。
ドーナツ屋さんが元ですが
日本のミスタードーナツのように、いろいろあります
サンドイッチおいしいです。
https://www.timhortons.ca/
(12)「ビーガンバーガー」
「ネクスト・レベル・バーガー」というポートランドにある
ビーガンのハンバーガーショップ。
オーガニックかつNo GMO(遺伝子組み換えでない)食材で、100%植物性のバーガー。
植物性だから、味はどうなんだろうと思っていたのですが
これが、ハンバーガーとしておいしい。
ちゃんと、肉肉しさがあるのです。
そして、値段も他のハンバーガー店と変わりがない。
これなら流行るだろうなーと
すごく納得したのでした。
Classicバーガー
シングル 7.95ドル
ダブル 10.95ドル
シェイク 7.45ドル
https://www.nextlevelburger.com/
(13)「ナイキから学ぶ」
・会社の歴史は、価値を伝えるもの
会社組織は、根底で何かでつながり、
大切にするものなどをわかりやすく社員で共有しないと
バラバラになってしまうので組織力が発揮されない。
バラバラな組織は
綱引きと同じで
数が多いと総和力が上がるかといえば
そうでもない。
1+1+1が3以下になるのがバラバラの組織で
優れた組織は3以上になる。
そのためにナイキは
創業時をわかりやすく伝える
展示室がある。
ここから始まったというのは
根底で価値観をつなげるのにすごく良い。
・何を大切にするか?(ナイキは、根性、ビジョン、製品)
これをわかりやすくするために
創業期の3人をモデルに語られている。
・人の名前を讃える
本社のすべてのビルは、選手の名前がビル名になっていて
讃えるようになっている。
・いつまでも讃える
引退しても、讃える。
これは、選手だけではなく、ビジネスパートナーもそうで
ナイキが業績悪く大変だったときに
日商岩井(現双日)が助けた。
その恩を忘れないように
日商岩井を讃える日本庭園が本社内にモニュメントともにある。そして、今でもナイキ社員と、日商岩井とで集いがあるそうだ。
・アイデアは井戸端会議(Hall way conversation)
アイデアは人と人との雑談から生まれると言われるが
それができるような、事務所の作りになっているそうだ。
・評価の仕方
どういうプロジェクトをしているか?
どういうアイデアを出したか?
ポジティブか?
マルチプレーヤーか?
チームのためになっているか?
相対評価であり、360度評価(他部署が評価)
を対談の上にしているそうだ。
相対評価は、特に日本の中小企業は、取引会社に評価してもらうと良いと
すごく感じた。
(14)「業績良いお店の数々」
■どこで儲けるかを考える(キャッシュポイントはどこか?)
■北米に174店舗ある「バス プロ ショップ」
2023年73億ドル(約1兆円)売上
うち4億8630万ドル(約730億円)がインターネット通販
https://www.basspro.com/shop/en
https://www.statista.com/statistics/1131415/bass-pro-retail-sales-us/
https://ecommercedb.com/store/basspro.com
とにかく日本では経験したことがない大きさの店舗だ。
アウトドアが好きな人なら
見ても楽しいお店。
アメリカ行かれるなら見てみると面白い。
ここのキャッシュポイントは
・安い土地に出店する(経費削減)
・PB商品が多い(利益率アップ)
・リピート率アップのため消耗品を通販で販売
これがここのキャッシュポイントだ。
ちゃんと利益が出ること、
どうリピートするか?
これは、最初から考えておかないといけない
経営者の役目であろう。
■アメリカ408店舗の「In-N-Out Burger」
2023年 5億7500万ドル(約860億円)の売上
1店舗当たり、2億円以上の売上
https://www.in-n-out.com/locations
https://www.zippia.com/in-n-out-burger-careers-27105/revenue/
https://leadiq.com/c/in-n-out-burger/5a1d89f42400002400635117#
ここのお店は西海岸で有名なハンバーガー屋さん。
確かに美味しい。
しかし、美味しいだけは飲食店は儲からない。
キャッシュポイントがどこかによる。
ここがすごいのは
メニューの絞り込みだ。
どんなお店会社でも
商品点数、サービス点数を減らすことができれば
利益効率は上がる。
しかし、吉野家の牛丼が狂牛病の時に苦戦したように
単品商売は効率が良いが何かあったとき弱い。
だから、メニューはある程度そろえるのだが
うまくいっている分には単品勝負はとにかく
利益率が良くなる。
ここのメニューは
ハンバーガが3種類
(ダブルダブル、チーズバーガー、ハンバーガー)
フレンチフライ
あとは飲み物
飲み物は、ドリンクバーなので
メニューとしては、ドリンクバーとシェイクだけになる。
これができるには
おいしさの品質を落とさないことが前提になる。
■sam’s club(サムズクラブ)好調な理由は?
サムズクラブの純売上高(会費を除く)は43%増加した。パンデミックによる在庫問題やインフレの長期化にもかかわらず、既存店舗の売上高は12四半期連続で2桁の伸びを記録している。
平均賃金を31%(会計年度比)引き上げた。
6つ変革
1つ目ゾーンディフェンスとでもいうべきワークグループへ変えた
職務コード62%減らし。
2つ目の変革は、ブロックスケジュール制度を導入。
朝、昼、夜のシフトわかるようにした。
3つ目は、クラブの品出しを夜間から日中に移した。
4つ目は、「マーチャンダイジング・リセット」と呼ぶもの。SKUの数を減らし、パレット主導にし、手作業による棚への品出しを減らすことでした。これは品出しの作業を簡素化する大規模な取り組み。
5つ目は、一連のアソシエイト向けアプリの導入です。「アスク・サム」(サムに聞け)を使えば、商品の価格や場所、在庫状況を調べることができます。
6つ目は、賃金投資として実施した賃上げの第1弾です。賃上げは、他の変革とうまく足並みを揃える形で実施したかったので、これは変革が進むにつれてさらに賃上げをすることを前提とした第1弾でした。
(サムズクラブは、会員制だ。だから会員にならないと入店できないし、買い物ができない。しかし、会員でないが入りたいと、お客様カウンターに行ったら、できないと言われたのだが、少し待ってと、マネージャーを呼び出し、マネージャーが、1回限りのパスを出してくれた。顧客対応も満足行くお店だ。)
(15)「メキシコで思ったこと」
メキシコシティは、メキシコの首都。
標高が2,240mと高く
軽い高山病になる人もいるようだ。
そのメキシコでは
歴史の資料館や、教会を見て回った。
その時にわかったのが
日本は、先祖が優秀で
今の日本を遺してくれたと
感謝しなければならないと言うこと。
メキシコは、紀元後200年頃に建てられたピラミッドがあり
当時は高度な文明があったとされている。
その後1520年頃に
スペインがやってきて
征服をした。
征服の仕方は
どこの国に行っても同じやり方などだが
まず、宗教、キリスト教を持っていく。
そして、貧しい、食べられない、自由がないのは
統治している人が悪い
お祈りをしようと
宗教を普及させていく。
その次に
一揆のように王様が悪いとスペインが
市民の力を手助けして闘う。
当時のメキシコは鉄の無い国だったとかで
鉄、鉄砲を使うスペインに歯が立たず
あっという間に植民地になってしまう。
宗教が悪いわけではないが
それを利用した王様が一枚上手ということだろうか。
スペイン、ポルトガルは日本にも同じ頃に
来ていたが
日本の当時のトップ
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康は
技術や科学などは上手に取り入れ
宗教の普及はまずいと思ったのかさせなかった。
そのおかげで
世界中が植民地化されていったのに
日本は助かって、今がある。
ものすごく、ありがたく
今も自由に日本語を使い、日本人として
やっていられるのは
日本の先人のおかげだろう。
と言うことがメキシコでつくづくわかった。
とても面白い旅だった。
最先端を勉強するのと
過去の歴史を一緒に学ぶ。
それが贅沢な勉強方法かもしれない。
メキシコの首都メキシコシティは、標高が高いところが貧しい地域だそうだ。
スラムのようになっていて、その町を、ロープウェイが結ぶ
ロープウェイが綺麗だな、観光用かなーと思ったら異なり
もっとも、敷設が早く安いのだとか
ピラミッド、エジプトのようにお墓ではなく、祭壇。
テンプロ・マヨール。アステカの中心都市テノチティトランの中心にあった巨大な神殿跡地。
スペインによって侵略・破壊された。
メキシコシティは元々湖、スペイン侵略後埋め立てられた。
(16) まとめ
●賃上げ=効率上げるをセットで会社に導入すると、社員は受け入れやすい
●生産性アップ=利益アップという発想で戦略を練る
●時代適合が大切、それにはつなげる能力がポイント
例えば、
本屋とジムをつなげて新たな付加価値を作る。
自転車のホイールと広告をつなげて新たな付加価値を作るなど。
● アメリカ型ビジネス(興奮型)はしない方が日本人には良い
興奮型ビジネスの追求は、従業員も経営者も幸せに成りにくい。
ただし、ビジネスモデル(キャッシュポイント)は、アメリカが参考になる
忙しい経営者に成り代わり、経営者視線の世界の動向をお伝えしました。
中小企業が元気になれば日本が元気になると思っています。
一助になれば嬉しいです。