会社を成長させるトップの色使いとは?
前回は、トップの立場における外見の作り方を改めて客観視する内容でしたが、今回は、具体的にどう色を使いこなしていけば良いかシーン別にお伝えします。外見づくりは自分の「個性」を存分に表現できる場でもありますが、ただ闇雲に「好き」で全身まとめてしまうと周囲からはそんな個性溢れる姿への接し方がわからず困惑されてしまいます。ビジネス面では自分の「好き」から、事業や会社の成長のためという気持ちで、身だしなみ全体を考えていきましょう。
商談では色をしっかり統一する
最初に商談でのお話です。皆さん色々な企業とお取引があるかと思いますが、中でも商談というシチュエーションは、毎回緊張されるかと思います。商談時に最も気をつけて欲しいことは、「色の多様化」です。好きなブランドやスタイルで統一するのも良いですが、それ以上に色だけは毎回しっかり統一してください。新しい事業が始まるか始まらないかは、社長の色にかかっていると言っても過言ではありません。
お勧めは、青や紺色などのブルー系で統一すること。赤や黄色などの元気な色は、事業がスタートしてからはとても良いですが、最初の大事な話合いには不向きです。青を身につけることで「この人は冷静で今この話に集中し、真剣に話に向き合っている」という態度が相手に伝わります。相手との信頼関係ができ、商談もスムーズに進んでいきます。
途中でこじれそうになっても、青を味方につけて進行することで、良い終わり方につながることでしょう。こうしたおしゃれ感と信頼感の絶妙なバランスが経営者には必要です。
スピーチの色づかいにもルールあり
次は前に出てスピーチをする時の色使い。これは時と場合によって使い分けるのが良いのですが、やる気、情熱を訴えかける時は、赤のネクタイやチーフをさりげなく取り入れると良いでしょう。前アメリカ大統領のトランプ氏はこの赤の使い方がとても上手でした。トランプ大統領=赤、というくらいに記憶していた方も多いのではないでしょうか。
赤のような強い色は苦手…という場合は、真っ赤ではなくエンジ色に近い落ち着いた赤を取り入れれば、同じ赤系でも品良くまとまります。また、真剣で緊張感のある感じを伝えたい時は、先ほどの青を使うのも効果的です。発信する側の真剣なメッセージがストレートに伝わっていくでしょう。状況に合わせた色を使ったスピーチをぜひ実践してください。
社員と大事な話をする時は親しみやすさを
社員に大事な話をする時の色づかいは、具体的にこの色!というより「柔らかい色」を意識しましょう。特に普段厳しい話し方をしがちな方は、ネクタイやYシャツだけでなく、スーツごと優しい色にしてもいいでしょう。すると、部下たちは社長の話を冷静に受け止めることができます。部下の方からも話しかけやすくなり、お互いの距離も縮まります。社長が社員の気持ちを考え、色を上手に使い分ければ、社員との距離も近く、会社全体の風通しがとてもよくなります。
ただ柔らかい色と言っても、着古していて色褪せている状態のものは避けましょう。見た目の色が優しくても、これは誰がみても「色褪せ」と捉えられるので、大切な部下に対し、て自分を粗末に扱っているのでは?と言う印象を与えないようくれぐれも気をつけてください。
謝罪時の鉄則カラーは紺色1択
謝罪は最も気を遣うべきシーン。謝罪にふさわしい色を使うことが鉄則です。その筆頭カラーは、誠実さを表す紺色。あまり難しく考えず、紺色のネクタイやスーツを選びましょう。派手な色づかいはNG。シックな色づかいは反省の気持ちを伝えます。グレーは白でも黒でもない中途半端な色なのでどっちつかずの印象を与え、相手を不愉快な気持ちにさせてしまうこともあります。謝罪のときの手土産も、明るい色使いのものよりシックな色味でラッピングしてくれるお店を事前に調べておくといいですね。
活発な議論を生むには「ひらめきの黄色」
最後に、会議で活発な議論や新しいアイディアを期待したい場合には、ひらめきの色である黄色がオススメです。黄色のネクタイやYシャツなどの服装だけでなく、クリアファイル、ホワイトボードのマグネットの色、付箋の色など、小物で黄色を取り入れるのもお勧めです。
昨今はコロナ禍でオンラインでの対応が増えていますが、やはり要所要所で対面が必要になります。その際に色づかいも配慮されていると、様々なやり取りがスムーズに進みます。今回ご紹介したお話はシンプルですが、是非パーソナルな部分でも色に慣れて、日々楽しみながら足りない色を上手に補ってほしいと思います。
※本コラムはビジネス見聞録に掲載をしたものです。
■七江亜紀氏(ななえ あき)/株式会社ナナラボ 代表取締役
企業やビジネスパーソンをはじめ今まで3万人以上のカラーコンサルティングをしてきたカラーキュレーター®。
営業成績を向上させる服装の色から部下の力を引き出す色、会議を活発にさせる色など、コミュニケーション力、モチベーション向上などビジネスの場で色の効果を活用するカラーマネジメントを指導。その活躍はファッション、フード、インテリア等…ライフスタイル全般にも広がっている。主な著書に「オレンジこそ最強の色である」、「色が教えてくれること~人生の悩みの9割は「色」で解決できる」他多数。