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今月のビジネスキーワード「SNS戦略」

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SNSスタートのABC

――実際にSNSをスタートするためには、何から始めればいいのでしょうか。

最初に考えて欲しいのは目的。なんのためにやるのか。何を達成したいのか。ここが1番大切です。

もっとも多いのは認知の拡大です。「社名を知って欲しい」「商材を知って欲しい」などが典型です。BtoB企業では「想起」(商品やサービスが必要になった時に候補として自社を想起する)が多いかもしれません。

BtoBの場合は、商品導入のタイミングが限られていたり、認知から購入に至るまで時間がかかることが多いので、「想起」を目的にSNSを通じて細く長く潜在顧客とつながり続けるということもよくあります。

その他、「集客」「採用」「顧客サポート」など企業によって目的は様々です。

次が、ターゲット(ペルソナ)、対象のことですね。SNSを通じて、どんな人に商品やサービスを提供したいのか、情報を伝えたいのかを具体的に考えます。

3番目に、一口にSNSと言っても、様々なSNSがあることを理解し、4番目に、どのSNSが合っているのかを考えます。

実際にSNSを始めたら、やりっぱなしにならないように、KPI、いわゆる中間目標も決めて、月に1回くらいは効果測定、振り返りをしながら活用するのがいいでしょう。

リソースを確保してSNSを始める

――SNSはほとんど費用をかけずにスタートできるので気軽に始めるというのは間違いでしょうか。

間違いではありません。実際、中小企業がSNSを選ぶべき理由の一つに「費用がそれほどかからないから」という内容が入っています。

ただ、無料で手軽にできるから若手社員に「お前やってみろ」みたいなやり方は、ちょっと危険かなと思います。

SNSを活用し続けるのであれば、会社としての1プロジェクトとしてある程度のリソースを確保した方がいいと思います。

また、ブランドや商品やサービスなどについての情報を発信するので、経営層やその商品やサービスの責任者などとも話しあってどんな情報を発信していくのか決めるべきでしょう。

――具体的には、どのような体制で取り組めばいいのでしょうか。

SNSの運用は、ひとりではやらせないことが鉄則です。少なくとももう一人、たとえばメインの担当者の上長や部門の責任者なども含めて二人以上の体制をつくるべきでしょう。

理由の一つは、業務量が増え、休みがとれないといったことになりかねないからです。

また、担当者が一人では引継ぎもできません。仮に担当者が退職したり転職したりすれば、分かる人がいなくなり、アカウントを閉鎖せざるを得ないということになりかねません。

こうしたことは大企業でも起こっています。

もう一つはリスクマネジメントの観点ですね。炎上するリスクはないか、誤字脱字はないかなど、投稿前に必ず、誰かが原稿のチェックをすることは大切です。

――だいたい何人くらいで担当しているのでしょうか。

大企業が主な調査対象のようでしたが平均2.5名という調査結果があるようです。ほとんどの方が兼務だそうです。

――中小企業だと人員の確保は厳しいような気が。

どうしても一人でやらざるを得ない場合は、ネタ集めも大変なので、社内の最新情報が入ってくるような広報やマーケティング部門をはじめ社内ネットワークの構築をお勧めしています。

そのためには、まず経営層を通じて、これは社内プロジェクトであることをアナウンスすることが必要でしょう。

どんな情報を発信すべきか

――SNSでは、どんな情報を発信すればいいのでしょうか。

新製品やサービス、他社と比べた場合の優位性、イベント紹介、キャンペーン、社員紹介、会社紹介、メディアで紹介されたことについてのお知らせなどプレスリリースやメールマガジンに掲載したいような情報は、SNSの投稿に含めると良いでしょう。

――そう考えると、SNSへの投稿のネタは沢山ありそうですね。

ただし、こうした内容を伝えるだけでは一方的になりがちです。そこで、ファンやフォロワーとの関係を深められるような要素を入れることが必要です。

たとえば豆知識的なもの、意外な便利情報、あるいはクイズやアンケート、間違い探し、パズルなどの形式を使って情報を伝えると、ユーザーがコメントを入れたり、親近感をもちやすくなります。

また、キャラクターを持っている企業であれば、そのキャラクターを使った投稿にするとか、かわいい動物の写真などを含めたりしても親近感をもたれやすくなります。

――いろいろなやり方があるのですね。

SNSの担当者が毎日のように登場し、挨拶をしたり、ユーザーからの質問に答えてくれたり、社内や社員、商品を紹介していくといったやり方も親近感を覚えるものです。

タイムリーな要素も必要となるので、記念日ネタ、季節ネタを仕入れるのもいいでしょう。あるいは発信時間に合わせて「おはようございます」とか「お疲れ様でした」「良い週末を」などを加えたり、話題のニュースやドラマや映画、漫画などの話題を含めるのもいいでしょう。

可能であれば、企業が本当に発信したい情報に絡めて投稿するというやり方がファンやフォロワーとの関係を深めることにつながります。

また、親しみをもったり有意義だと思えば保存したいなと思うようになり関係性はより深まっていきます。

――途中で挫折しそうな気もしますが、続ける秘訣というのはありますか

投稿予定カレンダー、いわゆるコンテンツカレンダーをつくることをお勧めしています。早めに投稿内容を決めておくのです。

今3月半ばですが、多くの企業様はすでに5月分まで、早いところでは6月分までつくっています。

たとえば5月なら5月1日から5月31日まで、この日は是について書くといった1行1投稿案みたいなものを作ってしまうのです。

それを編集会議のような場でブレーンストーミングなどで内容をつめていく。このようなやり方をお勧めしています。

そして内容の承認がとれたら、どんどん原稿をつくり、上長などの原稿チェックを終えたら、どんどん投稿予約をする。それが自転車操業にならない秘訣です。

――そんなに前倒しで考えるのですね。

そうですね。コンテンツカレンダーを作る際、まずやるべきことは、投稿を必ずする日と投稿を避けるべき日を決めること。

投稿を必ずする日は創立記念日、新製品の発売日など、会社にとってタイムリーな情報発信が必要な日です。

一方、投稿を避けるべき日は、過去に大きな災害や事件などがあった日、多くの人の悲しい記憶を呼び起こすような日ですね。

そんな日に楽し気な投稿やクイズなどを出したりすれば「不謹慎だ」「無神経だ」などと言われて炎上する可能性があります。

ですから、そういった日は「炎上危険日」とあらかじめコンテンツカレンダーに書いておくのです。

どうしても、その日に投稿する必要がある場合は、投稿時間に配慮したり、投稿内容をいつも以上に確認すると同時に、炎上していないか定期的にコメント欄などをチェックすることが必要です。

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