――ところで、同じSNSに採用の情報と商品やサービスの情報を掲載すると統一性に欠ける気がしますが…。
目的、対象によっては、アカウントや利用するSNSを分けた方がいいでしょう。ただし、リソース的にいくつも運営するのが難しい場合は、シリーズ分けみたいに、学生向け情報、商品情報などタイトルをつけたり、曜日によって、投稿する対象を変えたりといったやり方をしているケースもあります。
どのSNSを選べばいいのか
――利用するSNSは、どのように選べばいいのでしょうか。
各SNSは表のように、それぞれ特徴があります。ユーザー数や属性、強み、弱みなどを比較しながらターゲット/ペルソナに近いものを選びます。
たとえば10代の若者を採用したい場合はTikTokやInstagramが使われるケースが多いですね。
また、高級車やアルコールなど男性向けの嗜好品とか、30代以上の会社員や会社役員などをターゲットにしたようなビジネスでは、まだまだFacebookが利用されています。
――SNSは一つだけやればいいのでしょうか。
最初は1つからスタートしても、可能であれば2種類以上は使った方がいいと思います。理由はリスク分散ですね。
SNSは海外の企業が、ある意味無料で提供しているサービスなので、突然サービスを停止する可能性もあります。
また、FacebookとInstagram、あるいはThreadsを利用しても、これらは同じ会社が提供しているサービスのためリスク分散にはなりません。
――次々に新しいSNSが出ますが、利用しているSNSの人気が著しく落ちた場合はアカウントを消してしまった方がいいのでしょうか。
消せば検索できなくなるので、消さずに、「どこそこのSNSに移動しました」といった一言を書き添えておくのがいいでしょう。
――投稿の頻度は、どのくらいがいいのでしょうか。
ユーザーに好まれる頻度、各SNSの表示についてのアルゴリズムから、最適なのは、たとえばFacebookは1日1本、あるいは2~3時間開けて2本。Xの場合は1日何本でも大丈夫です。
投稿本数よりも、むしろタイムリーに連続して投稿する方がユーザーは喜ぶ傾向にあります。
Instagramはフィード投稿と呼ばれる通常の投稿なら週に3~5本くらい出せるといいと思います。LINEの友達登録した人への一斉配信のメッセージは、週に1本くらいと言われています。
――SNSを始めるためには事前準備をきちっとすることが大切なのですね。今後、SNSはどのように発展していくのでしょうか。
SNSの世界はスピーディーに変化しているので、たとえば1年後にこの顔ぶれのままとは思っていません。
新たなSNSが誕生したり、どこかとどこかがくっついたり消えたり色々な展開があると思いますが、SNSというような構造は5年くらいは変わらないと思います。
今後、変化があるとすれば、今以上に動画、特にタテ型の動画というものがSNSの世界では、より一般的になっていくであろうと思います。
また、よく言われていますが、メタバースや生成AIがどんどん入ってきますので、全部が融合したコミュニケーションツールというカタチに発展していくのではないでしょうか。
――本日はありがとうございました。(聞き手/カデナクリエイト 竹内三保子)
ビジネス見聞録WEB4月号 目次
・p1 収録の現場から 〈福岡雄吉郎「オーナー社長の賢い節税100の打ち手」音声講座〉
・p2 講師インタビュー 田尻望《キーエンス流「付加価値経営」と生産性を高める法》
・p3 今月のビジネスキーワード「中小企業のためのSNS活用」
・p4 令和女子の消費とトレンド「令和のベビー市場はなぜ堅調?」
・p5 展示会の見せ方・次の見どころ
後藤真理恵(ごとう まりえ)
東京大学文学部卒。日本オラクル入社。技術者向け研修サービス、マーケティング、パートナービジネス関連業務に従事。2013年、コムニコ入社。数多くの企業のSNS活用を支援して得た豊富な知見とノウハウを積極的に発信し、SNSマーケティングの正しい知識の啓発や業界発展に努めている。2016年11月、SNSエキスパート協会代表理事に就任し「SNSエキスパート検定」「SNSリスクマネジメント検定」を通して人材育成にも尽力。各種寄稿やカンファレンスでの登壇など実績多数。著書に『SNSマーケティングはじめの一歩(技術評論社)』『SNS戦略(翔泳社)』などがある。