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第17話「カードケータイ」が示す、ニッチ商品開発のカギ

北村森の「今月のヒット商品」

NTTドコモが11月下旬に発売した「カードケータイ」、手に取った方もいらっしゃるかと思います。
 
まず、この写真を見ていただければ、その特徴はすぐに分かりますね。
 
mori17_1.jpg
 
原稿通信規格である4Gケータイ端末としては、世界最薄、最軽量である、と謳っている一台。割引を含めた実質的な価格は1万368円です。
 
縦横のサイズは名刺と同じで、薄さは5.3ミリ。重さは約47グラム。11月初旬から予約受付を始めていたのですが、予想以上の反響らしい。
 
この商品が話題になっているのは、とても面白い現象に思えました。なぜなら、この「カードケータイ」って、確かにサイズと重さに関して特筆すべき部分があるものの、使える機能については相当に絞ってきているからです。
 
ざっと書きましょう。まず、カメラは備わっていません。おサイフケータイ機能もない。それと、アプリの追加もできません(LINEアプリひとつ、使えないということ)。
 
まだあります。画面はモノクロの電子ペーパーであり、省電力ではありますが、バックライトがないので暗闇では画面が見えません。ウェブ閲覧はできるにはできますが、モノクロということもあって使うには最低限であるし、動画の閲覧には対応していません。
 
現在、多くのケータイユーザーが当たり前のように必要としている機能が、ごっそりと省かれていますね。だったらどうしてそこまで、ユーザーからの反響が大きいのか。
 
要するに「2台目の端末」としてのニーズに応えようという位置付けの商品である、というわけです。
 
mori17_2.jpg
 
1台目のケータイが、高機能なスマートフォンであれば、2台目では重複する機能は要らない。そういうことです。
 
私、ヒット商品づくりについて考えるうえで、この「カードケータイ」には参考にすべき点があると感じました。
 
それはなにかと言いますと……。「なにをやるか」よりもまず「なにをやらないか」を決めるほうが、ヒットに近づける可能性があるという話です。
 
この商品の場合、本体を名刺サイズにすること、それと軽くすることが、最も大事なポイントですね。これが中庸なサイズ(そこそこ小さい)、中庸な軽さ(そこそこ軽い)だったとしたら、ここまでの注目は浴びなかったはずです。
 
小さく軽く、という旗を掲げ、それを最優先に開発した跡が見て取れるからこそ、面白い存在だなと多くの人が感じるわけでしょう。これでもし、「でも、やっぱりこの機能はつけておかないと……」といったふうな躊躇があったとしたら、ここまで最薄最軽量の商品にはできなかったに違いない(ちなみにスピーカーも備わっておらず、そのため、この端末の操作音は昔懐かしいブザー音と成っています)。
 
mori17_3.jpg
 
「なにをやるか」よりもまず「なにをやらないか」を決めにかかるという作業は、簡単なようでいて、難しいものです。「やらないこと」によって、消費者がそっぽを向くかも、という懸念は、商品の開発担当者のなかに当然生まれてしかるべきだからです。
 
しかし、その局面で、あれもこれもとなると、商品のエッジは削がれていってしまいますね。エッジのない商品というのは、市場のなかですぐに埋もれます。
 
「やらないこと」を決める勇気が、ときにやはり大事なのだなあ、と改めて強く感じさせてくれた商品でした。それってなにも、今回取り上げた「カードケータイ」のような、いわばニッチ(隙間狙い)の商品の開発に限ったことではない、重要な考え方ではないかとも思うのです。
 

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