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マネジメント

第八十三話 「現場で手を打つ」「即断即決」(角上魚類株式会社)

社長の口ぐせ経営哲学

イノベーション(革新、刷新)の重要性が叫ばれ始めている時代でもある。
「魚離れで日本人は魚を食べなくなった」という風潮がありそうだ、という意見に対して、真っ向から間違っていると言い切る鮮魚専門店のオーナーがいる。首都圏と新潟県に鮮魚専門店を20店舗展開する角上魚類株式会社(本拠地は新潟県長岡市寺泊)の代表取締役社長柳下 浩三氏(70歳、やぎした・こうぞう)がその人である。


魚離れは起きていない。売り方次第で魚は売れると自信を持っているのだ。昭和40年代、スーパーマーケットが台頭してくると、卸問屋の魚商売は取引先の激減で売上げが下がっていた。柳下氏は、スーパーマーケットの鮮魚コーナーを視察して驚いた。卸値の2~3倍の高い値段で魚を売っているのを見て、「これなら、自分で小売店を開業して、お客様にもっと新鮮で、もっと安く提供できる」という、ヒラメキが浮かんだ。


昭和49年、小売り業の進出が決まった。スタートはロードサイドの売場20坪の小さな店だった。来てもらったお客様に喜んでいただくために一生懸命に商売をした。その時に、4つの良いか、「鮮度は良いか」「値段は良いか」「配列は良いか」「態度は良いか」というモットーが生まれた。わざわざ買いに来ていただくお客様に、“来て良かった”と言わせるような魚屋を目指している。


魚は他の食材と違って、価格を決めるのが難しい商売だ。ある意味、毎日、魚の値段は異なり、チェーン店の展開が難しいという側面がある。寺泊という立地を生かして、全国の漁港から魚が集まる新潟と築地の市場に、競りのためのスタッフ合わせて15名、安くて新鮮な魚を仕入れている。漁獲量によって、魚の値段は毎日違うだけに、新潟と築地の市場で見比べて仕入れている。安さの秘密はここにある。


「魚を売る側が『買う立場の人』、つまり、お客さまに喜んでいただける商売、魚を買ってもらえる満足感を提供できれば、魚離れなんて起きない」と柳下浩三社長。同社は他社と異なる差異化戦略を徹底している。「買う心 同じ心で 売る心」をモットーに掲げて、徹底した買う人目線、顧客の立場からの発想で商売を展開している。


柳下浩三社長は抜き打ちの現場回りを行う。「現場で手を打つ」「即断即決」「すぐやれ」が口ぐせだ。社長自らお客さまの目線で現場を見て回る。そこで気がついたことを店長に指示する。現場の変化を敏感にキャッチすることが経営者として重要だ、と言い切る。


 

                                                    上妻英夫

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