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戦略・戦術

第二十四話 部下の不安や疑問の解消とやる気を引き出す第一歩とは?

中小企業の「1位づくり」戦略

ある経営者から相談を受けました。

「社員がやりがいをもち成果を上げるには、どうすればいいのか?」

 

ミシガン大学がチームメンバーの働く意欲に、
最も大きな影響を及ぼすのは何かということについて研究をしました。

 

調査によると、給料は低いと労働意欲は低下しますが、
給料を高くしてもある一定のところまでいくと、
急に相関関係を失うことを発見しました。

 

作業現場の環境や福利厚生の待遇も、一定条件に達すると、
それ以上よくしても作業員の意欲や生産性との相関関係は成立しなくなります。

 

調査の結果、作業員の仕事に対する意欲や仕事量に対して、
最も強い影響力を持っているのは、作業員とリーダーとの人間関係、
および作業員同士の人間関係であることがわかりました。

 

同じことが、ランチェスター・リーダーシップ戦略でも解明されています。

 

チームの生産性を高めるためにはリーダーの実力が大きく影響を与えており、
リーダーシップには、大きく3つの要因があるといいます。

 

3つの要因とは、「仕事に対する熱意や意欲という精神的な力」と
「部下とコミュニケーションを増やし人間関係をよくする能力」、
そして「事業戦略と戦術の知識と戦術の実行能力」です。


つまり、リーダーシップは、リーダーシップという1つだけで決まるのではなく、
3つの複合体で決まるのです。
 

  • 事業をより良くしたいという願望をもち、
  • 部下との人間関係能力を高め
  • 事業戦略知識と戦術実行力の3つが必要になる。

 

良い事例があるので紹介しましょう。

 

創業100年を超えた大阪の町工場の三好キカイの取り組みです。
http://www.miyoshikikai.co.jp/

 

三好キカイは大正8年(1918年)に大阪で金属部品加工の事業を始めました。

現在は川西市に本社機能と工場があり、
大阪・東京営業所の2か所を中心に販路強化を行っています。

 

同社は産業機械・精密機器に利用される
ユニバーサルジョイントに特化した専門メーカーで
従業員数は約60名です。

 

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業界での占有率は高く、専門性を活かした事業は
日本全国の製造現場から引き合いが寄せられています。

 

代表の三好公一さんは、
「働き甲斐のある職場をつくり、事業をより良くするため、
部下との対話が何より重要だと考えています」と話してくれました。

 

経営の目的はお客さまをつくり、利益を出し続けることです。

 

また、それ以外にも会社には目的があります。
それは「働く人の幸せづくり」です。

 

そこでコロナも収束してきたので、
今年も全社員を対象とした個別の面談を再開しました。

 

今回は面談を行う前に個人面談の目的を伝えました。

 

「スタッフが自分の家族を入れたいと思える会社にしたい!
そのために会社が取り組んでいることをどのように感じているのか?
会社での生きがいや、やりがいを感じてくれているのか?
を共有することが目的です」

と、一人ひとりに語り掛けるように話しました。

 

ある部下からは「目標管理シートがボーナスの査定にだけ使われている」とか、
また別の部下からも「自分のやりたいことと違うことが目標になっている」
などの声を聴くことができました。

 

本来、目標管理シートは、個人のスキルアップと
やりがいを感じられるように取り組みを始めたはずでしたが、

私の意向と全く違った印象を持っていることに気が付きました。

 

個別面談では話を聞くことに徹底していますが、
「みんなと一緒に改善し良い会社をつくっていきたい」と私の想いを伝えると、
前向きに自分の考えや意見を話してくれる場面が以前よりも増えました。

 

スタッフが成長し、人生がもっと楽しくなれる環境をつくるのが私の仕事です。

職場でのやりがいが人生のやりがいにつながるお手伝いをしていきたい!です。

 

それから数日して、三好社長からメールで相談の連絡がありました。

 

『今月決算で利益が出たのでヒーローボーナス(コロナ慰労金)として
スタッフに一律7万円を出すことにしました。

またメッセージを書こうと思っています。

コロナを怖がっているスタッフに負けて欲しくない願いを込めて
メッセージを送りたいんです。

 

「コロナに負けるな」って書こうとしたんですが
負けるな→「負け」になるので良くないのかなぁと思いながらも、
「コロナに勝つ」もちょっと違う気がします。』

 

私は「コロナと共存」がいいのではないかとアドバイスをしたら、
彼からは、「このようなメッセージを添えて一人ひとりに
ヒーローボーナスを手渡しました」と写真付きで返信がありました。

 

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人は誰もが幸せになりたいと願い生きています。

不幸になりたいとは思っていません。

 

幸せになりたいと思う欲求は幸福欲といい、人間の欲求でもあります。

会社で働く人たち「より幸福になりたい」と期待を胸に入社してくるのです。

ですから会社の目的は「幸せをつくること」となります。

 

幸せを共に創りあげるための対話は、部下の不安や疑問の解消となり、
やる気を引き出す第一歩となるのです。

第二十三話 新型コロナウイルスをチャンスに変えた 小さな町工場の営業戦略前のページ

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