戦後最大の危機と言われたコロナショック。
営業自粛、面談拒否、展示会、イベント中止、
新型コロナ感染拡大の影響で多くの企業の受注が蒸発しました。
6月に入り、緊急事態宣言は解除されましたが、
新型コロナの影響が長引き
「どのような対応をすればいいのか?」
頭を悩ませている経営者は少なくなくありません。
日本経済新聞 社長100人のアンケートでは、
自社の製品やサービスの市場が回復するには
「1年以上かかる」と報じられていました。
現状を打破するためにはどうすればいいのか!
そこで大事になるのが
「着眼大局・着手小局」です。
全体像を冷静に正しく把握し、
すぐにできることから着手する!
とう考え方です。
つまり、長期的な視点と短期的な視点でモノを
考え行動することが求められるのです。
よい事例があるので紹介しましょう。
東大阪で熱処理後の金属加工専門
株式会社 永田製作所 永田弘社長の取り組みです。
永田製作所のWebサイト
http://www.nagataseisakusyo.com/
『緊急事態宣言後、
「私たちに何ができるのか?」を
考えました。』
と永田社長。
「リーマンショックのときは、激減する売上げを前に、
何をすればいいのかわからず、途方にくれていましたが、
今回は、10年前の教訓を活かしたいといろいろ考えました。
お客さまを取材してみることにしました。
コロナショックの影響で「営業活動ができない」とか
「新入社員が自宅待機しており、思うような教育ができていない」
というお客さまの声を聴くことができました。
ピンときました!
私たちがお客さまの新人教育を担当することはできないか?
と思いつきました。
早速、オンラインで、新人社員対象に教育カリキュラムをつくりました。
「業務に役立つ専門的な知識が得られる!」と
一枚のシートに企画をまとめ、顧客企業に提案しました。
たとえば、
第1講:金属加工の種類
プレス、成型、旋削、切削、研磨を理解する
第2講:切削加工の基礎知識・オンライン工場見学会・図面の見方
切削とはどんな加工か?何が出来て何ができないか?を学ぶ
第6講までカリキュラムをつくり主要顧客企業へ提案しました。
すると担当者から「これはありがたいことです。
すぐに見積もりをいただけませんか?」と返答がありました。
反応に驚きました。
「今回の新入社員教育は無償です。
お役に立てればうれしいです」と伝えました。
それからいくつかの企業へ提案すると、
つぎつぎとオンライン研修の依頼をいただきました。」
それから数日後、第1回目のカリキュラムを終えた
永田社長から連絡がありました。
「びっくりするような反響で、とてもうれしかったです。
新入社員を対象にしていましたが、
設計や技術担当の方まで参加いただきました。
まったくご縁のなかった担当者の方とも
お話ができてとてもうれしく思います。
今後も顧客に寄り添い、より良い未来を一緒に
創り出していきたいと強く思っています。」
(永田製作所の経営理念)
永田製作所の取り組みは、
短期的に売上げを伸ばすものではないかも知れません。
しかし、重点顧客との長期的な関係構築になることは
間違いのない事実です。
新型コロナの影響は長引くかも知れません。
私たち中小企業は、新型コロナを前提とした
ものづくりやサービス、販売のやり方を探ることが
重要な経営課題となるのです。