3.ドラッカーの教えを実践
ドラッカーの教えに触れ、顧客創造とイノベーションの重要性を学んだ山本相談役は、「この領域に資源を集中すれば勝機はある!」と単品加工に新たな可能性を見出しました。
パナソニックのマイコン炊飯器の開発ストーリーやマクドナルドのマニュアルに影響を受け、すべての作業のレシピ作りに着手しました。「作業は機械にさせて、人間はより創造的な仕事をする!将来は白衣を着て仕事をするんだ!」と職人たちへの養育も積極的に行い、将来のビジョンを語り続けました。
4.人の成長とモチベーション: ヒルトップの働き方
ヒルトップ株式会社の成功は、ルーティンワークからの脱却と人間らしい価値ある仕事への強い思いから生まれました。彼らの挑戦は中小企業が直面する課題解決に重要な教訓を私たちに提供しています。
特定分野で1位になることへの願望。
アルミ加工で頂点を目指す!絶対に大手には負けないという強い思いがあります。また、相談役は幼い頃に憧れたお茶の水博士のように、理想を追求し、現実を変える力が当社を支えてきたのでしょう。
また、人が人らしく働くことを何よりも重視しています。加工プログラムのオペレーションや製造プロセスを定量化し、ルーティン作業から人を解放すること対して強い思いを感じました。この思いは、現状を打破し、創造性を探求する仕事への道を開くものです。
工場内には大型機械が10台立ち並び、働く人はわずか3人です。彼らは機械に張り付くのではなく、治具やドリル、刃物の交換や作業現場の安全性を確認する重要な役割を担っています。自社開発のソフトを操作するスタッフは、対話を重視する8角形にレイアウトされたオフィスでグループ化されていました。
とくに、生産性を高めることや利益を増やすことよりも、人の成長とモチベーションを優先しています。人は創造的な仕事をするべきで、新しいことに挑戦し、得意分野の外に新たな市場を見出すことを重要視しています。
「ストライクゾーンから外れたところに新たなマーケットがあるのです」と表現していました。利益は一時的なものかもしれませんが、人と技術は残ります。そこに真の価値があります。
このような風土が同社に根付いています。仕事は楽しくなければならないという信念の下、B’zのコンサート用マイクスタンドの制作依頼など、多くの試作品を作り出しています。
顧客創造は新たなお客様との出会いであり、自分たちの市場を創り出すことです。展示会への出展は、未来の顧客作りのためのものです。
同社の理念は、理解と寛容によって人を育てることです。一生懸命に取り組んだ人を褒め、才能を伸ばすことに重点を置いています。スタッフがイキイキと働く様子は、工場視察で最も輝いて見えました。
5.ニッチ市場の独自戦略: 中小企業の成功モデル
ヒルトップ株式会社の成功の秘訣は、中小企業が競争の激しい市場で生き残るための重要な戦略にあります。この戦略は、大企業と直接競合するのではなく、独自のニッチ市場を見つけて特化することです。これにより、同社は限られたリソースを効果的に活用し、顧客に独自の価値を提供しています。
さらに、社員の才能と潜在能力を最大限に活かすための仕組みを重視しています。彼らは、単に生産性や利益の追求ではなく、社員の成長と創造性に重きを置いています。このような人中心の環境が、革新的な製品とサービスの創出に貢献し、企業の持続可能な成長を促進しています。
今回の視察で学んだことは、中小企業が市場で成功するためには、ニッチ市場に特化し、社員の可能性を最大限に引き出すことの重要性です。当社の取り組みは、他の企業にとっても大きなヒントを与え、人を育てる経営がどのように価値を生み出すかを示していると言えるでしょう。
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