カタログやチラシなどの紙媒体で成長してきた千趣会やニッセン、TVショッピングのジャパネットたかたといった大手通販企業は、ここ数年、ネット媒体を最重要課題として強化。その成果が数字にも如実に現れ始めた。
中でも千趣会は、受注の7 割がネット経由になるなど、短期間で消費者の注文方法がカタログからネットに移行している。また、ジャパネットたかたでは、すでにネット部門の売上がテレビを抜いており、「現在600 億円のネット売上を3 年後には1,000 億円に伸ばしたい」と意気込んでいる。
このように、デパートやコンビニの売上を優に越えて成長し続けているネット通販は、通販の主役として定着し、確実に新ステージへ向かっている。
私は今後、通販市場は全小売総額(2011 年は184 兆円) の10%程度と、現在の2 倍以上の規模に拡大すると見ている。それはアマゾン、楽天といったネット系大手企業の急成長、そして異業種から参入した専門店型のネット通販企業の好調な売上が、底支えしているからだ。
また、上場企業だけでなく、あらゆる業種の中小企業が、参入障壁の低いネット通販を新規事業の柱に位置付けていることも、その理由の一つである。
しかし、ネット通販は、「隣の芝生は青く見える」のごとく、外から見るのと違って、実際に手掛けてみると、一筋縄ではいかない。その大変さは、大企業でも同じである。
大規模業者だからといって、簡単に市場を占有できるほど簡単ではない。だからこそ我々にも、勝算があるのだ。成長と相まって激化しているネット市場で生き残るためには、通販ならではの価値訴求と人材育成に取り組まなくてはならない。