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経済・株式・資産

第23話 事業の建て直しには、結果としての計数が必要

あなたの会社と資産を守る一手

融資金が返済できなくなり、金融機関にリスケのお願いにいくと、経営改善計画をだしてくださいと言われることがある。財務内容が悪化した債務者でも「どうやって経営を建て直すのですか?」と銀行の担当者にたずねられることは多い。
 
だけど、それにたいする経営者の答えには、がっかりさせられることがほとんどだ。経費の削減やリストラ、コストカットといった言葉と、まだ実行されていない経営改善計画。
「あっ、やっぱりこの会社もダメ会社なんだ」 と 内心融資の担当者は思っていることと思う。
 
リストラ、コストカットで会社の収益力がつき、財務内容が良化し、余裕資金がでてくるかというとほとんどの場合で、NOだと感じる。
 
企業の財務内容が悪化し、収益力が弱まるケースのほとんどで、資金繰りに困難を感じて始めて危機感をいだくのが大方の経営者なのだ。別の言い方だと危機が具体的に「カネがない」という事態で感じられるのが一般的なのだ。
 
ところが、決算が終わって次の期にはいった段階で次期はこうなると予測でき、しかもそれが的中できる経営者も中にはいるのだ。前期の決算でだめなところはここで、いいところはここだから、それをこうしていけば財務はこう改善して次期決算ではこうなっているはずだと約1年後を予測し、それが的中する。
 
そして大事なことは、前期決算を分析し弱点の補強もそうだが、強みをどのように伸ばし収益を増強するかの施策がその段階で実行されていることなのだ。
もちろん、誰にも未来が見えない以上、その段階での施策はトライ&エラー にすぎない。
だが、この早い時期での トライ&エラー は他社よりも早い時期での建て直しを可能にする。
 
万一、経営改善計画をだすことになっても、今までの試行錯誤の経験があるので比較的簡単に地に足が着いた改善計画ができあがることとなる。
 
財務を知らなくても、早い時期での試行錯誤と地に足が着いた経営改善計画は作れるが、ここで財務を理解すれば、結果としての計数 を推測でき、理想的な経営ができあがることとなる。
 
グループ会社全体で百名以上の従業員を雇用し、その中核となる会社を破たんさせた地方のある経営者は、破たん数ヶ月前に僕のところに相談に来てそのままなす術もなく中核の1社は破たんさせたが、残りの会社は営業を継続。今ではすばらしいくらいの収益力をもつ会社に発展した。ここまでの期間はほんの3年程度のスパンなのだから普通ならありえないと思う。
 
だが、その経営者はまさに結果としての計数を生かし経営を改善していくタイプの社長なのだ。
昨年、しばらくぶりにお会いしたとき彼は自分の業界で収益力をつけるということについて優秀な経営コンサルタントと同じくらいにしっかりと理解されていた。こういう言い方は失礼かもしれないが3年前は彼は「減価償却」もよく理解していなかったくらいなのに。
 
空港に向かう車の中で彼の言った言葉がとても象徴的だった。
「僕、今は自分で会社の決算書を作っているのです」
 
計数の管理を税理士さんまかせにすることはできないのだ。

 

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