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- 東川鷹年の「中小企業の人育て」
- 第16話 管理職の最優先の仕事は”人を育てる”事
ある管理職が集まる会議の席で、先代社長からいきなり、「お前は誰を育ててるねん?」と全員が聞かれて皆が困った事があった。
「ええか!業績を上げ続けるのも成果を出し続けるのもすべては人や人を育てるのが管理者の最優先の仕事や!それを絶対に忘れたらあかんで!」
確かに、単に目先の業績を上げるだけなら何らかの方法はあるだろう。しかし、上げ“続け”なければ企業もそこにいる社員も存在価値はない。ましてや、これからの時代の管理職の存在価値とは、“いかに優れた社員を育てたか?”によって決まる。
現在、全国の企業へ自創経営の指導に奔走しているが、管理職の方々に、「管理職の仕事は何ですか?」と聞くと、「管理をする事です。」と答えられる。
「では、何を管理するのですか?」と聞いたら、「数字(製造であれば生産)を管理する事です。」・・・・
本来、管理職の方々の管理すべきは部下の行動管理であり、しかもその行動とは、『社員の成長につながり業績を上げ続ける行動』を管理している方が非常に少ない。
すなわち、“人を育てる”というのが仕事であるという認識がほとんどないのである。
「我々は先輩の背中を見て育ってきた。だから・・・」と部下を育てない言い訳をする方も多い。彼らが一般社員の頃は、高度成長からバブルにかけモノがなかった時代であり、モノをつくれば(仕入れれば)“売れた”時代である。
その頃は、仕事は“あった”のだ。いわゆる『育つ機会』があったのだ。もしくはトップがすべて指示命令を出し続けてきた。ゆえに、上司に育てられた経験が少ないから、部下をどう育ててよいか解らないのである。
そのような人が管理職となっていて、業績が停滞している企業が非常に多い。現在の日本経済は、完全に成熟社会となり明るい兆しはなかなか見えない。まさに下りのエスカレータを無理やり登らねばならない時代である。
社員一人一人がこの環境変化に対応し、将来に向かって勝てる条件をつくる方法を“自ら考え行動する”社員として育成することが絶対条件である。
そのためには、部下が育つ“機会”を、管理職が部下と一緒に考えて創ってゆかねばならない。
自創経営には、新入社員以外、全社員が誰かを育てる仕組みがある。人を育てる具体的なやり方があるのだ!その中でも、特に成長対話という手法で、『出来る方法を一緒に考える』対話がなされる仕組みがある。
そこで、部下の仕事の現状をつかみ、目標を必達するための取り組むべき課題を明確にし、その課題解決方法を部下と共に一緒に考える事が出来る管理職の育成が各企業では急務である。
人を育てる事ができる(社員の成長機会を創ることができる)管理職を育てる事が企業の成長戦略の重要な要素であり、我々としても何としても『真の管理職』を育てたい。