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経済・株式・資産

第122話 経営とリスク(7)

あなたの会社と資産を守る一手

中小企業の決算におけるウィ―クポイントの一つは棚卸のように思います。
どんなに優秀な税理士さんと顧問契約していても棚卸だけは、税理士さんが中身を確認することなく、棚卸表を受け取り仕訳、または確認するだけだからです。
棚卸について税理士さんが確認することは「決算をまたぐ工事はありませんか?」の一言くらいです。

在庫管理ソフトを入れて、かつ、しっかりと在庫管理を行っている会社ならまだしも、多くの中小企業ではそこまで手がまわらず、棚卸がおざなりになることも多いのが実情です。

しかし、この棚卸の数字こそが、企業の利益を決める鍵となり、それゆえに納税額がこれで確定されると言っても過言ではないほど重要なものなのです。

ところで、棚卸についてふれる前に、棚卸資産が属する流動資産についてと、利益と棚卸資産の関係について少し書いておく必要があります。

流動資産は、通常1年以内に現金化、費用化ができる資産と言われ、下記貸借対照表(バランスシート)をご覧いただければわかるように棚卸資産も流動資産に含まれています。つまり、棚卸資産は現金・預金に準ずるもので、売上原価に含まれなかったものと言えます。

「売上高ー売上原価」が売上総利益(粗利益)の算出方法なので、棚卸資産は「売上原価に含まれず、損金で落とすことができない→利益」 と考えられ、税負担を重くする原因となります。バランスシートで言えば、現金・預金で残っているか、棚卸資産で残っているかというだけで、流動資産であることには変わりないのです。

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それだけ、納税額の多寡を左右する棚卸であるにもかかわらず、その重要性が軽視されているケースが多いものです。

この棚卸の作業では評価額の判定が重要になりますが、在庫確認じたいが適切に行われていないケースもあり、それが経理書類だけでわかるため税務調査では重点的に調べられることがあります。

どんなふうにして、書類だけで棚卸のウソ、デタラメがバレるのかということを一つの例で書いておきます。

仮に、下請けの建設工事業者で、外注先に工事じたいを割り振っている9月決算の会社を例にします。ウソ、デタラメを見極めるのに必要なものは仕入と外注の請求書と工事工程表だけです。

下記が仕入の請求書とします。

Aビル工事の現場で、この会社は9月28日に材料B、Cを納品しています。

税務調査官が、これらの材料が棚卸表では記載されていなかったので、同現場の工事を担当する外注先の請求書を確認しました。

そうすると、作業日が9月25日までと記載されていました。このことから9月26日からは作業が中断されていることがわかり、9月28日に納品されたこの材料は在庫でなければおかしいということになるわけです。いわゆる 「在庫計上もれ」です。これだけでも修正申告を求められ、修正によって税金を追徴されるわけです。

次に確認することは工事工程表などから、この現場の工事がいつまで続くかの確認です。
材料が在庫であるということがわかった以上、まだ工事が続くと考えられるからです。
もしも工事途中なら仕掛工事という名目で資産計上されなければならず、これが漏れていたままで決算申告した場合、修正申告を求められ、過少申告ということになるわけです。

棚卸など適当にやっても、税務署はわからないだろうと思う経営者はいますが、仕入、外注の請求書といった書類の確認だけでも、棚卸の間違いや不正などが簡単に発見できます。施工状況の書類を見なくともこれだけのことがわかってしまうということなのです。そしてこれらの間違いが「仮装、隠蔽」とされた場合、追徴税額だけでなく重加算税(注1)までもが課税されることになるのです。

 

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(注1)(重加算税)
国税通則法第六十八条 

第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額(その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

参照:法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)

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