menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

後継者

第21回 資産の継承に失敗する理由は

欧米資産家に学ぶ二世教育

「トップクラスの米資産家ファミリーをクライアントに持つGENSPRING社 (ファミリーオフィス)によると、世代間資産移転
の失敗原因が「お粗末な相続税対策案や投資の失敗」である場合はごくわずかで、全体の3%以下であるとい う。

G社は、350のウルトラリッチなファミリーの相続対策に従事してきた経験をもとに、
資産継承に資する「25のベストプラクティス」を推奨している。


大きな柱の一つが「ファミリーの団結力、ファミリーとしてのアイデンティティを持つこと」である。
そのため家族の価値観、ファミリーの歴史、家族文化を次 世代、次々世代へと申し送る、家族が集まるイベントを催す、
同じボランティアや慈善活動で汗をながす、家族、一族が互いに助け合う互助システムを構築する、などを勧めている。
すべて「密なるコミュニケーション」を促すものである。
実際、資産継承失敗の60%はファミリー内のコミュニケーションや信頼上の問題から起るという調査レポートさえある。


コミュニケーションの他、「子弟に起業させる、あるいは起業の計画を建てさせてビジネスの実務を習わせる」、
「金銭教育を行う」等の後継者育成もベストプラクティス項目の重大要素だ。


しかし、いくら親の方が「そろそろ継承させよう」と意気込んでも、後継者にその心の準備がなければことはうまくいかない。
継承の失敗例を調べたところ「後継者の準備不足」が25%ものケースにみられたそうだ。
そのため、ファミリーによっては継承を想定してまず後継者にアクションを起こさせ、
「後継者の準備度」の評価を行うといい、それによって従来気づかなかった問題も見えてくるという。


こうした継承ノウハウは欧米の大学・大学院・或いはファミリー企業家向けセミナー等で教えられ、
互いの経験が分かち合われるのだが、日本ではそのような機会は少ない。
それのみならず継承のキーとされる家族間のコミュニケーションにも問題が多い。
日本人はとかく「親の背中を見せればいいんだ」「黙っていて も通じるのが家族だ」と考えがちだが、
時に親子間の認識のギャップに唖然とすることがある。
やはり自分の信念、気持ち、想いはきちんと伝えなければ理解さ れないのである。


また家族史や家族・一族アルバムづくり、父母、祖父母、一族のエピソード、信念などを語り伝えることは
資産のあるなしにかかわらず重要と、私はこの十数年 「家族文化の継承」を提唱している



 

榊原節子     

第20回 墓の中から子どもを守る手段前のページ

第22回 米、仏、サウジ、インド、日本での相続次のページ

関連記事

  1. 第80回 想いを実現させるイメージング法

  2. 第11回 人生のまとめ

  3. 第57回 思考のコントロール

最新の経営コラム

  1. 【昭和の大経営者】ソニー創業者・井深大の肉声

  2. 「生成AIを経営にどう活かすか」池田朋弘氏

  3. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 経済・株式・資産

    第91話 米中首脳会談の舞台裏(上)
  2. ブランド

    <事例―7 マルホ(B2B)>医薬品の中でも皮膚科の外用剤に絞り込み、トップブラ...
  3. マネジメント

    時代の転換期を先取りする(9) 巧妙な権力奪取(源頼朝)
  4. 人間学・古典

    第42回 「歌舞伎における『襲名』とは」
  5. 新技術・商品

    第37話 「共感」がコロナ禍でのヒットにつながる
keyboard_arrow_up