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106軒目 地方の和食店で飲み放題付き5,000円を脱却するヒント 味あら井(大分県中津市)

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

 私は“ジェームズオオクボ”というニックネームで食べログをやっていることは皆様もご存知だと思います。最近は有名になったせいか、フォロアーのレビュアから「○○に面白い店があります」のようなご紹介を受けることがあります。広島の名店『たこつぼ』のレビューをお読みいただいた『AASK』さんから、「中津に行かれることがありましたら『味あら井』にぜひ行ってみてください」と推奨をいただきました。
 
 中津というと、コンサルティングのキラーコンテンツにしようと考えています野草のワークショップでお世話になっている福岡県上毛町の隣であり、また、中津に『くらや』といううどん屋をやっております古くからのお客様がある場所で、よく近くに行くエリアです。せっかくですので、上毛町に行くタイミングで、『味あら井』の予約がとれたので行ってみることにしました。
 
 予約時に料理は、おまかせしかなく、5,000円、7,000円、10,000円があると聞かれました。真ん中の7,000円と10,000円では何が違うのかを確認しますと、食材が相当上質になるということです。せっかくですので、10,000円にしてみます。
 
 店の場所は中津駅から歩いて10分弱です。お客様が目的意識(わざわざ)来店することを狙っているのでしょう、やや人通りの少ない場所に店があります。
 
shikumi106_01.jpg まずは、石川県『松浦酒造』の獅子の里からスタートです。お料理は、イチジクの白和えからスタートです。
 
shikumi106_02.jpg ナッツで食感のアクセントをつけています。上にのっているのは舞茸のすり流しと土佐酢のジュレです。
 
 カンパチの南蛮漬け、トラフグで巻いた鮟肝がぽんぽんとテンポ良く出てきます。この店舗の良さは神戸三宮の三ツ星レストラン『カセント』のタパスのような、というか福岡の鮨屋スタイルというか、スタート時の小気味よいリズム感があります。割烹人気店の重要なポイントですね。
 
 続いては、お刺身です。こちらも、タパスのようにテンポよく出てきます。
 
 まずは、活け〆と3日目のクエ食べ比べです。お次が、大分煽り烏賊、カンパチ、北海道の雲丹を盛り込みです。さらに、トルコの360キロの本鮪の赤身、中トロ、大トロ味比べが出てきます。ここで合わせるお酒のご提案があり、豊潤 大分小松酒蔵 試作品です。
 
shikumi106_03.jpg お刺身が終わると、炙り鱧と松茸の茶碗蒸しが続きます。「松茸は岩手産で、やや開いている」と説明があります。中には、ハマグリと銀杏が入っています。
 
 焼き物は、のどぐろ、甘鯛のガンバラ焼きです。豊後水道の馬場の瀬の白甘鯛だと説明があります。脂のりよく、ふわっとした食感で“しらかわ”らしいしみじみとした美味しさがあります。
 
 お次のお酒は、福岡県の喜平太、寒北斗酒造です。ここで、中休みで、酒粕と空豆 五年前のものが出てきます。耶馬渓の豊後牛のランプ、鮑とその肝と半生でおいしい唐墨と続きます。
 
shikumi106_04.jpg 中津のアミエビという郷土食材が、湯がいたものと湯がいて揚げたもの二種同時対比で提供されます。やはり、ローカルフードの青柳の干物が提供されます。手間がかかるので失われつつあるローカルフードです。
 
 お次は変化球の、栗と芝海老のコロッケ卵黄味噌とベシャメルです。鰹出しの効いた変化球の紅芋のソースがおいしいです。ベーコン、生クリームがアクセントに入っているらしく、なかなか秀逸。
 
 まだまだ、料理が続きます。白子のキノコあんかけです。キノコは山伏茸、花びら茸、柿の木茸です。そして、松茸の天ぷらを自家製の粉塩で、クエの胡椒炊きと続いてようやくお食事です。
 
shikumi106_05.jpg お食事は、イクラご飯です。デザートは竹炭で色をつけたアイスです。
 
shikumi106_06.jpg これは凄かったですね。地方にこういう店があるんですね。タパスのような前半戦でテンポがよく、後半もゆるぎなくグルメ食材を抑えながらすすめていくところが素晴らしいですね。そのくせ、ポーションのコントロールがちょうどいいです。繁盛しているのがわかります。
 
 『AASK』さんに御礼申し上げたいですね!
 一回目の訪問で、もう少し、勉強したいと思っていたところで、『くらや』の大倉荘三郎社長から訪問の依頼があり、無理くりお願いして、二回目の訪問ができることになりました。今回は個室です。これは、一番値付けの低い5,000円のコースを見るチャンスだとおもいました。5,000円のコースを食べたかったのは、地方の飲食店の多くが5,000円飲み放題をクリアすることができないで悩んでいるからです。5,000円のコースに魅力を持たせ、ドリンクを別にするというのが、地方飲食店の課題であり、そこからプライスゾーンをあげていくきっかけができるからです。
 
 まずは、前菜八寸からスタートです。菜の花の白和え、上に数の子をのせた金時人参の奉書巻き、耶馬渓の椎茸と芹、自家製唐墨をのせた大根餅、鮃の骨せんべいをのせた地物の飯蛸と白バイ貝です。
 
shikumi106_07.jpg 続きましては、お造りです。3時に〆たカンパチとシマアジ、7時に〆たヒラメ、三日寝かせた長崎のアオリイカ、杵築のムラサキウニ、青柳(キヌガイ)、赤海苔の寒天です。薄く引いた、ヒラソとカンパチは食感がバリバリで、香りよく旨いです。薄皮が残ってますね。アオリイカのねかせ加減も良く甘さがあり、素材の持ち味を引き出しています。さすがです。
 
shikumi106_08.jpg ここで、特別なサービスで、本マグロ大トロの漬けの握りを大将自らテーブルにきてサービス。まだ、余裕があるんでということです。
 
shikumi106_09.jpg 続きまして、すっぽんの茶碗蒸しです。佐賀県いろは島牡蠣、虎河豚、烏賊、梅肉、そら豆が入った具沢山の茶碗蒸しです。
 焼き物は玄界灘太刀魚です。橙と平貝を合わせた暖かい鬼おろしがあしらわれてあます。ふわっとした太刀魚。平貝の入ったおろしは一つの料理ですね。
 
shikumi106_10.jpg 糸島牛の下り・地元のルッコラと蜂蜜のソース、味が濃い地物の蝦蛄の唐揚げが続きます。家製の胡麻塩が香ばしく、唐揚げの風合いを引き立て、これまたいけます。
 
shikumi106_11.jpg 酢の物は、えびしんじょうと鯖の炙りと白子です。自家製の柚子胡椒をうまくつかい、これもおいしいです。お酒は、古酒、新潟鮎正酒造、鮎の熱燗です。
 
shikumi106_12.jpg 胡麻豆腐の揚げ出し蕗の薹が続きます。煮物は、地物の山独活を巻いた地物の穴子です。
 
shikumi106_13.jpg ご飯は雑魚飯で、香り高い山栗川の海苔が振ってあります。雑魚飯のご飯も一手間かけてあり、筍、キヌガイの水管、なんかんの炊き込みご飯となっています。
 
shikumi106_14.jpg 5,000円のコースもすばらしいです。品数と各料理のポーションの設定がいいですね。そして、頃合いを見ながら、オーナー自ら目の前で仕上げておいしさの評価ポイントをあげるサービス精神もすばらしかったです。
 
 やはり、繁盛するのはわかります。中津で宿泊の時はもちろん、小倉で宿泊でもわざわざやって来る価値はありそうです。
 
 
味あら井
大分県中津市上博多町2001
TEL:0979-23-5550
→食べログ内ページ

 

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