アルコールを飲まない人が増えています。また、薄味が好まれる時代、ドリンクを注文しなくても食事が成立するようになったのは事実です。今月は『キュイジーヌ[s] ミッシェル・トロワグロ』をご紹介することで、ドリンクメニューについて再考したいと思います。
今回はワインを飲まずに、ノンアルコールのドリンクを注文してみます。 まずは、ピーチとバジルからスタートです。
ピーチとバジルの香りづけしたソーダです。飾りにバジルが添えてあります。
ガストロヴァッグで桃をバジル風味のシロップ漬けにするというイメージがわきました。
さて、アペリティフを味わっていると、トロワグロらしく、スナックがテンポ良く出てきます。
スナックはルバーブのゼリーと大根のマリネと、タルトフランベ ナツメグのアクセントです。アミューズ・ブーシュは、白ワインで炊いたフランス産ムール貝とひよこ豆で、上にはセルフィーユとエストラゴンがのっていて、アクセントで唐辛子のオイルを数滴たらしています。なかなかおいしいです。
続いて、モザイク作りの夏の野菜です。夏野菜と真イカでモザイク状になっていて、バジルがのせてあります。オリーブのパウダー、濃厚なトマトのコンフィが添えられています。
続いてもノンアルコールのブルーベリーと紫蘇を注文します。
ブルーベリーは見た目のインパクトがあります。一方、事前にイメージするような味わいは出ません。これが、皮がしっかりした果実を使うときのポイントになるでしょう。
続いては、「ウチワエビ キャベツとキュリー(カリー)のトーステ」という料理です。
キャベツで巻いたウチワエビで、ソースは、海苔とバターのソースです。ウチワエビと一緒に詰めてあるのが桜エビとカレー風味をつけたジロール茸です。
ちなみに、甲殻類アレルギーの人には低温調理したサーモン オゼイユ(スイバ)の風味が供せられました。トロワグロで昔から出しているスペシャリテだそうですが、野草(オゼイユ)の酸味をアクセントにすることで、オーソドックなブールブランソースも近代的な料理に見せてくれます。それにしても、スイバの酸味がいいですね。
続いてはキエフ風のうずらを使ったカツレツです。ソースはトウモロコシのソースと鳥のだしのソースです。
最近、フードコートや牛かつ店などの業態開発やメニュー開発のお手伝いが多いので、この料理は私自身とても参考になりました。
最後に、ノンアルコールのキュウイとローズマリーを注文します。これまでのなかで、一番ハーブ感がないですね。ローズマリーはこれ以上入れなくて十分ということですね。しかし、これはおいしいです。
アヴァンデセールはガストロヴァッグをかけたスイカです。シソなどのハーブの泡が添えられています。
メインのデセールは、鮮やかな緑 米、胡瓜 果実の酸味と求肥で巻いたパンナコッタです。食感が良いですね。軽やかでトロワグロらしいデセールです。
最後に小菓子が供せられます。
連れに「今日、一番印象に残った料理は何ですか?」と聞かれました。
「とても良い食事だったけど、思い出せないなぁ・・」
とても良いレストランですが、ミシュランの三ツ星に格付けされないのは、何かあるのかもしれません。
フルーツとハーブとソーダの組み合わせでノンアルコールの食中飲料はとても可能性を感じました。