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第60回 三内温泉(青森県) 秘湯や名湯にも負けない「温泉銭湯」

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■青森は「温泉銭湯」の密集地帯
 青森県は「温泉銭湯」の密集地帯である。ひと言でいえば、「温泉付きの銭湯」なのだが、ここでは「地元の人が日常的に利用しており、なおかつ温泉が提供されている銭湯風の入浴施設」という意味でとらえてもらいたい。銭湯ならではの生活の香りが漂うのが大きな特徴である。規模でいえば、地区の住民が管理する共同浴場より大きく、スーパー銭湯より小さい、というイメージだ。
 いわゆる「温泉銭湯」は全国に存在するが、とくに青森県には数が多く、文化として根づいているように感じる。現に、青森市、弘前市、三沢市、十和田市、五所川原市など、青森各地の温泉銭湯を訪ねたが、夕方はもちろんのこと、どの時間帯でも入浴客があとを絶たない。
 他の都道府県にある温泉銭湯の場合、入浴客はお年寄りがほとんどだが、若者からお年寄りまで幅広い層の人が入浴しているのも、青森の温泉銭湯の特徴だ。
 県庁所在地である青森市内も「温泉銭湯」の宝庫である。温泉銭湯で出会った常連客に、「家の風呂には入らないのですか?」と聞いてみたところ、「家にも風呂はあるけど、ずっとこの温泉に入ってる。お兄さんもそうだろ?」と逆に聞き返されてしまった。青森市内に住む人にとって、温泉銭湯に通うのは生活の一部なのである。

■鮮やかな笹色の濁り湯
 青森県内には、浅虫温泉や酸ヶ湯温泉、蔦温泉、黄金崎不老ふ死温泉など、全国に名を轟かせる温泉地が多いので、青森市内の温泉銭湯群が注目を浴びないのは仕方ないが、その潜在能力はあなどれない。建物や設備は地味だが、泉質に関していえば、ほとんどの温泉銭湯は、有名温泉地と比べても遜色ないといえる。
 その筆頭格は、青森市の市街地に湧く三内温泉「三内ヘルスセンター」。今年、世界遺産への登録が決まった、縄文時代の遺跡で有名な三内丸山遺跡のすぐ近くにある温泉銭湯である。
 駐車場に到着すると、本来するはずのない匂いが鼻をくすぐった。車の中にいてもわかるくらいの強烈な硫化水素臭だ。「山中の秘湯にやってきたのか」と勘違いしそうな匂いだが、ここは青森市街である。周辺には住宅もあれば、東北自動車道のインターチェンジもある。建物の外にまで匂いが漂っているということは、そうとう「濃い温泉」なのだろう。

 年季の入った建物は、お世辞にもキレイとはいえない。館内も時代に取り残された昭和のホテルといった雰囲気だ。しかし、ひとたび浴室に足を踏み入れれば、そんな建物の古さなど、どうでもよくなる。
 浴室には100人近くは入れそうな巨大な湯船が横たわっている。滝のような湯口からは、まるで入浴剤を溶かしこんだかのような黄緑色の濁り湯が注がれ、かけ流しにされていた。こんな鮮やかな笹色をした濁り湯には、そうそうお目にかかれない。

■標準的な温泉の15倍の成分
 泉質的にも、各地の秘湯・名湯に負けないパワーをもっている。温泉成分は、1万4680mg/kg。日本の温泉の多くは、1000mg/kg前後だから、約15倍の成分が含まれていることになる。その成分の濃さは、ぺろりと湯を舐めてみればすぐにわかる。まるで赤味噌でつくったみそ汁のような塩辛さだ。
 しかも46℃の源泉が激しく注がれているので、泉温はかなり高め。5分も浸かっていると、額から玉のような汗が噴き出してくる。濃厚な温泉成分も影響しているのだろう。
 火照った体を冷まそうと、湯船のふちに座っていると、隣のおじいさんが、話しかけてきた。「×?◎●△■#&?」。聞きとれない……。青森の温泉銭湯では気軽に話しかけてくれる人が多いのだが、津軽弁がきつすぎて、2~3割くらいしか聞きとれない。まるで言葉が通じない外国に来ているような気分になるが、こうした裸の付き合いも温泉銭湯ならではの楽しみである。

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