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第4回 社会貢献をビジネスとリンクさせるボディショップ

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

“環境保護など社会的な貢献とビジネスとを両立すべきだ”という経営理念でビジネスを成功へ導いた企業に、自然の原料をベースにした化粧品を製造・販売する「ザ・ボディショップ」があります。

同社は、1号店をイギリス、ブライトンで開店。ユニークな経営方針とフランチャイズ方式で世界64カ国、2500店舗以上を展開しているのですが、社会貢献をビジネスにリンクさせることができたのは、創業者デイム・アニータ・ロディックが「企業には世界をよくする力がある」というシンプルな発想と情熱から独自商品を開発し、世の中にメッセージを伝え、それが現場のDNAとなり全世界のザ・ボディショップスタッフが向かうべきベクトルを1つにしたからです。

 本コラム第4回目から、前回までで解説いたしました、“顧客が商品やサービスを購入したくなる理由”「今しかない」「ここしかない」「私(お客様一人一人)しかない」を、3つのC<クリエイティブ・独自性><クラウド・賑わい><コーディネーション・調和>に沿って、経営理念にリンクさせることで、企業風土が“不況でも売り上げを伸ばすオンリーワンの会社をつくる”戦術となる仕組みと取り組みへと進んでいきたいと思います。

 1~独自性

ボディショップは、経営理念(“環境保護など社会的な貢献とビジネスとを両立すべき”)が創業者の経営哲学<~美しさへの道は自然の中にある~>を実証することで実現できると考え、独自性のある商品やサービスを、理念を具体化した次に挙げる“5つの価値観”を通して消費者に提供しました。

 

1・化粧品の動物実験に反対する

2・公正な取引を通じて、社会を変えたい

3・一人ひとりの人権を大切にする

4・ありのままの自分を尊重する

5・私たちをとりまく環境を守る

 

しかし、多くの企業が経営理念を具体化した結果、これら5つの内容と類似したものを掲げるにも関わらず、それがビジネス(売り上げ又は利益)につながらないのですが、その理由は、企業が以下3つの点に取り組んでいないからです。

 

1・独自性のある商品やサービスを提供していない

(どの会社にも現場が、この商品やサービスには独自性があると言えば可能)

 

2・売り上げ目標達成の目的が、経営哲学を実証することでない

(ボディショップは、経営哲学<~美しさへの道は自然の中にある~>を実証する(商品が売れる)ことで売り上げとなる)

 

3・現場が自社(自店)の存在意義を経営理念に沿って理解していない

(ボディショップは、社会と環境の変革を追求し、将来の世代のニーズを損うことなく、現在の人々のニーズに対応することを存在意義としている

同社の強さは、経営理念を実現するために、「今しかない」「ここしかない」「私(お客様一人一人)しかない」という独自性商品を提供し、現場が先述の5つの<価値観>を通して、日々取り組める業務に落とし込み、それらを、利益を生み出す企業の資源(ヒト・モノ・カネ・情報)4つに関連付けたことです。

 

<ヒト>

1・役に立つ

・・・「ご自分でご使用になるシャンプーでしたら簡易包装にさせていただきたいのですが」という接客・・・環境を守る

簡易包装でコストダウン

 

<モノ>

2・分かりやすさ

・・・シンプルなパッケージを使い、ムダを省く陳列・・・環境を守る

*ムダを省くことでコストダウン

 

<カネ>

3・嘘をつかない

・・・誇大広告や偽りの約束をしない表示・・・ありのままの自分(会社)を尊重

*誇大広告をしないことでコストダウン

 

<情報>

4・責任を負う

・・・弱い立場を擁護するPR・・・・化粧品の動物実験に反対、公正な取引を通じて、社会を変える、取引先で働く一人ひとりの人権を大切にする

弱い立場を擁護するPRで売り上げアップ

経営理念から生まれた5つの価値観を、企業の資源4つ(ヒト・モノ・カネ・情報)にリンクすれば、現場が日々経営理念に沿った行動を遂行することが利益に結びつき、企業が存続すれば、今までの化粧品業界の常識(売れるために、偽りの望みや叶えられない夢をPRすること)を是正することが可能となります。

ボディショップは、業界の新しい独自商品を作るだけではなく、世の中を変えていく新しいスタンダード、価値観を提示することを企業風土(共通言語)にして、オンリーワンのポジションを構築したのです。清水ひろゆき

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