勝ち組と負け組が明確になる今、経営者の判断がブレると会社は、これから負け組に入ってしまうでしょう。しかし、経営者の判断が理念を軸に、ブレなければ、会社は、生き残り、勝ち残ることが可能です。
なぜなら、先行きの見えない日本で現場は、経営の判断が常にブレない会社なら、その会社を信頼して“ついていこう”と思い、顧客の声に耳を傾け始めるからです。
会社は、永続する必要があり、永続させるには儲からなければならず、そのためには、顧客の声を聴き、必要とされる会社になり、利益を生み出すことが不可欠です。
経営者は代わりますが、変わらぬ経営理念を軸にブレない経営を実践し、会社の風土を築けば、現場が一つとなり、顧客になくてはならない会社には何が必要か?探り当てることができるのです。
そこで27回連載を終わり、今回からは全3回で“ポジショニング”をキーワードに“どの顧客”を対象にアプローチすれば新しい顧客を創造できるか?を、売れる仕組みを経営理念とリンクさせ、現場士気を向上することで売り上げをアップさせている会社を事例と共に解説いたします。
~変えるものと変えないものが会社を変化に対応させる!!~
餃子の王将として親しまれている王将フードサービスは1967年京都四条大宮に王将1号店を出店以降、京都市内を中心に店舗を展開。現在は店舗数685(内FC224、2015年現在)、売上げ800億に手の届く成長著しい中華料理レストランチェーンです。
同社は創業以来これまで「早く、うまく、安く」という営業方針を基に、前々社長がつくった経営理念を掲げ、全社一丸となり取組んでいたのですが、創業から45年を経た今、取り巻く環境の変化に対応し、創業当時からの企業理念の普遍の文言に、変化に対応するこれからの文言を併せ、【企業理念】を以下のように刷新しました。
【企業理念】
「当社は、より美味しく、健康に、より安心、安全・衛生的に、そしてスピーディーなおもてなしを追求、進化し、常に真摯に行動し、人間力向上に努め、日々の実践とその成果を通じて全従業員の幸せを目指し、顧客満足を創造し、広く社会に貢献します。」
同社は企業理念の根幹でもある前々社長がつくった創業当時からのその文言
<より美味しく、健康に、より安心、安全・衛生的に、そしてスピーディーなおもてなしを追求、進化し、常に真摯に行動し、人間力向上に努め>を
王将フードサービスののれんを守る~普遍の文言~とし、
一方~変化に対応する文言~を<日々の実践とその成果を通じて全従業員の幸せを目指し、顧客満足を創造し、広く社会に貢献します。>にしました。
その結果、刷新した企業理念は、時代の価値観の変化に沿った会社の価値を創造し、且つ独自の企業文化による存在意義を明確にしたことで、既存顧客にも新規顧客にも選ばれる会社(お店)になることができたのです。
のれんを守る意味で~普遍の文言=変えないもの~とは、
会社(お店)の存在意義
のれんを守る意味で~変化に対応する文言=変えるもの~とは、
会社(お店)の存在価値 。
~企業理念の変えないものがオンリーワンポジションを確定する~
王将フードサービスの強さは、企業理念の~普遍のもの=変えないもの~が同社のオンリーワンのポジションを確立し、それが現場で具現化されている点です。
同社の企業理念の~普遍のもの=変えないもの~とは、
<より美味しく、健康に、より安心、安全・衛生的に、そしてスピーディーなおもてなしを追求、進化し、常に真摯に行動し、人間力向上に努める>ことです。
同社の店舗は、自店を《中華食堂》と称し、各店が、美味しく、健康に、より安心、安全・衛生的にメニューを提供するために、
・ 店内調理
・ 食材の国産化
・ 残業の見直し を実施。
スピーディーなおもてなしを追求しながらも、現場で味を進化(王将はお店によって独自メニューが存在)させることで、ファストフードとは一線を画する、日々の食事を提供する町の元気で笑顔のある中華食堂というポジションを確立したのです。
~普遍のもの<人間力>が他社を圧倒する~
王将フードサービスは、企業理念の中の普遍のものである<人間力>を同社の企業文化を醸成する要素と位置づけ、同社は“人”が全てであり、“人間力”を育むことこそが、会社の存在意義であると明確にし、そのためには常に真摯な行動をとるべきであると下記の行動規範を掲げ、ルール化しています。
~行動規範~
1. 安心・安全な高品質の商品・サービスを提供します。
2. 公正で透明な企業活動を行います。
3. 企業情報を適時適切に提供します。
4. 役職員等の人格・人権を尊重し、豊かな職場環境を実現します。
5. 環境の保全に努めます。
6. 地域社会との調和・共存を図ります。
7. 反社会的勢力とは断固として対決します。
~<人間力向上>がなければ現場と会社は一体にならない!!~
同社は価値観の変化するこれからの時代に対応する施策として、企業理念に新たに<日々の実践とその成果を通じて全従業員の幸せを目指し、顧客満足を創造し、広く社会に貢献します。>を盛り込むことで、会社の存在価値を前面に押し出し、現場と会社が一体となる取り組みには、企業理念の普遍である文言<人間力向上>が不可欠であると現場に伝えています。
王将フードサービスの現場と会社が一体となる
<全従業員の幸せを目指し、顧客満足を創造し、広く社会に貢献します。>ための
取り組みとは?
-全従業員の幸せを目指すためにー
1・価格改定
ほぼ全メニューで10円から80円の値上げ
↓
労働環境の改善の原資に充当
-顧客満足を創造するためにー
2・メニュー改革
ジャストサイズ(スモール)メニューの導入
↓
利便性の追求
3・売り筋商品の進化
売り筋商品(チャーハン、天津飯)に“極王”と冠をつけた食材こだわりメニュー開発
↓
付加価値重視
上記3つの項目を実践し、会社が売上げを上げるためには、現場の各々が人間力向上を目的にすることで、現場が情熱を持ち、弛まぬ努力をしなければ、現場の<日々の実践とその成果を通じて>生み出される利益が<広く社会に貢献する>には至りません。
同社が掲げた<人間力向上>とは?
つまり、
王将フードサービスで働く誰もがなぜ成長したいと思うか?の答えでもあり、同時にそれは会社を向かうべき方向へ導く現場と会社を一つにするベクトルでもあるのです。
王将フードサービスHP