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第47回 越後湯沢温泉(新潟県) コロナ禍で脚光を浴びる「雪国」の名湯

これぞ!"本物の温泉"

■「バブルの負の遺産」が人気に!?
 新型コロナウイルスが猛有を振るい始めてから新潟県の越後湯沢駅周辺に林立するリゾートマンションが注目を集めているという。 
 越後湯沢といえば、東京から新幹線で約90分のスキーリゾート地。この地に上越新幹線が開通すると、スキー客などの観光客が大挙して押し寄せ、大型のホテルや温泉旅館が誕生、リゾートマンションも林立した。
 しかし、バブル崩壊以後、スキー人口の減少とともに、観光客の数も大幅に落ち込んでいった。近年はかつてのリゾートマンションが1室数十万~数百万円で売り出されるありさま。空室が目立つリゾートマンション群は、まさに「バブルの負の遺産」だった。
 ところが、コロナ禍によって移住先や第二拠点として越後湯沢のリゾートマンションに目を付けている人が増えているという。たしかに、東京からのアクセスはいいし、密も避けられる。何より越後湯沢には温泉がある。いつでも温泉に入れるという暮らしは魅力的だ。
 
■川端康成ら文人も愛した名湯
「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」――。これは、あまりにも有名な川端康成の小説『雪国』の冒頭である。『雪国』は、主人公・島村と駒子・葉子という2人の女性の人間関係を描いた、川端康成の代表作のひとつ。その小説の舞台となったのが、現在の越後湯沢温泉だ。
 川端康成は、数年にわたり逗留するなど、越後湯沢温泉を愛していたとされる。そのときに滞在していたのは、現在も営業を続ける「雪国の宿 高半」。建物は建て替えられてしまったが、『雪国』を執筆したという「かすみの間」は、今も保存されている。ちなみに、同宿に逗留中に出会った芸者の松栄が、小説に登場する駒子のモデルといわれている。
 リゾート化してからの越後湯沢温泉は、温泉街としての情緒は失われてしまったが、幸いなことに、今も川端康成が愛したすばらしい温泉が、そのまま残されている。町営の「山の湯」は、歴史のある共同浴場で、川端康成も入浴したといわれる。
 山小屋のような素朴な風情の「山の湯」は、傾斜のきつい坂の上に位置する。山の湯の手前にあるヘアピンカーブは、車を切り返さなければのぼりきれないほどの急坂。この坂こそ『雪国』の中で描かれた「湯坂」そのものである。
 
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 男女別の内湯は、いたってシンプルなタイル張り。6人ほどが浸かればいっぱいになりそうな小さい湯船がポツンとあるのみで、シャワーも設置されていない。
 しかし、湯船には透明の単純硫黄泉が100%かけ流しにされ、湯が大量にあふれ出していく様子は圧巻。硫黄の香りを放つ湯は、43℃の源泉。熱すぎずぬるすぎず、リラックスできる絶妙の泉温だ。スベスベとしたやさしい肌触りも心地よい。
 
■越後湯沢では貴重な源泉かけ流し
 山の湯を訪れる前は、正直いって、「リゾート温泉」の印象が強く、温泉の質はまったく期待していなかった。実際に、越後湯沢に数多くある日帰り施設や共同浴場のほとんどは、循環ろ過されており、本来の源泉がもつ個性は見る影もなかった。
 しかし、山の湯には、いい意味で予想を裏切られた。全国でもトップクラスの上質な源泉が、今もなお生きていた。越後湯沢の温泉も捨てたものではない。
 湯船で居合わせた男性は、毎日のように通っているという。「町も温泉も昔とだいぶ変わってしまった。でも、山の湯のすばらしさだけは何も変わらない」と胸を張って話してくれた。川端康成が、今の「山の湯」に浸かったら、どんな感想をもらすだろうか。きっと「やっぱり、ここの湯は最高だ」と言うのではないだろうか。
 越後湯沢のリゾートマンションの多くには、温泉がついている。だが、山の湯の源泉のすばらしさを知ってしまったら、毎日通い続けることになるのは間違いない。
 

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