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<事例―8 ボルヴィック(B2C)>自社の事業を通じて社会貢献活動を実践する…それがボルヴィックだ

酒井光雄 成功事例に学ぶ繁栄企業のブランド戦略

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 ●企業の社会貢献活動が継続できない理由
 
 優良企業の経営者なら、社会貢献活動に興味を持たない人はいない。だが多くの企業はせっかく社会貢献活動を開始しても、継続できないことが多い。
 
 その最大の理由は、本業の業績が好調で資金に余裕が出た場合に金銭的支援を行うためだ。これだけ社会環境変化が激しいと、企業が直面する状況も毎年様変わりし、業績も順風満帆とは行かない。業績が芳しくないと、余裕がなくなり、社会貢献活動を行う資金を捻出することが難しくなる。
 
 ●ボルヴィックは本業を通じて社会貢献活動を実践
 
 多くの企業が金銭の提供に留まる中で、自社の事業を通じて社会貢献活動を実践している企業がある。ジュペルダノン社のミネラルウォーター「ボルヴィック」で、国内ではキリンが販売している。
 
 ボルヴィックが行っているのは「1ℓfor 10ℓ」という名の取組みで、日本の生活者がボルヴィックを購入すると、劣悪な水環境で暮らすアフリカのマリ共和国の子供たちに清潔で安全な水が飲めるようにする取組みだ。
 
 その仕組みは、毎年対象期間の間の売上総量に応じてダノングループが売上の一部をユニセフに寄付し、ユニセフはその寄付金で井戸の整備などを行いボルヴィックの出荷量1ℓ当り10ℓ分の安全な水が現地に生まれるというわけだ。
 
 ちなみにマリ共和国では不衛生な水を飲むことで、5歳未満の子供の死亡率が千人当り178人と世界で2番目に高く、しかも不衛生な水による下痢が死亡原因の3番目に上っている。
 
 「1ℓfor 10ℓ」という名の具体的な取組みは、開始してから5年間に手押しポンプが52基新設され、故障していた106基を修復。人口の多い村にはソーラーパネルを利用して水をくみあげる給水設備が6ヶ所つくられ、エリアの修理工には井戸のメンテナンス方法が指導され、現地で継続して井戸が利用できるよう支援が行われている。
 
 同社の取組は資金援助や商品援助ではなく、現地で井戸を運営し修理も行えるようにして、マリに暮らす人たちが自分たちの力で安全な水を手に入れられるようしており、極めて継続性が高い。
 
 ●飲み水にも困っているマリの人たちが、東日本大震災では義援金を拠出してくれた
 
 日本で働くボルヴィックの社員は単にユニセフに資金供与を行うだけでなく、毎年現地に足を運び、進捗状況を視察している。
 
 東日本大震災後に社員がマリを訪れた際に、日本の惨状が現地の人たちに伝わっており、応援メッセージや義援金が社員に託された。飲み水にも困っている人たちが、遠い日本の被災を痛み、義援金を集めてくれたのだ。
 
 
<ボルヴィックの事例に学ぶこと>
 
 豊かに暮らす日本人は、通常の消費行為を通じて社会貢献活動につながることなら、喜んでその企業の商品を選んで購入してくれる。ミネラルウォーターを販売する企業が、水を通じた社会貢献を継続的に行うことこそ、本業を通じて行える最高の社会貢献活動といえるだろう。
 
 そして本業を通じた社会貢献活動によって、どのミネラルウォーターメーカーよりも共感性の高いブランド力を獲得できているといえるだろう。
 

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