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君主論からリーダーは何を学ぶべきか/『リーダー論の3000年史』著者 鈴木博毅氏

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■鈴木博毅(すずきひろき)氏 『リーダー論の3000年史』著者/MPS Consulting代表取締役
 戦略書や戦争史、企業史から勝てる組織と負ける組織の違いを追求し、失敗の構造から新たなイノベーションを起こす戦略コンサルタント。慶應義塾大学卒業後、貿易商社にてカナダ・豪州の資源輸入業務に従事。その後、コンサルティング会社を経て独立。戦略立案や組織改善をクライアントに指導し業績向上と成長をもたらしている。また、顧問先には顧客満足度調査1位を獲得した企業や国内シェアNo.1の企業などがある。主な著書に『「超」入門失敗の本質』『伝説の経営者たちの成功と失敗から学ぶ経営者図鑑』『戦略の教室』『戦略は歴史から学べ』『いい失敗 悪い失敗』他。京都大学経営管理大学院修了。

※本コラムは鈴木博毅氏「君主論の教え」発刊にあたりインタビューを編集したものです。




過去500年間、そして現代でも世界中でリーダーの人々が愛読している名著「君主論」


Q:書籍のタイトルの通り、時代の君主、現代で言えば会社を率いるリーダー向けにも通じる本だと思いますが、「君主論」とはどのようなものでしょうか?

鈴木講師:
 1532年に刊行された君主論は、イタリア統一を願う政治官僚だったマキャベリの著作です。虚飾を排して、現実を冷徹に直視した議論を展開しており、「何が支配の力になるのか」を徹底的に論考しています。特徴として、さまざまな状況を整理分類して語っており、支配・統治の現実を教えてくれる書籍でもあります。過去500年間、そして現代でも世界中でリーダーの人々が愛読している名著です。

Q:現代のリーダーは君主論からどのようなことが学べるのでしょうか?

鈴木講師:
 リーダーに必要な判断力、決断力が学べる点が最も大きいと思います。リーダーは、決断をする者であり、どのように状況を考えるべきか分析しています。それだけではなく、なぜリーダーが決断をしなければいけないかもわかります。変化の速い現代社会と、諸外国に大きく左右されたマキャベリ時代のイタリアは似ており、優れた決断力を発揮して時代の変化を乗り越えたいと思うリーダーには必読の書だといえます。

 また「人間の姿」をこれ以上ないほど洞察していること、人がどのような影響力に「従うのか」を教えてくれる意味で、人間理解を深めてくれることも見逃せません。

Q:君主論を書いたマキャベリはどのような人物で、なぜ、君主論を書いたのでしょうか?

鈴木講師:
 マキャベリはフィレンツェ共和国で1469年に生まれています。当時のイタリア半島は、都市国家に分かれており、周辺の強国フランス、スペインなどから圧力をかけられていました。

 マキャベリは祖国で外交官、政治官僚の地位につき、都市国家フィレンツェの独立維持とイタリアの政情安定のために知恵を絞り、周辺国との交渉を重ねてきた経歴を持ちます。彼はフィレンツェの政治変動で官僚の地位を失い、失職したのちに隠棲して書き上げたのが『君主論』です。

 外交の厳しい現実を知るマキャベリが、今後イタリアを統一する君主が出現するときのために、統治者として足元をすくわれないための心構え、注意点、なすべきことを書き留めた一冊となりました。彼は、失職の怒りとイタリア統一への強い情熱と期待を胸に抱きながら、新しいリーダーが現実の要点を見逃さぬように、自分自身を冷徹な視点につなぎとめて筆を進めています。

 外交と権謀術数の現場を渡り歩いた経験をもつ、一人の天才が煮えたぎる怒りと、未来への希望と情熱を同時に抱きながら書き上げた歴史的な書物が『君主論』です。

 

Q:当時のイタリア半島は企業を取り巻く環境と通じるものがあります。

鈴木講師:
 現代企業も変化の速い環境にあり、リーダーの立場になったとたんに、周囲の人たちを効果的に動かし、目標を達成し成果を出す必要があります。現代企業経営では変化への対応は定期的、というより連続的にすらなりつつあります。

 時代の変化に対処することは、君主論の中心的なメッセージでもあります。500年間、世界中のリーダーたちに読み継がれているのは、変化への対応と決断に直面するリーダーに、必要不可欠な叡智にあふれているからでしょう。

マキャベリの君主論が伝える“徹底した現実主義”に何を学ぶのか?

Q:悪を知り、正義を実践するというお話があります。これは東洋の君主論と言われる韓非子(かんぴし)にも近いものを感じますが。

鈴木講師:
 先ほどもお伝えした通り、君主論は冷酷、冷徹というイメージがあります。それは徹底した現実直視をしているためで、「悪の手法」「悪徳を勧める書」とも感じるすごみがあります。これは「性悪説」を元にした中国古典の『韓非子』とも近いものがあります。

 両者に共通するのは「権力と支配力を維持し発揮する方法」を述べていることですが、悪を知ることは、視野と思考を広げることであり、現実の人間をより深く学ぶことでもあります。

「性善説」「性悪説」はともに、人間の半分だけを取り上げています。悪に学び、正義を行うという視点は、リーダーの注意力を高め、問題の芽を小さなうちに摘み取るような効果を発揮するはずです。リスク管理の基本を学ぶ意味でも効果があります。


Q:これから君主論を経営に活用するにあたり、まず、社長は何から始めるべきでしょうか?

鈴木講師:
 2つあります。1つはリーダーとしてのご自身の姿勢を振り返る。これはこの講話をお聞きいただくことで、自然にできるように作成してあります。

 2つ目に意識して頂きたいのは、社内におけるリーダー以外の社員の方、幹部社員の動き方、働き方への新しい視点での観察です。君主論を解説した本講話では、リーダーの視点をより鋭くする分析と解説をしています。その視点を元に、社員の方々の現在の働き方が、本当のベストであるかを考察してみることからぜひ始めて頂きたいです。この講話をお聞き頂いたのち、社内を見渡すと、いろいろな気づきを得て頂けるのではないでしょうか。

Q:最後に「君主論の教え」を聞かれる社長の方々にメッセージをお願いします。


鈴木講師:
 講話の内容を聞くことで、「君主論の教え」に込められた切迫感をぜひ感じて欲しいと思います。リーダーが成すべきこと、新たなチャンスを作る、危機を回避する、問題を解決する、人を効果的に動かすこと。リーダーの重要な役割に、より強い切迫感を持って日々の経営に取り組んでいただけるのではないかと思います。ぜひ、この「君主論の教え」をお聞きください。


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