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<事例―25 マルト長谷川工作所(B2C)>国内と北米市場でプラスチック用ニッパーのトップシェアを誇る…それが㈱マルト長谷川工作所だ

酒井光雄 成功事例に学ぶ繁栄企業のブランド戦略

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 ●マルト長谷川工作所は、付加価値の高いプロ向けの作業工具ブランド「KEIBA」を展開
 
 ㈱マルト長谷川工作所は1924年に創業し、大工道具の「締めハタ(材料を作業台に固定する工具のことで、クランプとも呼ぶ)の製造を開始。1932年に工作機械のスプリングハンマーを導入して手作業から機械化させて生産性を向上、以来ペンチに代表される作業工具の生産に取組んだ。
 
 戦後国内市場の開拓が上手くいかず、日本貿易振興会(JETORO)の協力を得て商社を紹介してもらい、同社はアメリカ市場に進出した。当時のアメリカではDIYのホームセンターが登場しており、同社の工具は売上を伸ばしていく。
 
 固定相場制から変動相場制に日本が移行すると円高が進み、さらに韓国や台湾などが技術力を高めた製品を安価に市場に投入した。そのためアメリカ向けの輸出を行っていた日本の中小企業は大きな打撃を受けるが、同社はヨーロッパ市場への輸出に乗り出していた。
 
 ドイツで開催された見本市で、ドイツの工具メーカーからプロ用の工具がつくれないか打診され、3年以上の歳月をかけてその開発に成功。これをきっかけに同社は量ではなく質を売る付加価値の高いプロ向けの作業工具メーカーへと進化していく。
 
 現在同社は携帯電話や電子機器などの生産現場で使用されるプラスチック用ニッパーでは国内と北米市場でトップシェアを誇り、「KEIBA」ブランドを使った作業工具メーカーとして事業を展開している。また世界20ヶ国以上に輸出し、為替変動リスクを避けるため取引の大部分は円建てで決済している。
 
 同社では工業デザインにも早くから着目してデザイナーを招致し、同社製品はグッドデザイン賞も受賞している。
 
 工場などの製造現場では、部材や材料をひとりの作業員が1日に切断する作業回数は数千回に及び、切断作業の時間が増えると全体の作業時間が長くなり、作業効率が低下してしまう。こうした無駄をなくすため、同社のニッパーは切れ味が良いだけでなく、作業時間を0.5秒短縮し5~10万回の使用に耐え、3週間以上使用できるのが売り物だ。
 
 同社のプラスチック用ニッパーは3,703円、ワイヤーカッターは2,468円、パワーアップペンチは2,880円~3,189円、ワイヤーループプライヤーが2,468円~2,675円(いずれも税込み価格)という価格帯だ。
 
 ●OEMのノウハウを新ブランドに活用
 
 同社は1967年に大手化粧品メーカーから依頼されてニッパー型爪切りの製造を開始し、年間30万個以上を生産した。このノウハウを活かし理美容用品の新ブランド「MARUTO」を立ち上げ、ネイルニッパーや鋏(はさみ)、グルーミングキットなどの生産も開始している。同時にネット上には「つめきり文化研究所」を立ち上げて情報提供を行い、オンラインショップでの販売も行っている。
 
<㈱マルト長谷川工作所の事例から学ぶこと>
 
 ホームセンターや量販店に行けばペンチなどの作業工具は安価に入手できるが、 ㈱マルト長谷川工作所の「KEIBA」ブランド製品は数千円で販売されている。海外の安価な製品が市場に溢れる中で、なぜ同社の製品は価格が高くても選ばれるのか。それは作業現場で業務用としてプロが認めた耐久性と製品力を発揮しているからだ。
 
 自社製品を「価値」で選んでもらうためには、プロが認める力を備えた製品を生み出し、多くの国々のプロたちから評価を獲得し、品質を求める顧客たちが利用する販路で販売することだ。
 
 
 
 
 
 
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