「この領収書はインボイスとして認められますか?」
10月からインボイス制度が始まり、多くの企業の経理部門からこのような問い合わせが増えています。
企業の税務監査をしていると、インボイスの記載要件を満たしていない請求書や領収書が散見されます。
400万以上の事業者が、これまでの請求書や領収書に替わって、インボイス(適格請求書)を発行するようになりました。
一方でインボイス制度に合わせてしっかりと準備して対応した会社ばかりではなく、インボイス対応のシステム改修や社内教育が間にあっていない事業者も少なくありません。
そこで今回は、インボイスとして認められない請求書・領収書の注意点について、説明します。
10月分の経費精算で経理から差し戻された領収書はありませんでしたか?
■ 消費税率の記載がない領収書
消費税のインボイス制度の導入目的は、取引内容ごとに標準税率(10%)と軽減税率(8%)を明確に区分することにあります。したがって、インボイスの記載要件としては、消費税の適用税率の記載が必須となります。
請求書や領収書に消費税額の記載があったとしても、その取引内容に対する適用税率の記載がない場合には、インボイスとして認められません。
軽減税率の適用となる食料品等の販売をしていない業種では、すべて現在の標準税率(10%)であるため、税率の記載を忘れがちですので注意が必要です。
小規模の小売店や飲食店などでは、レジのインボイス対応がされていない場合、金額を手書きした領収書で簡易インボイス(簡易適格請求書)を交付する店舗も少なくありません。
このような場合、インボイス登録番号は領収書用紙に印刷されていたり、インボイス登録番号のハンコが捺印されたりしていますが、店員が金額を記入する際に適用税率を書き忘れることがあります。
インボイス制度では、新たに追加されたインボイス登録番号の記載だけが注目されていますが、消費税の適用税率の記載の有無を必ず確認するようにしたいものです。
インボイスの記載内容に不備がある場合には、本来原則として、不備を修正したものを再交付してもらわなければなりません。
店側に後日インボイスの再発行を要求するのはとても面倒ですので、社会人としては、支払い時にインボイスの記載不備がないことを確認して領収書を受け取るようにしましょう。
御社の社員は、支払時に必ずインボイスの記載事項をチェックしていますか?