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経済・株式・資産

第50話 魅力的な不動産でも、銀行融資のハードルが高いものには手を出すな

あなたの会社と資産を守る一手

A、収益不動産で利回り10%、売値が6,000万円の駅から10分の物件
 
B、収益不動産で利回り20%、売値が15,000万円の駅から10分の物件
 
あなたなら、どちらを購入したいと思うだろうか?
 
もちろん、どの駅かとか、東京なのか地方都市なのかにもよる。ここでは仮にAもBも同じ駅で東京23区のはずれと想定、築年数も建築材料もほぼ同じとして、あなたならどちらを購入するかという質問にしてみよう。
 
このての質問に利回りだけでとびつく人も中にはいると思う。しかし、堅実な多くの方は諸条件を見て、
「土地は路線価から見てこのくらいの価格はするだろう」とか、
「不動産屋の広告でこのくらいで更地が売りにでていたから」とか、
「建物は築x年で再調達原価(対象の不動産を評価時に再調達することを想定した場合必要とされる適正な原価総額)はxxxx万円くらいで、築年数から残価率は70%くらいだろうから建物だけでもこのくらいの価格で売れるだろう」と考えて購入物権を決めると思う。
 
では、なぜ不動産を買うときにこのように考えるのだろうか?
 
それは、実際に売れる価格よりもできるだけ安くて良い不動産を手に入れたいからに他ならない。
 
そして、そのことは、収益不動産として賃貸料を得ているうちはいいのだが、いざ売ろうという事態になった場合にそれを考えているのといないのでは大きく違う結果が生まれる。
 
人は不動産を買う段階で、すでに、購入後に売る時は高く売りたいと考えているのだ。そしてそのことは借入れをして買うのであれ、自己資金で買うのであれ、購入後何年かして売るときの新しい買い手の事情を想定したうえで購入時に考えるべきことなのだと意識する人は少ない。
 
と、このように書いてもわからない方のために別の表現で同じ事を書いてみよう。
 
たとえば、上記B不動産の収益率は20%だが、不整形地で銀行の査定価格が土地2,000万円、建物6,000万円だとすると全額自己資金をもっていたとしても買うのをためらうはずだ。8,000万円の評価の不動産をその倍近くの金額で利回りがいいという理由だけで買うのだから…。3年で9,000万円の収益があるからと考えて買う人は「破綻」と隣り合わせの人だ。未来を知っている人などいないのだ。
 
多くの人と同じようにローンで購入するとなれば土地2,000万円+建物6,000万円の8割程度、つまり6,400万円しか融資がでない。つまり差額の8,600万円を自己資金で使うことになる。もちろん他の不動産を共同担保で担保にいれればいいかもしれないが、それは賢明な選択ではない。これは「よりによって…」という事例に該当する。
 
上記B不動産を融資で購入すれば、いくら利回りが良くても破綻する確率が高くなる。さきほど書いたように「未来を知っている人などいないのだ」
 
だいいち、不動産は本来、銀行融資で購入するものだ。すでに不動産を2-3件持っている人でも自己資金1億円以上をポンと出せるだけの預金(ということは、2億円近く預金がある)をもっている人は少ない。そして銀行のアパートローンには団信とのからみや融資条件で融資しやすい金額というものがある。5,000万とか6,000万円の融資なら稟議も通りやすいが、1億以上のローンは融資のハードルが高くなる。つまりB不動産を無理して購入したとしても、いざ処分しなければならないときには、今度は買い手が同じように融資条件が高くなるために、なかなかあらわれないことになる。
 
ローン審査の厳しくない銀行からフルローンで融資を受けて、レバレッジをきかせて金持ちになったとしても、その先には「破綻」が待っているものなのだ。

 

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