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第97回 湯之元温泉(宮崎県) 日本屈指の炭酸泉に龍馬もびっくり!?

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

■龍馬が新婚旅行で訪れた高千穂峰

 宮崎県と鹿児島県の県境に位置する霧島連山の高千穂峰は、天孫降臨が伝わる神話の地。アマテラスオオミカミから「この国を治めるように」との命を受けたニニギノミコトが、三種の神器を携えて高千穂峰に降り立ったと伝えられている。


 高千穂峰の山頂には、ニニギノミコトが降臨した際に突き刺したといわれる「天の逆鉾」が今も御神体として崇められている。


 
 高千穂峰には、坂本龍馬が妻のお龍と新婚旅行をした際に登っており、龍馬が「天の逆鉾」を引っこ抜いたと伝えられている。


 そんな高千穂峰の東麓に良質の温泉が湧いている。1784年開湯、1902年創業の老舗旅館「湯之元温泉」だ。古くから湯治宿として賑わってきた同宿は、浴室や客室はキレイに整備されているが、現在も肩肘張らない素朴な雰囲気を残している。


 湯之元温泉の最大の特徴は、日本屈指の炭酸泉。二酸化炭素などの炭酸ガスを多量に含んでいる温泉で、温泉が豊富な日本でも珍しい泉質だ。

 

■炭酸ガスが豊富な冷泉

 特筆すべきは、21.6℃という水のような冷たさの源泉をそのままかけ流しにした浴槽を用意していること。21.6℃というと、はっきりいってほとんど冷水である。夏場には気持ちいい温泉だが、筆者が訪れたのは、まだ冬を越したばかりの3月。足を湯船につけた瞬間に「ヒイッ!」と言ってひっこめてしまうほどの過酷な状況だった。


 それでも、気合いを入れて透明の湯がかけ流しにされている湯船に体を沈めてしまえば、想像を超える体験が待っている。


 湯の中には炭酸ガスが肉眼で確認できるほど大量に浮遊しており、水面でパチパチと泡が弾ける音が聞こえるほど。まるでサイダーか、ラムネの中に浸かっているようだ。炭酸ガスの存在感がここまで際立った温泉には、なかなか出合えない。


 しかも、1分も浸かっていると、信じられないくらいの細かな気泡が体中にびっしりと付着していることに気づく。温泉ファンから愛される「泡付きの湯」である。泡付きは、炭酸泉など炭酸ガスを多量に含む源泉で見られる現象で、空気に長時間触れたり、加温したりするとガスが飛んでしまうため、貴重な湯なのだ。逆にいえば、泡付きが見られるということは、湯が新鮮という証拠でもある。


 気泡が体に付着すると、肌の摩擦がなくなってしまったかのようなスベスベ、ツルツルとした肌触りが得られて気持ちよい。この入浴感を再現しようと、最近のスーパー銭湯では、人工的に炭酸ガスを発生させる「高濃度炭酸風呂」がちょっとしたブームになっているが、湯之元温泉の場合は正真正銘、天然の高濃度炭酸風呂である。

 

■飲めばサイダーのような感覚

 源泉をそのままかけ流した湯船の横には加温した湯船もあるので、こちらで体を温めてから冷泉に入るのがおすすめ。


 ちなみに、加温した湯は、温泉に含まれている鉄分が酸化し、赤色をおびた褐色の濁り湯になっている。2つが同じ源泉であることが、にわかには信じられない変貌ぶりである。これも温泉の面白いところ。


 敷地内には飲泉場もある。筆者もごくりと一口、湯をいただいてみた。口の中で炭酸がシュワッと弾ける。まさに、味のないサイダーかラムネである。


 一説によると、日本で初めて炭酸飲料のラムネが売りだされたのは1865年のこと。長崎の藤瀬半兵衛という人が「レモン水」の名で販売したとか。1865年といえば、龍馬が日本ではじめてといわれる商社「亀山社中」を長崎で設立した年。新しいもの好きの龍馬は、きっとラムネを飲んでいただろう。


 龍馬が新婚旅行で高千穂峰に登ったとされるのは、1866年のこと。もしも、このとき湯之元温泉の炭酸泉を飲んでいたら、「こんなところにラムネが湧いているぜよ!」と興奮したに違いない。

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