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第88話 会社が破たんする原因は資産にある(17)

あなたの会社と資産を守る一手

前回に続き「第二次納税義務」について、企業再生とのかかわりで書いてみようと思います。
 
「第二次納税義務」は国税徴収法に規定されていて、判例等は38条と39条にかかるものが多いようです。
38条は事業を譲渡された親族や特殊関係者に一定条件下で納税義務を負わせることができるというものであり、
39条は納税滞納者で納税義務のある者が法定納期限の1年前応答日後に、所有資産の無償や著しい低額譲渡をした場合に その譲受けた者に一定条件下で第二次納税義務を負わせることができるというものです。(注1)
 
今回は企業再生にかかわる部分が多い国税徴収法38条に関して取り上げます。
まず、条文を記載します。

(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)
 
第三十八条
納税者が生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社(当該納税者を判定の基礎となる株主又は社員として選定した場合に法人税法第六十七条第二項 (特定同族会社の特別税率)に規定する会社に該当する会社をいい、 これに類する法人を含む。)で政令で定めるものに事業を譲渡し、かつ、その譲受人が同一又は類似の事業を営んでいる場合において、 その納税者が当該事業に係る国税を滞納し、その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、 その譲受人は、譲受財産の価額の限度において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。ただし、その譲渡が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。
(以上は国税徴収法より引用。改正点あり、下記 注(1)参照)

滞納した租税債務が多い状態で破たんした企業が再生しようとする場合、この条文は無視してとおれないものとなります。
再生において 第二会社方式を選ぶことは多いのですが、この条文を無視して第二会社方式で再建をした場合に 重い租税負担が破たんした会社だけでなく、新会社にも及ぶことがあるからです。
 
例えば消費税や法人税を滞納したことによって銀行融資もうけられなくなり破たんした会社において、
破たんした旧会社に勤務していた旧会社社長の長男が、新会社の代表者・株主になり、
高収益の事業だけを事業譲渡して第二会社で運営したとしても、この38条に該当して旧会社の滞納した租税負担の納付義務が発生する可能性がありえるのです。
 
事業譲渡が債権者保護手続が不要だからといって、あからさまに債権者銀行の同意を得ずに第二会社方式を行うということは現実的にはありえませんし、
債権者銀行の同意を得た場合には再建のハードルが高くなるのが実情です。
 
そこで、株主総会の特別決議が必要な「事業譲渡」ではなく、旧会社の事業を破たんさせたまま、あいまいな形で第二会社で事業を引き受けさせるといった場合でも、
条件を満たせば国税徴収法38条の条文は納税義務を強要してくる可能性があるのです。
それゆえ、「親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社」については十分な注意が必要になります。
 
そこで、第二会社を第三者に作ってもらったらどうだろうかという考えが浮かびそうですが、
このようなリスクの高い会社の事業を引き受ける第三者がいるとは考えられず、
また、第三者への事業譲渡という形をとった場合でも、やりかたによってはやはり国税徴収法38条に該当する場合もあるのです。
 
いずれにしても、第二次納税義務に関しては細心の注意が必要になります。

(注1)
 
下記参考:国税庁ホームページより
 
第二次納税義務の制度
 
(基本的な考え方)
 
1 第二次納税義務の制度は、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められる場合において、一定の要件を満たす特定の第三者に対して補充的に納税義務を負わせることにより、国税の徴収確保及び徴収手続の合理化を図るために認められている制度である。この制度を第二次納税義務者となるべき者からみれば、自己以外の者の国税についての納税義務を負うこととなり、事実上及び法律上重大な関係を生ずることとなる。したがって、この制度が有する特殊性に鑑み、第二次納税義務を負わせるに当たっては、特に次に掲げる点について周密な調査を実施し、違法又は不当にわたらないよう厳正を期さなければならない。
(1)第二次納税義務の成立要件についての事実関係及び徴収不足であるかどうかの判定
(2)第二次納税義務を負うべき者であることの認定
(3)第二次納税義務の限度の判定
 
「国税徴収法基本通達」の一部改正について(法令解釈通達)平成29年3月3日 (国税徴収法38条部分)
 
国税徴収法32条~41条

 

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