38条は事業を譲渡された親族や特殊関係者に一定条件下で納税義務を負わせることができるというものであり、
39条は納税滞納者で納税義務のある者が法定納期限の1年前応答日後に、所有資産の無償や著しい低額譲渡をした場合に その譲受けた者に一定条件下で第二次納税義務を負わせることができるというものです。(注1)
まず、条文を記載します。
(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)
納税者が生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社(当該納税者を判定の基礎となる株主又は社員として選定した場合に法人税法第六十七条第二項 (特定同族会社の特別税率)に規定する会社に該当する会社をいい、 これに類する法人を含む。)で政令で定めるものに事業を譲渡し、かつ、その譲受人が同一又は類似の事業を営んでいる場合において、 その納税者が当該事業に係る国税を滞納し、その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、 その譲受人は、譲受財産の価額の限度において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。ただし、その譲渡が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。
(以上は国税徴収法より引用。改正点あり、下記 注(1)参照)
滞納した租税債務が多い状態で破たんした企業が再生しようとする場合、この条文は無視してとおれないものとなります。
再生において 第二会社方式を選ぶことは多いのですが、この条文を無視して第二会社方式で再建をした場合に 重い租税負担が破たんした会社だけでなく、新会社にも及ぶことがあるからです。
破たんした旧会社に勤務していた旧会社社長の長男が、新会社の代表者・株主になり、
高収益の事業だけを事業譲渡して第二会社で運営したとしても、この38条に該当して旧会社の滞納した租税負担の納付義務が発生する可能性がありえるのです。
債権者銀行の同意を得た場合には再建のハードルが高くなるのが実情です。
条件を満たせば国税徴収法38条の条文は納税義務を強要してくる可能性があるのです。
それゆえ、「親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社」については十分な注意が必要になります。
このようなリスクの高い会社の事業を引き受ける第三者がいるとは考えられず、
また、第三者への事業譲渡という形をとった場合でも、やりかたによってはやはり国税徴収法38条に該当する場合もあるのです。
(注1)
(1)第二次納税義務の成立要件についての事実関係及び徴収不足であるかどうかの判定
(2)第二次納税義務を負うべき者であることの認定
(3)第二次納税義務の限度の判定