小さな声で発言する消極的な10人(多数派)と、
大きな声で発言する積極的なひとり(少数派)が、
会議で対立したとしよう。
さて、どちらの意見が通るだろうか?
民主主義の原則を考えれば、10対1で、
小さい声で発言する10人の勝ちとなるが、
現実には必ずしもそうはならない。
最終的には大きな声で発言する1人が勝つことがしばしばある。
強く自己主張する人間には、
消極的な人間が束になってかかってもかなわない。
「自己主張の力学」が支配している外資系も同様で、
大きな声で自信たっぷりに自己主張する者が勝つ。
「察しの美学」など、まったく通用しないから、
そのつもりで意識を切り替えてほしい。
アメリカ系企業では、とくにこの傾向が強い。
アメリカがどういう国であるかを考えてみればわかる。
「アメリカは人種のるつぼ」と表現されるが、
これに対して、次のように異を唱える人もいる。
「るつぼ(メルティングポット)と言うと、
いろいろな人種が混ざり合っているイメージがあるが、
それは当たっていない。
正しくは、「サラダボール」。トマトがあってレタスがあって、
ピーマンがあってキュウリがある。それぞれは混ざり合うことなく、
ひとつの皿に入っているだけだ。」
文化的にも宗教的にも、そして階級的にも違う世界中の人種が、
集まって一体となっているのがアメリカであり、
けっして、混ざり合う(メルトする)ことはない。
ということらしい。
だからこそ彼らは、サバイバルするために、強く自己主張するのである。
ほぼ同じ髪の色・同じ肌の色の人たちと、ひとつの島で
暮らしている日本人には理解しにくい精神構造かもしれないが、
彼らと一緒に仕事をする以上、彼らのスタイルに合わせていかなければ、
潰されてしまう。
なぜならば、「自己主張の力学」と「察しの美学」がケンカすれば、
「自己主張の力学」が勝つからだ。
彼らを相手に、「沈黙は禁」である。
会議では積極的に発言し、アイデアはどんどん提案しよう。
多少オーバーなジェスチャーを交えながら、どんどんしゃべる方がよい。
それが、プレゼンのスキルアップを図るための、第一歩である。