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経済・株式・資産

第135話 経営とリスク(20)

あなたの会社と資産を守る一手

 仕入をすればその分利益が減ると思い込んでいる経営者にお会いすることが今でもあります。

 

 確かに仕入れた分は課税仕入れとなり、原則課税を選択していれば消費税の負担は減ります。ところが、利益によって金額が確定する法人税・地方税の負担はそれだけでは変わらないことになります。

 

 どうしてか? というと仕入れたモノが原価になっていれば粗利益の変化に影響するのですが、原価になっていない(仕入れただけで在庫となっている)状態だと粗利益は仕入によって変化しないからです。それが一目でわかるのが粗利益の算出式(下記)となります。

 それでは、仕入れたモノを原価にしたことにして、在庫に計上しない、あるいは架空仕入れで原価にすれば、粗利益が減らせ、税負担が減るだろうと考える方も中にはいますが、税務調査では以外と簡単にそのゴマカシがばれてしまいます。

 

 なぜそれらがバレるのかというと、経営者は合理的な判断でそれらのゴマカシ=脱税というリスクを決定するからです。

 

 どういうことかというと、利益が一定額増えても減っても納税額に変化はないという状況下では、ゴマカシ=脱税というハイリスクな選択を経営者は選ばないということなのです。


 これは裏返せば、予想以上の利益=税負担が発生しそうだと経営者が気づいたときから、この工作を始めるということを意味します。多くの場合その状態に気づくのは決算直前、あるいは決算月を過ぎてから申告するまでの間ということになります。だから、税務署はその短い期間だけ仕入れたモノの流れ、原価になったか在庫で残っているかを調べるだけでゴマカシがわかってしまうのです。

 

 そして、当然ながらこのての脱税工作は「故意による仮装行為、隠蔽行為」に該当し、 国税通則法68条(注1)に書かれている重加算税の法的要件に該当して、多額の納税を後になって要求されるのです。

 

 経験的に言えばこのての簡単にバレるだろう工作をする会社は、経理の優秀な人材がいないか、社長が経理を重視していない・理解していないか、社内的に経理への理解が希薄のいずれかです。


 そして、驚くべきことに3月が決算月だとすると、4月にはいってからの決算作業で利益・納税額が判明し、その時から「先月、仕入れたことにしてくれ」とあわてて取引先に依頼するケースが多く、これに応じる取引先も同レベルであることがほとんどであるため反面調査で簡単にぼろがでることになるわけです。

 

 反面調査(注2)とは、国税通則法74条の2、質問調査権にもとづくもので、「必要があるときは」取引先に質問したり、調査したりできるものです。この「必要があるとき」という条件は広く解釈もできますが、期末請求の領収書の記載があやしいとか、そもそも帳簿じたいが信用できないなどが該当し、それゆえにその会社の経理書類が疑うべき程度であるということを意味することとなり、対面する税務調査官にしてみれば「この会社、やってるな」と直感できるレベルなわけです。

 

 このての脱税は経営者にしてみれば簡単にはバレないだろうと思うものですが、税務署は思っている以上にわかっているものです。

 

(注1)(重加算税)


国税通則法第六十八条 
第六十五条第一項(過少申告加算税)の規定に該当する場合(修正申告書の提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより 当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでない場合を除く。)において、
納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときは、
当該納税者に対し、政令で定めるところにより、過少申告加算税の額の計算の基礎となるべき税額 (その税額の計算の基礎となるべき事実で隠蔽し、又は仮装されていないものに基づくことが明らかであるものがあるときは、当該隠蔽し、 又は仮装されていない事実に基づく税額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した税額)に係る過少申告加算税に代え、 当該基礎となるべき税額に百分の三十五の割合を乗じて計算した金額に相当する重加算税を課する。

参照: 法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)

 

(注2)反面調査

根拠条文 国税通則法第74条の2

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