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第193号 強い組織をつくる合宿セミナー~その1

柿内幸夫─社長のための現場改善

 先回ちょっと書きましたが、私は10月5日(火)から12日(火)までの8日間、日本経団連が主催する<第46回洋上研修>に、講師として参加しておりました。横浜港を船で出発して韓国の仁川(インチョン)に二日滞在し、また海路で横浜港に戻りました。

 今回、この研修に参加したことによって、実に多くのことを学びました。モノづくりの改善をする上で、とても重要なことが多くありました。

 そこで、今回は設備の内製化についてお話しする予定でしたが、変更して洋上研修で学んだことを二回に分けてお伝えしたいと思います。

 ところで、船で韓国に行くと片道二日半もかかります。もし視察が目的であれば飛行機を使えばあっという間に着けます。もっと言えば、議論するのが目的であれば、日本国内にはそのための施設はいくらでもあります。

 「なぜ、わざわざ船なんていう昔の乗り物を使うんだ?」と思われる方もいるかと思います。しかし、このわざわざ古い方法を使うところにとても新しいことがあったというのが今回の私の発見なのです。そしてこの内容は普段の社内での教育にも活用できると思いました。では順を追ってご報告いたします。


 1、出発風景

 船の出発には時間がかかります。ジワジワと港を離れます。ジャーンという銅鑼(ドラ)の音を聞き、見送りの人の顔がだんだん見えなくなると、「もう戻れない、やるっきゃない」と覚悟が決まります。138名の団員は当日始めて会った人ばかり、みんな心配そうな顔をしています。

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2、研修開始初日

 総合テーマは「強い組織・熱い職場をつくる」です。各々6名で編成される管理者グループと監督者グループに分かれて、それぞれが討議をします。

 初めは自己紹介から始まるのですが、皆さん緊張してとても堅く、本当に大丈夫かな…と心配顔です。しかし7日後には、参加団員全員が仲間となり、会社を支える力強い管理監督者として自信を持って下船をすることになるのです。

 

 3、朝礼

 毎朝7時、まず各チームの人数報告を済ませ、その後みんなでラジオ体操をすることから始まります。この朝礼は体操だけでなく団員のスピーチやいろいろなゲームもやります。

 指導は余暇問題研究所の鍋谷先生という専門家の方がして下さるのですが、これが実に楽しい。会社でも取り入れたらいいのではないだろうかと思いました。

 朝一番のスタートダッシュですから、形式的にダラダラやらないで明るくビシッとやるのがいいですね。そしてみんなが笑顔で元気な状態を作るのです。

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 4、講義 

 午前中は毎日全員集合しての講義があります。今回は名誉団長のコマツの坂根正弘会長、明治大学教授でNHK「Bizスポワイド」メインキャスターの野田稔先生、ジェイフィール代表の高橋克徳社長、そして私が講師を務めました。

 坂根会長からはご自身がコマツに入社した動機のお話(意外なお話で超おもしろい!)から、会社の世界戦略、そして若い管理監督者に対する期待といったことをとても分かりやすい言葉で、しかも、楽しく厳しくお話し頂きました。

 「会社はトップダウンだけでは動かない、ミドルアップとミドルダウンが必要だ」という言葉がとても印象的でした。

 すべての会社において、従業員が会社の戦略から人生観といった、広くいろいろなことを社長から直接に聞けたら、仕事に対する理解も深まり元気になるなあと思いました。社長は恐いけど身近に感じられることも必要です。

 全員が一緒に聞く全体講義とは別に、管理者と監督者向けのコース別講義もあります。下の写真は、私が監督者グループに流れ生産実習をしているところです。

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 この実習では、作業分割をする「普通のモノづくり」から、最後は改善を織り込んだ「セル生産」までをシミュレーションするのですが、最終的には何と10倍の生産性向上ができ、参加者は全体最適の考え方の大切さを体感できました。

 実際には工場間や市場といった大きなスケールで起きていることですから、普段はどこでどういうムダが発生しているかは見ることができないのですが、それを一つの机の上ですべてやるので、「見える」のです。

 参加者は工程間を小さいロットサイズでつなぐことの大切さや、工程そのものを連結してしまうことの効果の大きさを見ることができて、改善の方向をつかみました。

 ちなみに、この講義の内容は今月10月の20日(大阪)と27日に、日本経営合理化協会の《モノづくりの基本体得・2大実習セミナー》で公開いたしますので、興味のある方はぜひご聴講ください。

 最近は、時間がないという理由で、本来必要な専門知識も十分に持たずに仕事をせざるを得ないという状況があるのは事実です。しかし、やはりそれではレベルの高い勝負はできません。もしそのような兆候を感じたら、是非ともしっかり教育の時間を取って頂きたいと思います。 

 今回はここで終わります。次回は韓国滞在で感じたことや研修の後半のお話をさせていただきます。

 10月東京・大阪開催!
  「モノづくりの基本体得《2大実習》」セミナー

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copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

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