事業継承、資産継承、いずれの場合でも譲る側と譲られる側の意思疎通がうまくいかないと失敗する。
だから、世界のファミリー企業のオーナー、資産家たちは「ファミリー総会、ファミリー評議会」などを設け、コミュニケーションや意思決定の制度化に心をくだく。キーワードはファミリーガバナンスである。経営、また資産運用を一族で行うにあたり、異なる意見を調整し、異なる利害調整のメカニズムがうまく機能することが肝要だからである。彼らは幼少時よりファミリーイベントや投資会議への参加などで鍛えられ、ファミリー企業内の叔父叔母、従兄弟たちと、複雑な家族関係にも対応する能力を具えていくのである。
うまく家族が集まり、いざテーブルについたとしても一体何をどう話し合って良いかわからず、気まずい思いをするのが落ちである。あるいはいつものようにワンマンの父親が一方的にしゃべりまくり、「何のための話し合いの場か」という感じになってしまう。
もっと手軽にできるのが、家族あるいは一族の家族史、家族アルバムを、米寿のようなイベントに向けて作るための共同作業を一族で行うことではないだろうか?
本人のみならず両親、先祖の写真を可能な限り集める。幼少時の写真や自分で書いた作文、当時の新聞記事、家族旅行の写真、思い出深い事件や出来事を書いて貰う、あるいはしゃべってもらい、それをプロの手で書きこんでもらってもいいだろう。ビデオという手だってある。
趣味や大好きな母の味のレシピー、プライベートな信条とか仕事に対する考えを記載するのも魅力的だ。社史や自分史編集の業者を使うのも一法である。
創業者がいかに偉大だったにせよ、其々の家族に焦点をあて、また各世代がそれなりの貢献をしない家は長続きしない。
ファイナンシャルアドバイザー