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- 第40回 独身の日
11月11日は「1」が並ぶことからいろいろな記念日が設定されているが、最近は中国・アリババ(Alibaba=阿里巴巴)の「独身の日(天猫ダブルイレブン)」セールが最も大きな話題として取り上げられている。
今年の独身の日セールは売上が2,684億人民元(384億ドル=4兆2,000億円)と過去最高となったが、対前年の伸び率は25.7%増と、昨年の27%増を下回った。
今年は米中貿易摩擦などにより中国経済が減速しているため、売上の伸びが鈍化するという予想も出ていたが、午前0時の開始から11秒で1億元(1,500万ドル)を売り上げ、最初の7分23秒で処理された取引件数が1億件、開始から12分後には最初の荷物が上海の消費者の自宅に届いた。
午前4時までにカナダ産エビ300万匹、アルゼンチン産のクルマエビ160万匹が注文され、午前9時までには粉ミルク5,000トン、使い捨てオムツ10億枚が売れるなど好調なスタートを切った。
セール参加者は前年から1億人増えて5億人、参加ブランドも20万を越え(過去最多)、Apple、Bose、GAP、Nike、ユニクロなど、15ブランドの売り上げが10億元を突破、売上が1億元(15億円)を超えたブランドは299となった。
セールに参加した中国以外の小売業者の上位5カ国は、日本、アメリカ、韓国、オーストラリア、ドイツで、ユニクロ、GAP、Adidas、FILAなどのブランドは、スタートから1時間で1億元(15億円)以上の売上を達成、中国だけではなく世界的なセールとなっている。
独身の日に出荷した荷物を運ぶには、ボーイング747型機が8万機以上、移動距離数は6,276億4,416万km(地球と冥王星のあいだを40往復以上する計算)、ピークアワーは1秒あたり54万4,000件の注文の受け付けという数字も発表されている。
また、この日一日の売上額は、米年末商戦の始まりとなる「ブラックフライデー」とネット通販が活発になる「サイバーマンデー」の売り上げの合計額を上回っているし、楽天の2018年度(2018年1~12月期)国内EC流通総額(3兆4,310億円)の1.2倍の計算になり、中国の個人消費が世界経済にとっても重要なことが分かる。
中国のその他のECサイトもこの日に合わせてイベントを開催、中国2位のJD(京東)も売上が166億ドル(約1.8兆円)と記録を更新した。
しかし、9月10日にアリババ会長を引退した創業者の馬雲(ジャック・マー)氏は、今年の売上に関して取引額が「私が描いていた予想に到達しなかった」としている。
ジャック・マー氏は気候が温暖だったこと(寒くなれば衣料品が売れ始める)、今年の11月11日が月曜日で翌日も平日だったことで夜間の買い物が手控えられたことなどを理由にあげ、将来的には11月11日に「政府が国民全員に半休を与えることを望む」とした。
今年は「Tmall Collection show」という、バーバリー、ポロ・ラルフローレン、リーバイスなども参加するファッションショーで開幕、Taobao(タオバオ)、Youku(ヨウク)、Weibo(ウェイボ)、TikTok、bilibili(ビリビリ)など17の動画プラットフォームでライブ配信され、1,000種類以上の商品がライブストリーミングで販売されるなど、新たな販売手法も取られており、注目されている。
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●アリババ
●アリババニュース「2019「天猫ダブルイレブン」ショッピングフェスティバル特集」