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- 第9回 ショールーミングストア
来店客を自社のEC(ネット販売)サイトへ誘導するためのショールーム的な店舗が増え始めている。
商品を見て、触って、試着して確認してもらい、購入はオンライン(ネット)という「ショールーミングストア」は、お客の利便性や志向に合わせていろいろな購入手段を提供する「オムニチャネル化」の一環だ。
ネット販売、スマートフォンの普及により、お客は店や家からだけでなく、スマホを使っていつでもどこでも商品が買える環境が整い、販売側もそれらに対応するために、注文管理、在庫管理、顧客管理などをリアルタイムに統合管理する必要が出てきており、それらに対するのがオムニチャネル化だ。
ショールーミングストアの店舗側のメリットは、サイズや色違いなどの在庫が最小限で済むこと、商品を探したり並べたりの手間が減らせるため少ないスタッフで運営できること、万引きなど盗難の心配が少なくなること、お客の行動データを集められることなどがあるが、まだ珍しいこともありメディアに取り上げられやすいため、広告効果もある。
■ZARAショールーミングPOPUPストア
ファストファッションの「ZARA」も、六本木ヒルズに期間限定でショールーミングストアを5月9日にオープンした。
2フロア800m2のこの店舗には、顧客の位置情報センサーや、商品タグにネットショップにつながるQRコードが付けてあり、来店客はスマホを店舗wi-fi(無線LAN)に繋ぎ、ダウンロードした「ザラ」のアプリで商品のQRコードを読み取ると対象商品が表示され、そこから購入できるし、自分のサイズを指定して試着も申し込める。
この店では、通常の試着のように自分で試着室に服を持って行く必要はなく、指定された試着室に行くと当該商品が用意されている。
購入はネット販売のみなので、スマホから購入手続きをすると自宅などに配送されるが、13時までに購入すると、当日の18時以降に六本木ヒルズ店での受け取りも可能だ。
■ZARA
ファストファッションで売上世界No.1のZARAを展開するインディテックスは、2017年度の売上高が253億3,600万ユーロ(3兆3,190億円)、EC売上高シェアは10%の3,300億円、EC来訪数は24億2,000万で、現在ECを強化している。
また、4月12日から2週間ほど、世界120店(国内は16店)でAR(拡張現実)体験の実験も行った。
これは、専用アプリを使って対象店の指定場所にカメラを向けると、最新春夏コレクションを着たモデルが映し出されるもので、バーチャルモデルと一緒に写真を撮ることもできた。
実店舗の売上を奪う要因ともなっていたネット販売やスマホを集客の道具とする試みは、今後増えてゆくと考えられ、注目していきたい。
======== DATA =========
●ZARAショールーミングPOPUPストア
所在地:東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズノースタワー1/2F
開催期間:5月9日〜7月末(予定)
問合せ:ザラ・ジャパン/カスタマーサービス
TEL:03-6415-8061