人間が通常使っている言語(自然言語)は曖昧性を含むが、それを踏まえてコンピュータ(AI)で処理して意味を把握、要約するシステムが登場し始めた。
これらは、文章を「形態素解析」と呼ばれる意味を持つ最小の言語単位に分割、各単語に適切な品詞を割り当て、単語間の関係性についての構文解析や意味解析を行うなどのプロセスで文章の意味を把握し、それを要約するというものだ。
最近登場した、長い文章でも3行に要約してくれる「ELYZA DIGEST」や、ニュース記事を10%、50%など指定した分量に要約してくれる「ニュース・タンテキ」などの日本語AI要約を使ってみたが、期待以上に精度もよく、AIの進歩に驚かされている。
■ELYZA DIGEST(イライザ・ダイジェスト)
東京大学松尾研究室から出たAIスタートアップ「ELYZA(イライザ)」が8月に公開した「ELYZA DIGEST」は、入力した文章データを3行に要約するAIだ。
ニュース記事、書籍、小説のような校正された文章はもちろん、議事録や対話記録のようなメモ的な文章にも対応して、長さに関係なく3行に要約、URLを張り付けるとそのページ内の全文章からも要約できる。
人間だと5分かかる900字程度の文章を「ELYZA DIGEST」は10秒以下で要約できるため、会議前などにいろいろな資料に目を通す必要がある時などは大変便利だ。
■ニュースタンテキ
「バズグラフ」という会社が開発したニュース記事に特化したAI要約システム「ニュース・タンテキ」は、最大1万文字まで要約可能で、要約圧縮率を10%~90%に選択できるし、文章構造図(ニューラルマップ)やキーワード出現率の表示などもしてくれる。
最新の新機能ではキーワードを入力すると関連ニュースが表示され、それをそのまま要約することも可能になっている。
要約文字数の指定機能もあるため、原稿を書く場合にも役立ちそうだ。
このような便利なサービスが学生時代にあったら、夏休みの宿題の読書感想文や課題のレポートなどを楽に仕上げられたと思ってしまうが、車にばかり乗っていると足腰が弱るように、自分でたくさんの文章を読むことで読解力がつくので、急ぐときにタクシーを使うようにうまく使い分けていくことが課題になりそうだ。
しかし、AIの進化を体感し、今後の効率的な仕事や勉強環境を考える上では「AI要約」は体験する必要があり、皆さんもぜひ使ってみていただきたい。
======== DATA =========
●ELYZA DIGEST(イライザ ダイジェスト)
http://www.digest.elyza.ai
●東大松尾研究室
http://weblab.t.u-tokyo.ac.jp
●ニュースタンテキ
http://ai-tanteki.com
●バズグラフ
https://buzzgraph.co.jp