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愛読者通信

「『身の丈経営に徹せよ』それが父の教えだった」
佐藤 肇氏 (スター精密 会長)

「愛読者通信」著者インタビュー

  先行き不透明な経営環境で、社長はいかに経営の舵をとるべきか。かつて、リーマンショックの影響で売上が一気に7割減、85億円の大赤字に直面するも、会社と社員を守り抜いたスター精密の佐藤 肇会長に、父から受け継いだ《会社を絶対に潰さない経営》の要諦を伺った。

佐藤 肇(さとう はじめ)氏
スター精密[東証プライム]代表取締役会長
実父・誠一氏が裸一貫で創業したスター精密に入社。父から受け継いだ経営ノウハウを、佐藤式先読み経営としてさらに進化させ実践。その結果、「海外売上比率8割超」「高収益・自己資本率7割」の超優良企業へと育て上げる。2017年3月より代表取締役会長。
著書に『佐藤肇 経営の決断101項』『社長が絶対に守るべき経営の定石50』『先読み経営』『社員の給料は上げるが総人件費は増やさない経営』『社長としての人件費計画の立て方』(共に日本経営合理化協会刊) 

 

― 佐藤氏はこれまで幾度の経営危機を乗り越え、会社と社員を守り抜く「鉄人経営者」と称されています。

 私の経営者人生は、いつも節目節目で逆風が吹いていました。取締役になった95年は創業以来の赤字、さらに社長に就任した年はリーマンショックの翌年で、85億円の大赤字でした。
 危機に直面して、会社をどう舵取りしていこうと悩む時、いつも思い出すのは、創業者である父親の教えです。
「絶対に大企業のマネをするな」「規模を追わず身の丈を考えろ」と何度も言われてきました。
 その教えを胸に、リーマンショック後の危機では「買うな、作るな、売るな」で、在庫と売掛金を徹底的に減らし89億円を現金化しました。だから、大赤字でも現預金は6億円減っただけです。
 多くの経営者は売上を落とすことを恐れますが、むしろ売れないときに無理に売ると、値引きせざるを得ないから利益率が減ります。
 しかも、市況が回復しても値段を簡単には戻せず、結局は苦労することになります。
 それに売上を伸ばすと在庫や売掛金が増えますから、キャッシュは減っていく。結果、売上が増えても利益が減って、キャッシュも減って、健全性と収益性がどんどん悪くなる。最悪は倒産です。
 大事なことは、売上高や利益は経営の目的ではなく、あくまで手段だということです。経営の本丸は、いかに会社にキャッシュを残しておくかだと思います。
 それなのに、多くの経営者はその本質を理解しておらず、損益計算書ばかり見て一喜一憂している。
 そういう経営者に言いたいのは、これからの低成長時代に企業を存続させるには、簡単に売上を伸ばせないという前提に立つ必要があるということ。そして、キャッシュの実態が分かるバランスシートを大事に経営するということです。

 

Q:上至上主義に陥ることなく、会社に徹底的にキャッシュを残す目的はなんでしょう?

 キャッシュが大切なのは、従業員を大切にすることにつながるからです。
 スター精密には父が創った労使共通のスローガン「会社は永遠に発展し、社員の生活はたゆまず向上する」というのがあって、歴代の経営陣はこれを会社発展の礎だと心に留めて経営しています。
 だから、85億円の大赤字でも社員のリストラは一切なし。そもそも、たとえ売上が3年間ゼロでも全社員に今と同水準の給料を払い続ける体力がわが社にはあります。
 加えて、スター精密では最低でも年間4カ月の賞与を保証していますし、支給額ランキングでは大手企業に交ざって上位に入ります。
 「身の丈経営」の醍醐味とも言えますが、規模では大企業に勝てなくても、一人当たりの賞与なら経営次第で勝てるのです。

 

Q:身の丈経営に徹するために、経営者がやるべきことを教えてください。

 無駄を省くことです。そのために事業の将来を読み、儲かるものを育て、儲からないものは早めに見極めて捨ててください。
 あとは、在庫や売掛金を減らす。設備投資は減価償却費の範囲以内でやる。従業員を安易に増やさず、労働生産性を高める方策を考える。
 こうすると、バランスシートがスリムで筋肉質になって、売上を無理に伸ばさなくてもぐっと利益が出やすくなり、なにより会社にキャッシュが残ります。
 これらは全て父から教えられた経営の定石です。そして、スター精密が好不況に左右されず着実に成長発展するために、脈々と受け継いでゆくべきものなのです。
         

(聞き手/丹野悦子)

「愛読者通信」(2019年1月)掲載

 

【講師セミナーのお知らせ】

2022年度 第63期 佐藤塾 長期経営計画作成合宿
佐藤 肇(スター精密 代表取締役会長)

「わが社の5カ年長期計画」作成合宿プログラム(5日間コース)
長期計画の戦略立案と経営目標のたて方【個別実習と経営指導】

【第1講】
2022年4月16日(土)10:30~17:00
(会 場:日本経営合理化協会)

【3泊4日 完全合宿】
2022年4月30日(土)~5月3日(火)
合宿初日 10:45開始 合宿最終日 15:20
(会場:ホテルグランヒルズ静岡)

▼詳しくは日本経営合理化協会サイトをご覧くださいませ
https://www.jmca.jp/semi/221304

 

【経営合理化協会・関連YouTube動画】

【経営の定石】社長が「やるべきこと」と「やってはいけないこと」
経営には [攻める経営][守る経営][捨てる経営]の3つがある
部門別・店舗別計画《スター精密株式会社 代表取締役会長 佐藤肇氏》

https://youtu.be/mO-4jbyv3Mo

 

 

 

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