menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

マネジメント

第27回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:イデオ

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

<勝ち組と負け組が明確になる今、経営者の判断がブレると会社は、これから負け組に入ってしまうでしょう。しかし、経営者の判断が理念を軸に、ブレなければ、会社は、生き残り、勝ち残ることが可能です。

なぜなら、先行きの見えない日本で現場は、経営の判断が常にブレない会社なら、その会社を信頼して“ついていこう”と思い、顧客の声に耳を傾け始めるからです。

会社は、永続する必要があり、永続させるには儲からなければならず、そのためには、顧客の声を聴き、必要とされる会社になり、利益を生み出すことが不可欠です。

経営者は代わりますが、変わらぬ経営理念を軸にブレない経営を実践し、会社の風土を築けば、現場が一つとなり、顧客になくてはならない会社には何が必要か?探り当てることができるのです。

そこで24回連載を終わり、今回からは全3回で“マーケティング(売れる仕組み)”をキーワードに“どの顧客”を対象にアプローチすれば新しい顧客を創造できるか?を、売れる仕組みを経営理念とリンクさせ、現場士気を向上することで売り上げをアップさせている会社を事例と共に解説いたします。

 

~これまでなかった商品を世に出す仕組みとは?!~

 “不可能はない”をルールに、顧客の要望は何でも聞き入れ、今までになかった発想により“ここにしかない”デザインで、これまでなかった商品を開発し、世に送り出す。

そんな会社が、イデオです。

例えば、あるNECのノートPCはイデオの社員が日本の営業マンを24時間監視することで生まれ、結果この製品は爆発的に売れたのでした。

 

この商品の開発ポイントは、

・スペースのない日本においてはノート型PCを多様に使う必要がある。
・バッテリースペースをフロッピーディスクに変える。
・プレゼンのときはスクリーンを360度回転できる。

これらは24時間監視したことによる現場の発想からでてきたものでした。 

イデオで働く人々が、これまでの思い込みに囚われず、新しい発想をこのように持つことで、これまでにない商品を生み出せるのは、同社に、デザインシンキング(デザイン思考)という共通言語があり、この言葉が概念として現場に浸透し、現場が日々のアクション(ルーチン・・定型作業)を具現化できる仕組みがあるからなのです。


共通言語・・・デザインシンキング(デザイン思考)とは?
人の体験へ訴える革新的なデザインを生み出すプロセス

~どこにもない商品が利益を生み出すには?!~

イデオは、アメリカ・シリコンバレーに本社を置くデザイン・コンサルティング会社で、「世界で最もイノベーティブ(革新性のある)な企業」(米Business Week誌2005年~2007年、米Fast Company誌2009年)にデザイン・コンサルティング企業として唯一選ばれた企業です。

1991年に創業、人や生活に根ざした発想で、ビジネス、教育、ヘルスケア、社会(環境)テーマなどの幅広い領域でデザインのコンサルティング業務を展開し、アップル社の初代マウスのデザインも同社の作品です。(現在ではサムスン等の世界的企業の繁栄を支える企業としても知られている)

同社の理念は、同社のゴールとして(一部意訳)以下のように示されています。

「私たちのゴールは、その斬新さと革新性の手法により、適切且つ独自性を持つ具体的な戦略を立案すること」

イデオは、デザイン会社という強みを活かし、マーケティング(売れる仕組み=これまでにない斬新な発想の商品を生み出し、注目を浴びる)を実践し、顧客に開発した商品を核に戦略を提案すると共に、商品の革新性によって実現可能な事業計画を立案するコンサルティングを通じて、実は、利益を生み出しているのです。

 

~働く人が楽しくなる文化が発想を生み出す~

イデオが素晴らしい発想に満ちているのには理由があります。それは、この企業には、働く人が楽しくなる環境があるからです。

その環境とは、文化、つまりカルチャーで作り上げられています。

同社の文化とは、こだわり、コラボレーション、左脳、右脳、情熱、好奇心。

これらを大切にするイデオの文化は、現場が違う仕事(プロジェクト)に従事していても現場ベクトルを同じ方向へと導いていきます。

イデオはこの点に関して、こういっています。

“よい発想を得る最良の方法は、たくさんの発想を登場させ、それらを一つにすることだ。”

イデオの強さとは、たくさんの発想がでる文化が以下の仕組みで醸成されることなのです。

 

<イデオの文化が醸成される仕組みとは?>

ブレインストーミング(集団で アイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法)

イデオでは、ブレインストーミングをほぼ毎日行います。

このときのルールは

ノートを取らず、順番には話さず、60分で終了する。
このブレーンストーミングをよりよくするために以下7つの秘訣があります。


1.    焦点を明確にする

ここではテーマの作り方が重要だといっています。

例えば、「中身がこぼれないコーヒーカップの蓋」というテーマであれば、あまりに限定されている為に、すぐに答えが飛び出してしまう。また「自転車用カップホールダー」というのも味気ないので、ベストなテーマとして「自転車に乗る人が、こぼしたり舌をやけどせずにコーヒーを飲めるようにする方法」と焦点を定め、考える楽しさを生み出す

2.    遊びごごろのあるルール

出されたアイデアを平等に楽しむために、「たくさんのアイデアが必要」「ばかげたアイデアは楽しい」「ビジュアル化できる表現を」というようなルールをつくり、会議室の壁に貼っています


3.    アイデアを教える

アイデアを人に教える事は楽しい。そして数限りなく教えることで、あるアイデアから次のアイデアへ移る際に自分自身の天才性にも気づく事が出来る。

4.    力を蓄積し、ジャンプする

アイデアがでてくると沢山の力が蓄積されるので、先の例「自転車に乗っている人がコーヒーを飲む」をテーマにしたのなら、蓄積の段階でよいアイデアがでて、現場のエネルギーが維持されるが、途中でパワーダウンしたときに「オーケー、では自転車に乗る人が両手をハンドルから離さなくてもすむように、全く「手を使う必要ない」ソリューションがあるか考えてみよう。」と流れを変え、参加者の力を再度蓄積し、ジャンプさせる

5.    場所は記憶を呼び起こす

アイデアはできるだけ書き残す。このために会議室は、壁と平面が紙で覆われています。

そうすれば出てきたアイデアを全て書き残す事ができ、するとアイデアが出てきた場所、つまりその壁の前に戻る事で、その時の記憶が呼び覚まされ、もう一度アイデアが生まれた最初の状態に戻れるのです。

6.    精神の筋肉をストレッチする

テンポの速い言葉遊びをする。そうすれば、参加者に緊張がもたらされる

7.    身体を使う

身体を使いアイデアを表現する為に、必要なモノは、グラフ、製品、強力粘着テープ。キッチンのシンクあらゆるものを使用し、最後にはボディストーミング(体を動かす)も実践する。

 

イデオでの毎日のブレインストーミングは、

つまり、

ルーチン(定型作業)を楽しくする仕組みなのです。

 

●イデオHP(英語)

http://www.ideo.com/about/

 

イデオ ブレインストーミングの様子 ビデオ 5日間で完璧なショッピングカートをつくる(英語)

https://www.youtube.com/watch?v=M66ZU2PCIcM&feature=player_embedded

第26回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:グーグル前のページ

第28回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:あきんどスシロー次のページ

関連記事

  1. 第46回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ブルックスブラザーズ

  2. 第50回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:御堀堂外郎

  3. 第47回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:キッコーマン

最新の経営コラム

  1. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年11月20日号)

  2. 第七十八話 展示会後のフォローで差をつける「工場見学の仕組みづくり」

  3. 第219話 少人数私募債の相続対策

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 教養

    2016年8月号
  2. 税務・会計

    第1回 個人保証を外す交渉をしなさい!
  3. マーケティング

    第9話 「インターネットで、儲けるコツ!」
  4. マネジメント

    危機を乗り越える知恵(7)チャーチルのコミュニケーション術
  5. 社員教育・営業

    第22号 創業社長のための全員営業の活用法【実践編】
keyboard_arrow_up