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第37回
10人に1人が「認知症」で日本はどうなる?
~他人事でない「知」が壊れて行く病の恐ろしさ~

次の売れ筋をつかむ術

 
 
認知症の患者が急速に増えている。今や認知症は新たな国民病だ。
 
このまま行けば、近い将来、1000万人が認知症を患っている時代が到来する。
 
インフルエンザが猛威をふるった年でさえ、国民全体の罹患率は6~7%程度と言われる。
 
全国民の10人に1人が認知機能の一部またはすべてを失なったとき、はたして社会は
まともに機能するのだろうか。

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日本は、わが国の歴史始まって以来初めての、そして、世界史上で例のない
「認知症国家」としての試練を受けることになる。
 
もはや現実から目をそむけている場合ではない。認知症は他人事ではない。
いつ誰に起こっても、誰の家族に降りかかってもおかしくないのだ。

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●10人に1人が認知機能障害を持つ世界初の「認知症国家」に
 
厚生労働省は、介護保険の要介護認定者の数から、2012年の時点で認知症を患っている高齢者数を
305万人と推計。2025年には470万人にまで増加すると予測した。
 
一方、同省の研究班は、2013年6月、全国の10市町におけるより詳細な調査から、
65歳以上の高齢者のうち認知症の患者は15%で7人に1人、既に2012年の時点で462万人いると発表。
有病率は1985年の6.3%から2倍以上に増えたとした。
 
しかし、2013年12月、さらに衝撃的なデータが発表された。
現実には国の予想をはるかに上回るスピードで認知症患者が増えていることが判明したのだ。
 
社会環境医学を専門とする九州大学の清原裕教授らの最新の研究によれば、
実際には全国に認知症の高齢者は既に550万人もいて、20年で6倍に急増しているのである。

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そして、現状のまま推移すれば、今後、高齢者が急速に増えて行く中で、近い将来、
1000万人の大台に乗ると断定したのだ。
 
九州大学では、1961年から福岡県久山町で住民の健康診断と追跡調査を続けている。

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同大のこの調査データは医学的な信頼度が高く、日本を代表する医学データとして
国際的にも評価されている。
 
同町は、住民の年齢構成、出生率、死亡率などが全国平均に近いためだ。
 
現在では医学界の常識となっている、高血圧は脳卒中の原因になりやすいといった定説も
久山町における研究が元となっている。
 
認知症に関する調査も、65歳以上の男女住民を対象に、1985年より約7年ごとに実施している。
 
久山町の現在の人口は8337人で、2012年の検診は65歳以上の94%に当たる1906人が受診した。
 
その結果、認知症の有病率は18%にのぼった。また、予想をはるかに上回る増加ペースも確認された。
 
そこから、全国の65歳以上の高齢者人口が約3080万人(2012年10月)であることから、
認知症の高齢者数を550万人と算出したのだ。
 
また、認知症予備軍である軽度認知障害の有病率も10%あったことから、
全国の患者数を約310万人と推計した。
 
550万人と310万人を合わせると、何らかの認知障害を持つ高齢者は
既に全国に860万人以上もいる計算になる。
 
日本の総人口は7年連続で減少している。2013年は24万4千人減少し、過去最多を更新した。
 
わが国は世界中の国と地域の中で最も高齢化が進んでおり、国民の平均年齢は46歳、平均寿命は84歳。
もう人口の4分の1が65歳以上だ。 今後、65歳以上の老齢人口は急速に増えて行く。
 
英語で1世代を表わすジェネレーションは30年を意味する。その1世代にも満たない、たった28年後の
2042年には老齢人口はピークを迎え、3878万人に達する。
 
もし計算通り、その時、全国民の10人に1人が認知機能に障害を持つ事態に陥れば、
日本社会はどうなってしまうのか。考えただけでも背筋が寒くなる。
 
未来は予兆となる事件・事故を見ればわかる。
 
●激増する「認知症万引き」に相次いで無罪判決
 
近年、全国各地で高齢者による万引き事件が激増しているが、その中には認知症患者も少なくなく、
無罪になるケースも出て来ている。

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2013年12月、大阪地検堺支部は、当事者が認知症のため裁判の意味を理解する判断能力がないとして、
82歳の女性と65歳の男性の窃盗罪の起訴を取り消した。
 
女性は大阪府堺市のスーパーでプリンなど数点、コンビニでおにぎりの総額1400円相当の商品を
万引きしたとして現行犯逮捕された。堺簡易裁判所に略式起訴され、
罰金20万円の略式命令を受けていた。男性は酒などを万引きしたとして窃盗罪に問われていた。
 
また、同月、長野地裁飯田支部は、長野県飯田市のスーパーで食料品16点を万引きしたとして
起訴されていた82歳の男性について、認知症を理由に無罪を言い渡した。
長野地検飯田支部は懲役1年6カ月を求刑していたが控訴せず無罪が確定。
精神鑑定で認知症のため物を盗むという認識がなかったと認定された。
 
認知症患者に悪気はないものの、万引きされる店舗にしてみれば、たまったものではない。
 
●列車を止めて家族に損害賠償720万円!「認知症トリガー事件」の悲劇
 
一方、2013年8月、名古屋地裁は、認知症の高齢者を在宅介護をしている全国の人々に
大きな衝撃を与える判決を下した。
 
愛知県内に住んでいた91歳の認知症の男性がJR東海の線路内に立ち入り、列車にはねられて死亡した。

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男性と同居していた要介護度1の85歳の妻と、横浜市から単身で近隣へ転居し
2級ヘルパーの資格を取って通いで介護していた長男の嫁とで、男性を介護していた。
 
男性は一人ではトイレも着替えもできない状態だった。それでも、妻と嫁は、
男性がゴミを出したり、木に水をやったり草取りをするときはあたたかく見守っていた。
古いカバンを持って「ふるさとへ帰りたい」と言い出したら、本人に気持ちを尊重し家に戻るまで
いっしょに後を付いて回っていた。
 
ある日、男性が施設での介護を受けて帰宅した後、3人でお茶を飲んでいた。
男性が寝たのを見計らって、妻もウトウトし、嫁が家事をしていた一瞬の隙に、
気が付くと男性はいなくなっていた。その後、死亡事故が起きた。
 
親族の監督責任が問われ、長男を事実上の監督者であるとし、
妻も目を離さずに見守ることを怠った過失があるとされた。
地裁は鉄道会社の主張を認め、男性の妻と4人の子供たち夫婦に対して、
事故のため振り替え輸送などにかかった損害約720万円の賠償を命じた。
 
しかし、実際のところ、認知症の患者を24時間見守ることなど、
家族による在宅介護のみならず介護施設でも不可能だ。
 
●高齢者ドライバー1400万人時代突入で続発する「認知症ドライバー重大事故」
 
同様に認知症がトリガーとなる事件・事故は跡を絶たない。
中でも自動車による重大な事故が急激に増えている。

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モータリゼーションが進んだ結果、日本の地方はクルマ社会になり、
もはやクルマがなければ生活が成り立たない。一人一台、一家に数台も当たり前だ。
 
地方に住んでいる人や、地方に年老いた両親を残している人と話していると、
年寄りによる運転を心配する声をよく耳にする。
 
地方のスーパーの駐車場で、あちらこちらをぶつけてへこんだり、
かすったりして傷だらけになったクルマを、時折、目にする。
その多くは高齢者が一人で運転しているものだ。
 
息子や娘が父や母の認知症が進行しつつあり心配していても、
本人が「慣れているから大丈夫」と言い張ると、
「クルマの運転をやめさせて家にこもって何もしなくなると、
なおさら認知症が悪化するかも知れない」と思い、許してしまいがちだ。
 
しかし、実際に事故を起こし、他人にケガをさせてからでは手遅れだ。
 
2013年9月、宮崎地裁都城支部で痛ましい事故の判決が言い渡された。
 
宮崎県えびの市の県道で1台の軽トラックが路側帯に突っ込み、
下校中の小学校2年生の児童3人を次々にはね、1人は重体となり、
今も意識は戻っていない。
 
運転していた76歳の男性には認知症の症状があった。
家族や医師から運転をやめるよう注意されていたが、「大したことはない」と運転を続けていた。
 
判決は「わずかな出費を節約するために車を運転した態度は非難を免れない」と厳しく指摘、
自動車運転過失傷害と道路交通法違反の罪で、執行猶予の懲役1年2カ月の実刑判決を下した。
 
警察庁によれば、2012年8月までの2年間に447件あった、高速道路での逆走について調査したところ、
約7割が65歳以上の運転者で、そのうち認知症だったり疑われたケースが約4割にのぼった。

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日本老年精神医学会の協力により、高知大医学部の上村直人講師らが2008年に行った調査では、
認知症患者約7300人のうち11%が認知症の診断後も運転をやめず、
その中の16%に当たる約130人が人身事故や物損事故を起こしていた。
 
アメリカの調査結果では、認知症の高齢者は、健康な人と比べて衝突事故の可能性が2.5倍になるという。
 
65歳以上の保有者は約1420万人いる。そこから単純計算すれば、認知症ドライバーは
200万人以上もいることになる。
 
本人が「責任能力なし」と判断されたような場合や本人に支払い能力がない場合は、
家族が「監督責任」を問われる可能性もある。
 
認知症患者の急速な増加によって、今後、このような「認知症トリガー事件」や
「認知症ドライバー事故」が激増することは間違いない。
 
●人類は認知症で滅びる?世界の認知症患者が2050年までに3倍に激増!
 
認知症が増えているのは日本だけではない。
欧米先進国はもとより、韓国、中国も、日本同様に一気に高齢化が進み、それにともなって、
日本以上のスピードで認知症患者が激増することが予想されている。

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国際アルツハイマー病協会(Alzheimer's Disease International、ADI)によれば、
世界の認知症患者は既に約4400万人おり、過去3年間で22%も増えた。
今後さらに爆発的に増加を続け、2050年までに約3倍の1億3500万人になるという。
 
ADIのマーク・ウォルトマン理事長は、
「認知症が世界的に蔓延しており、悪化の一途をたどるばかりだ。
 (中略)WHO(世界保健機関=World Health Organisation)の優先事項として
 世界がこの病気に直面する準備を整えることが不可欠だ」
と語っている。
 
認知症は人類全体の重大な問題となって来ており、
2013年、イギリス・ロンドンで世界初の「主要8か国(G8)認知症サミット」が開催された。

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イギリス、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本、ロシア、アメリカの
主要8か国の政策担当者が一堂に会し、認知症に対する効果的な治療法や治療薬を見出すために
国際的に協力し合うことが確認された。
 
日本政府も動き出している。
 
2013年12月16日、政府の健康医療戦略推進本部(本部長・安倍晋三首相)に助言をする専門調査会は、
2020年頃までに、認知症を根本的に治療する根治薬の臨床試験(治験)を始める目標などを盛り込んだ
「医療分野の研究開発に関する総合戦略」案に大筋で合意。
 
研究の費用分配や進行管理を担う新しい独立行政法人「日本医療研究開発機構(仮称)」の設置法案を
2014年の通常国会に提出する。
 
また、厚生労働省は、2013年12月28日、認知症初期段階の高齢者を対象とした専門家チームを
2015度から、順次、全市町村に設置する方針を固めた。
 
高齢者の症状が悪化する前に集中的に支援することで、精神科病院などへの長期入院を防ぐのが狙いだ。
2014年度予算案に、全国100カ所で専門家チームを設けるモデル事業を盛り込んでおり、
本格実施に向けて課題や効果を検証する。
 
●認知症の7割を占める「知」が壊れて行く病気アルツハイマー病

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認知症には数種類があるが、いずれに対しても、今のところ治療薬は見つかっていない。
 
中でも最も多いのがアルツハイマー病で全体の約7割を占める。
 
一言で言えば、あらゆる「知」が壊れて行く病気だ。数分前のことや自分の家の場所さえ忘れてしまい、
最悪の場合、親子兄弟のことさえ認識できなくなる。
 
原因は未だ解明されていない難病で、進行を半年ほど遅らせる薬はあるものの、
一たび発症すれば治す薬も療法もなかった。
 
アルツハイマー病が顕在化するまでには数十年かかることもあり、20代から少しずつ脳に異常が起こる。
また、30代や40代で発症する若年性アルツハイマー患者も少なくない。
 
近年、『明日の記憶』、『ビューティフルレイン』、『Pure Soul?君が僕を忘れても?』、
『あの海を忘れない~若年性アルツハイマー病を支えて』、『私の頭の中の消しゴム』といった
若年性アルツハイマーをテーマにした映画やドラマが相次いで公開されたことで、
少しずつ認知症に対する国民的な認知が進んで来ている。
 
●アルツハイマー病とは「脳の糖尿病」「第3の糖尿病」だ
 
しかし、近年、不治の病、アルツハイマー病のメカニズムが徐々に解明されつつある。
この病気が糖尿病と深い関係にあることがわかってきたのだ。

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医学会では、アルツハイマー病は「脳の糖尿病」、あるいは「第3の糖尿病」と呼ばれるようになって来た。
 
実際、糖尿病やその予備群の人はアルツハイマー病を発症するリスクが4.6倍も高く、
二つの病気は併発することが珍しくない。
 
糖尿病は、インスリンの異常によって引き起こされる。インスリンとは、主に膵臓で作られ、
ヒトにとっての主要なエネルギー源である、炭水化物から生成されるグルコース(ブドウ糖)を
全身の細胞に取り込むために働くホルモンだ。
 
糖尿病には、膵臓に異常がありインスリンが作れなくなり高血糖となる1型と、
インスリンが作れても不十分だったり細胞に問題があってうまく利用できない2型の2つの種類がある。
 
一方、アルツハイマー病の発症者は、グルコースの代謝を制御する遺伝子やインスリンを作る遺伝子が激減し、
脳内が糖尿病状態になっている。
 
患者の脳は、グルコースをエネルギー源として利用するために必要なインスリンの作用が極端に低下している。
エネルギーを取り入れられないため、脳の神経細胞が変性することによって、
記憶障害をはじめ症状が悪化していく。
このため、アルツハイマー病は3型糖尿病の異名を取っているのだ。
 
アルツハイマー病の患者は、脳が糖尿病状態なので、グルコースを脳細胞や神経細胞に取り込みづらくなり、
記憶障害を引き起こす。
 
また同様に、糖尿病の患者も全身のみならず脳内のグルコースの代謝が悪いため、神経細胞が死んで
アルツハイマー病を発症する危険因子となりやすいのだ。
 
●母乳やココナッツオイルの成分「中鎖脂肪酸」がアルツハイマーを改善!
 
しかし、ヒトの脳のエネルギー源は炭水化物から作られるグルコースだけではない。
グルコースが不足すると、代わりに脂肪を燃やしてできるケトン体からエネルギーを得る。
 
この点に着目した研究が新発見を生み出し、世界中のアルツハイマー病患者とその家族に朗報となっている。
 
2008年、アメリカの医師、メアリー・T・ニューポート博士が、母乳やココナッツオイル、
パームオイルなどに含まれる「中鎖脂肪酸」(MCT=Medium Chain Triglycerides)の摂取が
アルツハイマー病の症状を改善するケースが認められることを発見したのだ。

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脂肪酸は、その長さによって分類される。中鎖脂肪酸とは、文字通り、
鎖の長さが牛脂やラードなどに含まれる長鎖脂肪酸の半分の長さの脂肪酸を指す。
 
中鎖脂肪酸は摂取するとすぐに肝臓に運ばれ、長鎖脂肪酸より4倍も早く燃えてエネルギーになる。
この特性から従来より手術後の流動食や未熟児のエネルギー補給に長年利用されていたが、
一般的にアルツハイマー病への効能・効果は知られていなかった。
 
博士は、2013年12月に初来日し、「中鎖脂肪酸(MCT)シンポジウム」~中鎖脂肪酸と脳機能~で
実地研究に基づく成果を発表。医学界、食品業界の関係者の間で大いに関心が高まり、
テレビや女性誌などでも報じられ反響を呼んでいる。
 
●愛する夫を救おうと模索した結果、見つかった世紀の発見
 
この世紀の発見は、ニューポート博士自身の夫、スティーブ氏が51歳でアルツハイマー病を発症し、
懸命に治療法を模索したことがきっかけだった。

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2011年に出版された博士の著書「Alzheimer's Disease: What If There Was a Cure?」の日本語版
『アルツハイマー病が劇的に改善した!米国医師が見つけたココナツオイル驚異の効能』を監修した
順天堂大学大学院加齢制御医学講座の白澤卓二教授による「まえがき」には、発見に至る経緯が
以下のように紹介されている。

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「本書の著者であるメアリー・T・ニューポート医師はオハイオ州出身の小児科医だったが、
 愛する夫スティーブが若年型のアルツハイマー病を発症し、病気が進行する夫を辛抱強く介護する中で
 あらゆる治療の可能性を模索する。
 
 新薬の治験にスティーブを参加させようと模索するが、病期が進行しすぎているスティーブは
 治験の除外基準の為に参加できない。
 
 そんな中、AC‐1202という中鎖トリグリセリドの治験を偶然に見つけることになる。
 この中鎖脂肪酸が食品として商品化されていることを突き止めたメアリーは、
 更にこの中鎖脂肪酸がココナツオイルやパームオイルから抽出されることを発見する。 
 
 早速、ココナツオイルをオートミールに加え、スティーブに食べさせたところ、
 その日のうちに劇的な症状の改善が観察された。
 それ以来、ココナツオイルを3年にわたり愛する夫スティーブに食べさせ続け、
 アルツハイマー病の症状を改善させ、病期の進行を食いとどめることに成功した」。

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3つの絵はスティーブ氏が描いた時計だ。
左から、ココナッツオイルの摂取を始める前、2週間後、37日後だが、格段の進歩が見られる。
 
自分で靴ひもを結ぶこともできず、ゆっくりしか歩くこともままならなかったスティーブ氏が、
普通に歩くことも走ることもできるようになった。
 
再び読書が可能になり、会話能力も飛躍的に向上。
無気力で無表情だったのが冗談を言えるまでに回復した。
 
その後の数多くの患者に対する臨床研究においても、中鎖脂肪酸(MCT)オイルを投与すると、
たった一度の投与だけで症状が劇的に改善するケースが何件も観察されるなど、
今後の研究大いに期待が高まっている。
 
●中鎖脂肪酸(MCT)食品が「ブレインフーズ」として人気急上昇
 
中鎖脂肪酸を摂取すれば、体内に入るとケトン体となり、
素早く燃えて脳内でグルコースに代わるエネルギーにできるのだ。
 
一度、死滅した脳細胞や神経細胞は元に戻ることはないものの、
ケトン体というエネルギーを供給することで、生き残った機能が目覚めるのである。
 
中鎖脂肪酸は、アルツハイマー病の患者とその家族にとっては症状を改善し、
将来に不安を抱える高齢者と家族にとっては予防に役立つ希望の灯なのだ。
 
中鎖脂肪酸(MCT)のアルツハイマー病に対する効能・効果がメディアで報じられたことが
追い風となり、MCTオイル、ココナッツオイル、パームオイル、タイ風カレーやタピオカなど
ココナッツミルクを使った「MCT食品」の人気が急上昇している。

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人気の高まりを受け、長年、中鎖脂肪酸(MCT)関連商品を製造してきた
日清オイリオグループ(東京都中央区・今村隆郎社長)も、
MCTオイルを配合した製品のラインナップを充実させている。

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最近、高齢化が進み、認知症患者が急速に増加するに連れて、
「MCT食品」のように脳に良いとされる「ブレインフーズ」に注目が集まっている。
 
もちろん、単品の食材だけで、アルツハイマー病を予防できる訳ではなく、
それだけを取り続けることは逆効果だ。
 
あくまで、脳に良い食材をも含めたバランスの取れた食事こそが大切である。
また、アルツハイマー病も生活習慣病の延長にある。
それ以前に、カロリーの過剰摂取、喫煙、過度の飲酒、不摂生を控えるべきことは言うまでもない。
 
また、アルツハイマー病のみならず認知症の改善・予防には、食事バランスに加えて、
日々の有酸素運動が最も効果的であると、あらゆる研究者が指摘している。
 
しかし、「ブレインフーズ」を意識することによって、食生活のみならず、
心身の健康寿命を伸ばそうと、毎日の生活を意識することは重要だ。
 
「ブレインフーズ」だけではなく、脳を活性化させる食品の多くは、全身の美容と健康にも良い。
 
ココナッツオイル、パームオイルなどに多く含まれる中鎖脂肪酸は、
肝臓で素早く燃え体脂肪が蓄積されない。
 
母乳にも含まれている成分で、体の免疫力を高めたり、アンチエイジングにも効果があるとされる。

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マドンナ、レディー・ガガやミランダ・カーといった世界的スターが、
「ココナッツオイル(中鎖脂肪酸を含むオイル)なしで1日を過ごせない」という通りだ。
 
認知症を予防することは、個人にとっても家族にとっても国にとっても人類にとっても
最重要課題の一つに違いない。
 
 

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