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社員教育・営業

第19号 “銀行・保険業”のための全員営業の活用法【問題提起編】

社長のための“全員営業”

 

『 銀行・保険業の営業には、自社商品を売るよりも大事なことがある』


 全員営業の業種別コラムの最終は、私のキャリアの出発点とも言える金融業への感謝も込めて、特に、中小企業の経営者と関係性が深い銀行・保険業について2回シリーズで述べることとします。

 かつて独立したての頃、あるいは東京に本社を移転した1年間…様々な異業種交流会や経営者の集まる場に参加しました。
 
 人が集まる場所には必ずといってよいほど、参加されていたのが、保険の営業マンであり、一方、滅多にお目にかかったことがないのが、銀行の営業マンでした。同じ金融業ですが、その営業手法はまったくの別物であるとともに、人が集まる場で、自己紹介をした際、見込客から受ける応対も真逆といってよいものがありました。
 
 しかし、優秀な成績を継続しているトップ営業が実施している営業手法には、相通ずるものがあります。
 
 それは、優秀な営業ほど「商品の話を自分からはしない」ということです。
 
 もちろん相手から聞かれたら別です。しかし、銀行・保険の営業マンであれば、聞くまでもなく何を買ってほしいかなどわかりますし、そもそもニーズがある相手は、既にどこか別の会社と取引しています。
 
 ゆえに、銀行・保険の営業で、新規取引を獲得しようとすれば、提案内容の是非を別にすれば、すでに別のメイン先がある相手に対して、取り急ぎ必要でもなく、しかも新たになくとも困らない口座や契約をしてもらわないといけないということです。
 
 身もふたもない言い方かもしれませんが、お客様の側から言えば、それが現実です。
 
 その上、保険の営業に関していえば、競合会社のみならず、自社の別の営業所や営業マンさえも競合となる場合があります。
 
 他社の競合会社であれば、まだ多少なりとも商品の違いをアピールすることもできるでしょうが、身内までもが競合ともなれば、単にセールスしているだけでは、「なぜ、あなたから買わないといけないの?」とお客様から聞かれた時に答える術がありません。
 
 冒頭に述べた「銀行・保険業の営業には、自社商品を売るよりも大事なことがある」という理由はここにあります。特に、保険業の場合、それが顕著です。
 
 では、自社商品を売るよりも大事なこととは何か?
 
 その大事なことこそが、優秀な成績を継続している銀行・保険業のトップ営業が実施している根っこの部分です。
 
 「きめ細かいサービスや、融通のきく対応でしょうか?」
 
 違います。少額取引ならともかく、1千万円~数千万円単位の法人相手の取引では、決定的な要因とはなりえません。
 
 「最近はやりのコンサルティング・セールスでしょうか?」
 
 違います。忙しい経営者に、まず御社のお話をお聞かせくださいなどと言おうものなら、営業にきたのは君だろう。何かうちのメリットになる話を用意してから出直せと言われるのがオチです。
 
 見込客が、法人相手であり、経営者に近づけば近づくほど、銀行・保険業の営業の究極形は、その営業と付き合うことで、自分の会社が儲かるかどうかにこそあります。
 
 ゆえに、ブランド力と安心感で勝負できる業界トップ企業以外、いわゆる中堅までの銀行・中小の保険会社や代理店が、真に営業強化したければ、営業相手先の社員以上に、その会社の発展を望み、かつ、業績向上のお手伝いをする必要が出てくるのです。
 
 その結果として生じた売上や、新たに発生した利益からしか、新規契約は出てこないということです。
 
 さて、あなたの会社が銀行・保険業であるとして、直近1年間で、主要な取引先に対して、何か儲け話を持っていったことがあるでしょうか?
 
 そんな簡単に儲け話などできないし、儲け話をもっていって外れた時のリスクはないのか?という意見もあるでしょう。
 
 ゆえに、次回の実践編では、リスクはないが、相手からは喜ばれ、いずれ滅多なことでは相手の方が離れたくなくなる営業のやり方についてお話します。
 
 今回のポイント(〆の一言):
 銀行・保険業が真に営業強化したければ、その会社の社員以上に、その会社の業績向上を支援する必要がある。
 

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