下請け比率100%から1年で元請け90%達成!
地域3500世帯に絞込む圧倒的な地域戦略
大阪府堺市に、下請け比率100%から1年で
元請け90%を達成した小さな工務店があります。
会社名は、株式会社正田工建
正田社長は、「お客さまの喜んでくれる家を造りたい!」
この仕事を始めた当時のことを語ってくれました。
下請け100%の頃は、柱を組む、壁をつくるなど同じ作業を毎日つづけ、最後までお客さまと接することなく現場を終えていくことも…。
おまけに受注単価も厳しい状況となっていた。
これでいいのか?葛藤が続く中、ある日、自分の生立ちを振り返りました。
6畳と4畳半の2間の文化住宅に、両親と弟と4人家族での窮屈な暮らし。
お風呂もない家だったので、寒いときは銭湯まで行くのが嫌でした。
「なんでこんなにオレの家は貧乏なんだ」といつも思っていました。
「お母ちゃん、いつか一戸建ての家に住ませてあげる!」といつも言っていました。
母は「ハイハイ」と笑って、ボクの話しを真剣には聞いてくれていませんでした。
でもその顔は嬉しそうでした。
いつかかならず、一戸建ての家を買って家族みんなで暮らすんだ!
そう思って大工になったのです。
家は一生に一度の高価な買い物です。
住まいにはお客さまの夢や希望がたくさん詰まっています。
そんな家を造りたい。
お客さまが喜んでくれている家を造りたい。
これが私のこの世であたえられた使命(ミッション)だ!
そしてこのミッションを達成するためには、下請けではなく元請けに方針転換すべきだと考えた正田社長は、思い切って下請けの仕事をすべて断り、自らの営業活動を決断しました。
正田社長は、営業活動を進めるにあたって、まず仮説を立てました。
1.自分が得意な客層はどのような方々なのか?
2.差別化できる商品はなにか?
3.エリアはどこに集中させるのか?
客層は、自分と同じ小・中学生の子供がいる世代で、暮らしにこだわりのある人と決めました。これまでの経験からこの方々なら相性がいい。
商品は高断熱・高気密住宅。
夏涼しく、冬あたたかいのが特長。
間取りはご自身の子育ての経験を活かし他社と差別化する。
営業地域は、自分が生まれ育った小学校区3000世帯を営業地域と絞り込みました。
ここに集中させる!
この地域3000世帯に対して挨拶お手紙を書き、ポスティングを始めました。
自分の考えや想いをお手紙に書き、売り込みは一切、書きませんでした。
それを一件一件、ポストに届けたのです。
その反応は早かった。
お客さまから家を建て替えたいというお問い合わせがありました。
お客さまはハウスメーカーや他社の工務店など、いろいろ検討していたところでした。
◆お客さまに選らばれる決めてはミッションにあり!
正田社長は、お問合せのあったお客さまに対して、自分自身の家造りに対する思いや使命感を丁寧に説明し、最後に「私に任せていただけますか?」とお尋ねしました。
究極の差別化は自分の使命(ミッション)をお客様にお伝えすることだと、筆者が主催する「あきない実践道場」で学んでいたからです。
正田社長の思いが伝わったのか、お客さまの顔色が変ったのが分かりました。
それから数日後、お客さまから連絡がり、「正田さんに任せたい」と言ってくれました。
それは、何よりも嬉しい言葉でした。
自分が理想とするお客さまに選ばれ、そのお客さまにミッションをお伝えすることが最後の決め手になると確信した時でもありました。
そして、私のミッションに共感いただいた理想のお客さまが、また次の理想のお客さまをご紹介くださるプラスの循環へと繋がって行くのです。
ここでいうミッションとは「仕事に対する自分の使命感、役割」といった意味です。
施工事例や建材、デザインなどひと通り説明したうえで、正田社長は最後の決め手として、自分がなぜ家づくりに携わっているのか、どういう気持ちで仕事をしているのかという、ミッションをお客さまに説明しています。
家を建てようというお客さまはたいてい何社か、住宅会社を見て回り、比較検討しているものです。家の構造や仕様などに違いはあるものの、ある程度の水準はどこの会社でもクリアできることだろう。
そこで最後の決めてのなるのは「ミッションに共感していただく」ことあると私は思っています。
◆あなたのミッションとは?
さて、それではあなたのミッションとはどんなものでしょうか?
「あきない実践道場」では、私から次の7つの質問を参加者に投げかけて、どんどん突き詰めて考えていただいています。
いかがでしょうか?
多くの方はこれらの質問に即答できないことと思います。
「あきない実践道場」の参加者の皆様も1年近くかけてじっくりと考えていかれる場合が少なくありません。
でもそれでいいと思っています。
借り物でない、自分自身の言葉でないと、聞く人の心には響かないし、どこかで聞いたようなセリフでは聞き流されて、忘れられてしまうものだからです。
これらの質問を掘り下げていくには、自問自答ではなく、なるべく自分にとって信頼のおける人と対話形式で進めていくことをお勧めします。
自分では当たり前と思っていることでも、他人の視点で「なぜ」と追求されることで、無意識下に隠れていた自分の本当の思いに気がつけるようになるからです。
地域のお客さまに喜ばれて、お客さまに好かれて、お客さまに気に入られて、お客さまに忘れられないようにする。
ミッションを明確にして忠実に実行することであなたの会社はお客さまに選べる!と信じています。