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社員教育・営業

第40講 カスタマーハランスメント対策の実務策㉗

クレーム対応の新知識と新常識

それはカスタマーハラスメントではありません!
「売ったら売りっぱなしだ!」「客に泣き寝入りをしろということか!」《第2部/4部作》

 さて、それでは、「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」と言う、お客様の心理を分析してみましょう。

 こう言ってしまったお客様は、実は、内心、自分の希望通りの対応にはならないことがわかっています。この企業に失望したからあきらめるしかない、とあきらめの気持ちが強くなっているのです。自分の主張は正しいのに、企業は自分の想定通りの対応をしない、むしろ、断って来た。つまり、想定外の対応だった。なので、しばらくは、対話で交渉をしたが、言葉は丁寧にしながらも、企業は、依然として断ってくる。自分の考え方とマッチできる企業だと思っていたのに、自分の考えに同意してくれる企業だと思っていたのに、そうではなかった。だから、失望してしまったのです。そして、あきらめるしかないと悟り、あきらめようとしているのです。

 つまり、自分があきらめるきることに、肩を押してほしいと無意識で思い始めているのです。

 それでは、担当者は、「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」と言われたら、否定をするのか、認めるのか、どちらの方向の対応を選ぶことが好ましいか?もう、だいたいわかってきましたね。

 お客様のご希望をお断りする事例には、お客様が、あきらめるための肩を押す対応が好ましいのです。なので、「売ったら売りっぱなし!」「客をだましている!」「こちらが泣き寝入りするしかないというのか!」などと言われたら、否定をしてはいけません。認めてください。但し、謝ることもいけません。

 「売ったら売りっぱなし!」「客が泣き寝入りするしかないというのか!」と言われても、否定をしてはいけないことの説明をします。

 自分の会社としては、「売ったら売りっぱなし!」をしているつもりはないので、このお客様の言葉には、「そのようなことは決してございません」と言いたくなると思いますが、「売ったら売りっぱなしではありません!」と言えるのは、企業のある一面のことであり、別の一面では、「売ったら売りっぱなし!」と理解されても仕方がない事情がありますから、「売ったら売りっぱなし!」と言われても、否定をしないでください。

 「売ったら売りっぱなし!」と言われても仕方がない事情が企業にもあることについて、電化製品を取り上げて話をしてみましょう。お客様が購入してから、時々使用していた家電製品。購入して10年くらい経ってから、その機械が故障をしました。初めての故障なので、お客様は、企業に修理の依頼をしました。しかし、その製品の修理に必要な部品の保有期間は終わっていたので、別の製品を新しく購入することが今回の対応となった。 

という事案。この話は、自分を消費者側に置き換えた時に、経験をしたことがある人も多いと思います。

 担当者が「部品がないので、新しいものをご検討いただきたい」と伝えた時に2つのタイプの消費者の反応があります。Aタイプは、「そうですか。わかりました。考えます。。」とすぐにあきらめてくれる人、もう1つのタイプ、Bタイプは「あまり使ってないのに、いきなり故障するなんておかしい。初めての故障なのに、買い替えを提案するなんて、どういうことですか!売ったら売りっぱなしですよね!」と言う人です。

 Bタイプの人も、ごねれば、自分の希望の対応をしてもらえると確信があるのではなく、ただ、自分にとって想定外の返答だったので、混乱しているのです。そして、あきらめるために肩を押してくれる対応を待っているのです。だって、この事例の場合、あきらめるしかないと、わかっているからです。

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